お兄ちゃんを迎えに
お兄ちゃんが転移の罠に引っかかって、行方不明になってしまった。
まあ、死んでいないことは分っていたし、その後に神様達のおかげで、安否確認もできたけどね。
でも、さすがに異世界まで行ってしまうというのは、完全に予想外だったなぁ。
というか、マヤさんというアイ様の眷属に、私と同じ配信能力である「放送」のスキルを取得してもらい、それでお兄ちゃんの状況を見せてもらったんだけど、なんかモフモフの仲間も増えて羨ましいことになってる……。
●水杜:コボちゃん達、可愛いですよね
●:いい……
●ナウーリャ:私がいた世界では、あんなに可愛くなかったのですけどね……
●アイ:あー、うん……
パラレルワールド的誤差だね
と、こんな他愛もない話題で盛り上がることもできるのだから、本当にこの神様達は気さくだと思う。
そんな訳で、私は割と平穏に過ごしていた。
しかしそんな私達の事情を知らない人は、そうもいかない。
『妹ちゃ~ん、ナオ君が全然見つからないよぉ~。
どうしよぉぉぉぉ~!!』
「大丈夫です、兄はしぶといので。
きっと無事ですから」
茲富さんから、捜索の結果が芳しくないことを嘆く電話が、毎日のようにかかってくるのだよね……。
なんで親族よりも動揺しているんだろ、この人……。
たぶん私がお兄ちゃんの安否を知らなかったとしても、この人の慌てようを前にしたら、思わず冷静になってしまうと思う。
もう鬱陶しいから、本当のことを話したいけど、そういう訳にもいかないし……。
そもそも私の方から捜索願を出したので、それに協力してくれている茲富さんのことを、無下には扱えないよね……。
だけど、そのなんとももどかしい日々は、ついに終わる。
『ナオ君と連絡がついたわよ!!
今、異世界にいるんですって!!』
「そう……なんですか」
うん、知ってる。
でも知らなかったというフリをした。
しかし、そこから先の茲富さんの行動は、ちょっと想定外だった。
『これからパーティーを招集して、迎えに行ってくるわ!!』
「えっ、迎えにって、ダンジョンに──異世界にですか!?」
『勿論よ。
まあ、ナオ君の方でも、こちらに向かうらしいから、途中で会えると思うけどね!』
さすがに異世界までは行かないか……。
というか、茲富さんって、ダンジョンに深く潜ることができるだけの実力があるの……?
「でも、危険なのでは……?」
マヤさんの配信では、結構ヤバそうな魔物も映っていた。
異世界の方に近づけば、そんな魔物と遭遇する可能性も上がるはずだ。
『危険は承知よ
でもね、もしもこのままナオ君と会えなくなってしまう可能性を考えると……。
もう、身体が震えててててててて』
なんの禁断症状!?
確かに今のお兄ちゃんは、禁断症状が出てもおかしくない可愛さだけど……。
それに、いつでも会えると思えば我慢できるけど、もう二度と会えないと思ったら、我慢できなくなるという気持ちも分るかも……。
『それに副支部長の権限で、強い探索者の護衛を雇うから大丈夫よ』
「そうですか……」
でも、そういうことなら──。
「私も連れて行ってください!!」
いい機会だから、私もダンジョンで実戦の経験を積もう。
私も強くならなければ、今後お兄ちゃんの配信にはついていけないしね。
『え……でも危険よ?』
「探索者なんて、危険に挑戦してナンボじゃないですか?
それに兄も、遠い異世界で心細い思いをしているでしょうし」
『……分りました。
あなたに何かあるとお兄さんに顔向けできないので、全力で守りますよ!』
「ありがとうございます!」
そんな訳で、私もダンジョンへ行くことになったのだが、茲富さんはその言葉通り、私のことを守ってくれた。
彼女のパーティーメンバーがではない。
彼女自身が私を守ってくれたのだ。
茲富さんは「鑑定」の能力があるので、てっきり魔法系ジョブなのかと思っていたけど、実際には魔法だけではなく、近接戦闘も強かった。
今ならわかる。
彼女はコネとかではなく、実力で副支部長の座を手に入れたのだと。
●:なんだか忍者みたいな戦い方をする子だねー
●:いや、魔法の能力もなかなか
●マルル:違う世界線では、勇者とか主人公をやっていたタイプだよ
勿論、このお兄ちゃんを迎えに行く為の旅は、神様達にも配信している。
茲富さんの活躍は、神様達にも好評だった。
私も頑張らないと……!
そんなダンジョンでの道中は、決して楽なことばかりではなかったけど、思いのほかあっさりとお兄ちゃん達と合流することができた。
茲富さんと、彼女が集めたメンバーが、探索者として優秀だったことが大きい。
そんな立役者である茲富さんは、お兄ちゃんに会うなり締め落としかけることになる。
少し落ち着こうか?
先日、庭に敷いた砂利の中からアンモナイトの化石を拾ったので、他にもあるのではないかとさがしてみたところ、もう1つ見つけました。何か動物の骨の一部っぽいけど特定はできないので、画像検索をかけた結果、「イクチオサウルスの背骨」とか「ハドロサウルス類の足の指」とか出て、「マジかよ!?」ってなっている。全然違う物の可能性もあるけど、大きな動物の化石っぽいのは確かですねぇ。




