道半ば
その後、俺達は狐化したマヤさんの背中に乗せてもらい、ダンジョンの中を進んだ。
その方が早いからね。
ただし魔物が出没した場合は、俺とコボルト達が戦った。
そこまでマヤさんには頼れないし、何よりも俺達が強くなる為には、戦闘経験を積まなければならない。
「行け!
アトス、ポルトス、アラミス!!」
「「「わうー(了解)!!」」」
●:がんばえー!!
●:わんわんおー!!
戦法としては、コボルト達が敵を攪乱して、隙ができたところを俺がトドメを刺す……って感じだ。
これを何度も何度も繰り返すことで、コンビネーションは良くなってきたと思う。
だけどできれば、全部1人でできるようになれるほど強くなりたいものだ。
特にコボルト達は、強くならないと今後ダンジョン探索には連れていけないし。
……いや、彼らを完全に室内飼いにするのなら話は別だが、犬系の獣人だと定期的に運動をさせないのはストレスがたまるだろうし、部屋に閉じ込めておくのも可哀そうだからな……。
しかし今の日本ではコボルト達は目立つだろうから、人の目を気にせずに運動させることができる場所は、ダンジョンしかない。
ただ、俺も生活や借金ポイント返済とか、色々と事情がある。
コボルト達を運動させる為だけに、比較的安全なダンジョンの浅い領域で燻っている──という訳にもいかないのだ。
やはり今後の探索者生活については、コボルト達にもダンジョン探索手伝ってもらわないとなぁ……。
その為にも、もっと強くなってもらわなければ……。
せめて個々の力は弱くても、三位一体の連携で戦えるようにスキルを身に着けてほしい。
それぞれの戦い方を見る限り、アトスは速度特化、ポルトスは防御力特化、アラミスは魔法特化……って感じの適正だな。
……攻撃力特化は、コボルト達の筋力ではすぐにどうこうできるとは思えないので、あまり考えないことにする。
とりあえず少ないポイントで取れるスキルや装備を与えて、その才能を伸ばしてもらおう。
それからダンジョンを進むこと2日間──。
その道中には、ダンジョン内なのに木々(のように見えるが、実はキノコだという説もある)が生い茂っている大空洞もあれば地底湖もあり、その環境に合わせた魔物も生息している。
これがなかなかの難所だった。
まあ、マヤさんの能力に頼って突破してきたが、俺とコボルト達だけでは無理だっただろう。
特に地底湖は、水中の魔物を躱しながら、筏を用いて渡ることは勿論、泳いで渡ることも不可能だった。
そもそも水温が冷たすぎて、水に落ちた時点で命が危なかったと思う。
しかしマヤさんなら、水面を走ることもできるし、なんなら空だって飛べるから問題ない。
まったくマヤさん様々だ。
そんな訳でマヤさんに頼りながらも難所を越え、かなりの行程は進んできたが、まだ出口までにはかなりの距離がある。
地図によると、全体の3分の1くらいが残っている感じか。
そこまで到達した頃──、
「何か来る……な。
魔物ではない」
と、マヤさん。
魔物ではない……ってことは、人間か?
しかしこんな奥地まで侵入してきたということは、高レベルの探索者だろうか?
この周辺にいる魔物は、結構強いぞ?
「マヤさん、相手を警戒させないように、人の姿に戻りましょうか」
「ん……そうだな」
今のマヤさんの姿は完全に猛獣だから、魔物と勘違いして攻撃してくるならまだしも、逃げられてしまうかもしれない。
日本に帰る為にも、探索者から最新の情報が欲しいところだ。
この先でも、巨大蟻の発生みたいな異変が生じているかもしれないしな。
とにかく、近づいてくる気配を待つ。
しばらくすると、通路の奥から人影が見えてきた。
5人くらい?
●水杜:お兄ちゃん、見つけた!
何!?
まさか妹の水杜が来ているのか!?
──って、
「ナオきゅーん!!
心配したんですよー!!」
水杜が駆け寄ってきた──と思った瞬間、彼女を押しのけて、物凄い勢いで駆け寄ってくる人物が見えた。
茲富さん!?
確かに電報っぽいので、「迎えに行く」とは言っていたような気がするけど、こんな所に来られるほど、探索者としての実力があったのかよ!?
ただの探索者協会支部の、福祉部長じゃなかったのか……?
そんな茲富さんは、俺の眼前に至っても勢いを殺すことなく、そのまま俺に抱き着いてきた。
「もがっ!?」
俺の顔は茲富さんの胸に埋もれ、呼吸を奪われることとなる。
これで窒息するのなら本望……と言いたいところだが、マジで苦しくてそれどころじゃないのだが!?
彼女の身体を何度も叩いて降参したけど、それでも彼女は許してくれなかった。
庭の砂利の中から、5cmはあるアンモナイトや小さな貝の化石が混じった石を発見しました。化石ガチャではまったく当たりを引かないのに、変なところで運を使っている……。




