命 名
さて、コボルト達に名前を付けることになったのだが、その前に確認すべきことがある。
「君達に名前ってあるの?」
コボルト達が、元々の名前を持っているかどうかということだ。
それがあるのなら、わざわざ付け直す必要は無い。
「わう(なにそれ)?」
「名前の概念すら持ってなかったかー」
●:まあ、顔を見れば個体は判別できるから、あとは「おい」とか「お前」とか呼べば済むからね
●:俺には犬の顔は、ちょっと判別できませんねぇ……
●アイ:余裕で分かるけど?
●:元々キツネな人はそうでしょうけども
「それでは、名前を公募しましょうか。
何か案はありますか?」
●:タロとジロ
●:古い!
というかもう一匹はw
●:「と」だが?
●レナ:せめてトトにしてあげてw
●アイ:それじゃガ○ラだよwww
●:トン吉、チン平、カン太は?
●:更に古いw
●エルシー:ガイア、マッシュ、オルテガとか
●ナウーリャ:コボちゃん達の可愛さには似合わないですよ、黒○三連星は……
でも、ジェットスト○ームアタックは習得させたいですね
……なんか俺の知らない話題で盛り上がっているな……。
神様達って、たまによく分からないネタを使ってくるよね……。
●ウルティマ:じゃあ私はショコラ、タルト、プリンがいいですー
●マルル:それ、自分が食べたいだけだよね?
●ナウーリャ:ではアトス、ポルトス、アラミスでどうでしょう?
●エルシー:三銃士……いえ三獣士ですか
いいんじゃないですか?
あなたのことですから、てっきりビーストの方でくるのかと思いましたが
●ナウーリャ:そちらはさすがにマイナーかと……
有名な方が、聞いた人もピンとくると思いますし
「三銃士ならボクも分かります。
まあ、3匹揃ってなら、統一感があった方がいいですね。
それでいきましょうか」
そんな訳で……、
「一番小さいけど最も元気な君はアトス」
「わう?」
「ちょっとぽっちゃりな君はポルトス」
「わん」
「そして微妙にローテンションな君はアラミス」
「……わぅ」
そう名付けることになった。
名前の振り分けには特に理由なんて無いけど、何故かアラミスだけは、神様達が「絶対この子に」と指定してきたのでそうなった。
何か意味があるのか?
「これから君達それぞれをこう呼ぶから……いいね?」
「「「わん(うん)!」」」
で、名前も決まったので、日本へ向けてのダンジョン攻略を再開する。
進むだけなら地図通りに行けば特に問題は無いし、索敵や罠の感知は俺の役目だが、万が一見落としてもマヤさんがフォローしてくれた。
一番の問題は魔物との戦闘だが、弱い魔物は基本的にコボルト達が担当して、ちょっと強いのは俺が相手をし、俺では手に負えないようならマヤさんに頼るという万全の布陣だ。
現時点ではマヤさんが戦わなければならないほどの強敵は現れていないけど、だからといって彼女が何もしていない訳では無い。
「もうちょっと魔力を一点に集中して、一気に放つ感じだよ」
戦い方の指導──これが一番重要だ。
あのオークウルフを屠ったビームは、是非とも習得したいけど、これがなかなか難しい。
現状ではちっとも出来る気はしないが、いつかはできるようになりたいね……。
しかし探索2日目──。
戦闘訓練をしつつ進むという、悠長なことは言ってられなくなった。
魔物の出現率が急激に上がったのだ。
「わうぅー(来たよー)!」
「ありがとう、後ろへ!」
コボルト達に誘き寄せられた魔物が、こちらへと突進してきた。
それは──、
●アイ:アリだーっ!!
昔は、よく狩ったなぁ
巨大な蟻だ。
周囲には無数にいるので、コボルト達に1匹ずつ誘い出してもらい、そして俺が──、
「それっ!!」
蟻の額に「防御貫通」を併用しつつ、コンバットナイフを突き立てた。
「そう、弱点を狙うんだ。
ただ、虫は簡単には即死しないから、気を付けて」
マヤさんが言う通り、蟻が滅茶苦茶暴れている。
さすがに脳を破壊されているので、攻撃はしてこないけど、その断末魔ともいえる大暴れに巻き込まれたら、コボルト達ならひとたまりも無いな……。
ともかく周囲に蟻が沢山いるので、我々の探索は遅々として進まなくなってしまったのだった。
車のタイヤ交換をしたら、腰が痛くなった……。




