367:ブルーゴーレム
「「「ゴゴゴオォ!」」」
バイクに乗ったゴーレムたちはけたたましい音を立てながらこっちへ迫ってくると、ショットガンを放ってくる。
フェアリーたちによるバフも載っているので、当たれば無傷とはいかないだろう。
「甘い甘い。こういう環境なら偏差射撃は必須だぞ!」
だが、俺もゴーレムたちも今は高速で道路の曲がりに沿って前進している最中。
銃弾は速度だけなら前を走る俺に追いつけるが、俺がカーブに沿ってスムーズに曲がるだけで、銃弾はトンネルの壁に着弾して終わる。
「そして、前から後ろへの攻撃はこんなに簡単だ」
「「「!?」」」
対する俺の攻撃はその場でサーディンダートを手放すだけというもの。
が、俺もゴーレムも高速で動いているからこそ、俺が手放したルビー・火炎製の真っ赤なサーディンダートが道路に着くよりも早くゴーレムたちの場所に辿り着き、突き刺さり、火炎属性特有の炎のエフェクトを出しながら、ゴーレムたちを派手にクラッシュさせる。
『トビィ』
「まあ、倒すのは無理だ。所詮は単発攻撃だしな。シールドを剥がすまでだ」
そうしてゴーレムたちがクラッシュし、実質戦闘不能になっている間に俺は前進。
青の魔物では追いかけてこないであろうほどに距離を引き離す。
「「「ゴゴゴオオォォ!」」」
引き離して……次の部屋にはまた同じ編成でゴーレムが三体居た。
当然、俺を追って、トンネルに突入してくる。
「一体くらいはちゃんと倒すか。集図坑道の為にも」
『ブン』
と言うわけで、今度は倒し方を変える。
相手がショットガンを撃ち、それを避けたタイミングでデイムビーウィングを停止させ、一気に減速するのだ。
それも両腕……特に左腕のパンプキンアームは網のように広げた状態で。
「「ゴギャ!?」」
「ゴレムウゥ!?」
俺の行動に右腕がラリアットのように決まった二体のゴーレムはクラッシュ。
そして、左腕に絡まったゴーレムもまたクラッシュしたわけだが、ただクラッシュするのではなく、俺の左腕に絡め取られた。
なので俺は絡め取ったゴーレム、それと折角なのでバイクをきちんと持つと……。
「この瞬間を待ってたぜぇ! てか!?」
「ゴゴゴゴゴゴゴオオォォッ!?」
一気に加速。
ゴーレムとバイクを道路にこすりつけながら高速前進する事によって、ゴーレムのシールドを削り取っていく。
ちなみにブルーフェアリーはクラッシュの瞬間には既にゴーレムから離れていたので、捕らえられていないが……まあ、単独で何か出来る魔物ではないので、無視でいいだろう。
「ゴレムウゥ!?」
「終わった……ん?」
と、10秒ほど走ったところでブルーゴーレムのシールドが切れ、そのまま頭と胴体を擦られ、核が破損したのかブルーゴーレムの姿が消える。
俺が異常に気付いたのはこの瞬間だった。
戦闘終了に伴う報酬のアナウンスが来ない。
それどころか、手に持っているバイクが消えていないのだ。
「このバイク、まさか!? ティガ!」
『ブーン? ブブ! トビィ! このバイクは魔物です! 名前は……ブルーエンジン!』
「ギギギギギッ!?」
どうやらこのバイクは……いや、このバイクに搭載されているエンジンは魔物だったらしい。
そして、俺に存在がバレたことに気が付いたのか、ブルーエンジンはタイヤを乱回転させ、ハンドルを動かし、サスペンションやライトなどを光らせて暴れ出す。
暴れ出すが……。
「あ、お前、魔物ではあるけど、外装は普通のバイクだから、轢き逃げや衝突、巻き込みくらいしか攻撃手段がない感じか」
「ギーギイイィィ!!」
『ブーン。他の魔物との協力が前提の魔物と言う事でしょうか?』
悲しいかな。
青の魔物の馬力では俺の拘束から逃げ出せないし、カモフラージュの為なのか武器らしい武器も持っていないようだ。
と言うわけで、俺は再び道路でブルーエンジンを擦ってやることにする。
また、エンジン本体部分をヴァンパイアネイルで突いてもやる。
「ギイイイイィィィィ!?」
「なるほど。エンジンへの攻撃はバイク部分が完全に剥げてからでないと入らないのか。まるでシールドみたいだな」
『ブーン。それは面白い話ですね』
結果、分かった事として、どうやらブルーエンジンは自身にかかる衝撃をバイク部分に受け流すことによって、ダメージを抑える能力を持っているらしい。
変わった能力の持ち主だな。
≪鉱石系マテリアル:青銅を1個回収しました≫
≪設計図:特殊弾『ダメコン・集中』を回収しました≫
そうして道路で擦りつつ、小突くこと暫く、ようやくブルーエンジンは力尽き、報酬のアナウンスが入った。
「さて、面白い魔物が居るとは分かったが、方針に変わりは無しだ。このまま道路を進んで……あー……そういうのも……ありかぁ……」
『ブーン。ありなんだと思います』
で、次の部屋には、また同じような編成で居たのだが、今度はバイク三台ではなく、バイク二台とトラック一台だった。
しかもトラックの荷台にはブルースパイダーが乗っていて、既に先行してトンネルに入りつつあった。
結果、ブルースパイダーの糸を躱しつつ戦うという難事になった。
≪設計図:特殊弾『ダメコン・分散』を回収しました≫
「これ、もっと上のランクで来てたら拙いフロアだったな」
『ブン。そう思います』
そして、その後も何度か戦闘し、高速移動しながら戦う独特の環境故の厄介な状況に遭遇しつつも、ゴーレムの性能でごり押し、俺はフロア4を突破したのだった。
とりあえず、大型トラックが背後から迫ってくる環境にはもう遭遇したくないところである。




