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村 ①


森の中に複数人の人影があった。その人数は約五十人。

その中で、リーダーの男が声を上げる。


「いくぞ、野郎共!今から襲う村は、戦えるヤツは多くねぇ。二、三人で囲んで殺せ!残った村人は、広場に集めておけ」


「へい、お頭。…でも、何でまたこんな村を襲うんですか?」


「あぁん?まぁ、近くにあったのも理由の一つだが、考えてみろ、こんな田舎じゃ国が気づいたときには手遅れだろ?」


「さっすが、お頭だぜ」


男達は下品な笑いを浮かべ、眼下にある村を目指し歩きはじめた。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




カラン村は、この世界の南西にある小さな村だ。

人口は百五十人。自給自足を行っており、他の村や町の交流はほとんどない。村の人々は役割があり、それぞれ男が農作業や狩り、女は道具作りや薬草採取など行っている。

例に漏れず、二人の少女が森で薬草採取をしていた。


「レイナ、そろそろ帰ろうか」

「うん。お姉ちゃん」



二人は採取を終えると村に向かって歩きだす。ほどなくして、村が見えてくる。

そのとき、何かが聞こえてくる。レイアは嫌な予感がして走りだした。レイナもそれについていく。


「お姉ちゃん、どうしたの?」


レイナは姉の異様な雰囲気を感じとり、質問するがレイアはそれに答えている余裕はなかった。

そして、徐々に聞こえてくる。それは、悲鳴だった。


村からいくつも煙があがり、家は壊されたものがいくつもあった。


そして、レイア達の視界に 自分たちの家が見えてくる。その前には、人影。二人はレイア達の両親。残りは、見知らない男達だった。レイア達は怖くなり思わず足を止めてしまう。


そのとき父親がレイア達に気づいて、声を上げる。


「レイア、レイナ、逃げなさい。奴らは山賊だ!」


レイアは、父の声が聞こえるも、足が震えて動けなかった。そんな彼女の手を、握るものがいた。


「お姉ちゃん…」


泣きそうな妹を見て、我にかえる。妹を守らないと。そう、自分に言い聞かせ、後ろ髪を引かれる思いがするも、来た道を引き返す。


「追え!逃がすな!」

「「おう!」」


野太い声が聞こえ、後を追いかけてくる足音。二人は恐怖が込み上げてくるのを抑え、走る。けれども、相手は山賊。逃げたとしても、捕まるのは時間の問題だろう。それは、二人にとって最悪の追いかけっこのはじまりだった。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




森を出発して一ヶ月、まだ俺達は森の中にいた。いや、断じて迷った訳ではない。『不気味』な森を抜けて『普通』の森に出たのだ。

最初のころは、ロロと一緒に走ってたけど、途中で疲れてしまった。そこで、ロロの背中に乗せてもらい、ついでに、どのくらいロロが走れるか試したら全然疲れる様子がない。(走る速度は馬くらい)ロロはチートだな。あ、ちなみにライムは俺の影の中に入っている。こいつも、大概だな。ま、俺も使えるがな。自分の影や、自分より小さい影には入れないとか、制限があるけど。




しばらくして、気配を感じた。あきらかにこれは、人の気配だ。二年ぶりに人に会えると思うと、嬉しくてたまらないが、何だか様子がおかしかった。

空気に微かに血の臭いがする。それに、複数の殺気と恐怖を感じる。…ただごとじゃないな、少し急ぐか。



臭いや気配が強くなった。もうすぐだろう。そう、思ったとき四人の人影がみえた。二人は女の子で、大きい子が小さい子を庇う様にしている、残り二人は男で二人共剣を抜いている。

…一見すると女の子のピンチなんだが、ここは異世界だからなぁ〜。もしかしたら、俺の勘違いの可能性もないことはないもんな。とりあえず、気軽に友好的に話しかけよう。言葉通じるかな…。


「ロロ、周辺の様子を確認してきてくれ、あの男みたいのがいたら……とりあえず殺さないように黙らせてくれ」

「ガウ!」


ロロにお願いして背中から降りる。そして、相手から自分の姿が見える距離まで歩き、話しかける。


「すみませ〜ん」

「「「「!?」」」」


俺が話しかけると全員俺の方を向く。女の子は恐怖と驚きが混ざったような顔をし、男は剣を構え警戒している。それもそうか。いきなり、ローブを着て顔を隠したやつが話しかけてんだ。当然の反応だな。


「あぁー、いろいろと聞きたいけど、まず、何やってんの?いくら森の中でも、女の子を狩っちゃダメでしょ?」


「…っ!!てめぇ、何者だ!それに、バカげたこと言いやがって!ぶっ殺してやる!」


そう言って男が斬りかかってきた。もう一人は、少し冷静なのか女の子が逃げないように、その場を離れない。……けど、それはいい判断じゃないな、俺には仲間がいる。


(ロロ、女の子の近くの男をやれ)


俺がロロに指示を出し終えると男が目の前まで迫ってきた。一瞬、男の強かったらマズイなと思ったが杞憂だったようだ。遅い。まず、こいつから情報を聞くか。


「死ねぇー!」


男が剣を振り下ろす。と同時に女の子の悲鳴が聞こえた。けど、心配はご無用だ。

俺は振り下ろされる剣をタイミングを合わせ、足を蹴り上げる。俺が放った蹴りは、相手の手を捉え、持っていた剣をはじく。剣は男の手から離れ地面を転がっていった。


「なに!?」


男は声を上げると距離をとる。一筋縄じゃいかないと気づいたようだ。残念ながら、手遅れなんだけどね。


「おい、こいつやべぇ………ぞ…」


男はもう一人に向かって叫ぶが、それは無駄に終わる。なぜなら、ロロが仲間のもう一人に頭から食いつき、音もなく仕止めていた。あ、ちなみにロロの大きさは軽トラくらいだ。デカいな!


「「きぁああ!!」」

「…う、そだろ…」


女の子の近くで、殺しはまずかったな。男の方も衝撃的だったみたいだ。めんどくさくなる前に終わらせるか。


「話しの続きいいか?」


「お…お前、何者なんだよ」


「俺か?そうだな…魔物使いかな。証拠は、ほら、ロロがそこにいるだろ」


「お…お願いだ!助けてくれ!命だけは…」


えぇ〜。話しをしようって言ってんのに……でも、久しぶりに人と会話したな。


「はいはい、分かったから。質問いいか」


「…何だ」


「お前達は何の目的でこんなことしての?」


「そ、それは、お頭が計画したから。も、もちろん、金目のもの目当てだ。抵抗したヤツ以外、殺して………ごあっ!」


俺は今ので大体理解したから、男に一気に近づいて黙らせた。うん、いい感じに情報収集出来るなこれ。それには、ちょっと交渉をしないとな。


そう思い俺はチラリと、まだ、震えている二人の女の子を見る。……うまくいくかな?


話しをしなければ、始まらないので、俺は二人に近づいていった。

戦闘シーン短かったですね。主人公の強さが分かるまで、まだまだかかりそうです。

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