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村 ②


ザクッ!

倒れた男に止めをさす。あの森の中じゃ、油断は厳禁だった。だから、いつもの習慣みたいにやってしまったが、女の子二人は、さらに恐怖したみたいだった。その証拠に一歩踏み出すと…。


「「ひっ!」」


ちょっと傷ついた。俺のせいなんだがな。

あらためてよく見ると、二人は姉妹のようだ。栗色っぽい髪で、姉の髪が長く後ろで軽く束ね、妹は肩くらいの長さしかない。あまり上等な服装ではないが、俺のローブの下の服と比べるとだいぶマシにみえる。


姉の方に話しかけて…。ん?どうやら、怪我をしてるみたいだ。背中にそれなりの大きさの傷があった。まずは、治療かな。


「おい、お前」


「っ!…お、お願いします…妹だけは…」


あれ?俺そんなに悪人に見える?たしかに、目の前で人殺したけど…うん、このせいだね!あと、ロロをチラチラ見てるから、それもあるかな。あんな大きい魔物、ふつう出会わないだろうからな。


(ロロ、周囲の警戒に行ってくれ)


俺は、そう指示を出しながら、懐から土で作ったビンを取り出す。中身はもちろん回復薬だ。と言っても、鳥みたいな魔物が流した涙なんだけどね。効果は飲んだ俺が保証する。


「ほら、飲みな」


「え…えぇと、あの…」


いきなり、渡された物に戸惑っているようだ。そうなってしまうのも無理もないが、時間がもったいない。だから、ちょっと意地悪してみる。


「…妹を守りたいんだろ?」


「!!」


村の方じゃ、まだ多くの人の反応があるから、最悪なことになっていないだろう。けど、状況がいつ変わるか分からない。誤解を説いている暇はない。


俺の言葉をどう捉えたのか分からないが、彼女は意を決してビンの中のものを飲み干す。


「…う…うそ」


「さて、いろいろと聞きたいことはあると思うが、まずは、こっちの質問な。とりあえず、今の村の現状についてだ」




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




「おい、これで全員か?」


「いえ、女二人を追ったヤツらが戻ってきてないそうです」


「何やってやがる、遊んでんじゃねぇだろうな」


山賊の頭は、戻りが遅い同胞に少し腹を立てていた。

このお頭は、見た目とは裏腹に慎重な性格だった。いくら、安全でも予想外の事はおきる。だから、計画は素早く無理せずに行ようにしていた。

そうすることにより、幾度となく危険を回避し、今では大規模な山賊の集団となっていた。


だが、今回ばかりは彼の予想を大きいく越えていた。



「どうも、山賊の皆さん」


「「「っ!!」」」


唐突に現れたのは、ローブを着た男。しかも、声をかけられるまで、誰も気づかなかった。一番早く、驚きから覚めたのはお頭。今の現状を一瞬で理解し、同胞に戦闘態勢にはいるよう指示を出す。


「てめぇ、何ものだ?」


「ただの魔法使いだよ」


そう、適当に答えながらシルドは相手の戦力を数える。


(お、意外と統率が取れてるな。数は…俺を囲む様に四十五人と離れた茂みに一人か…)


シルドが悠長にしていると、お頭は不適な笑みを浮かべる。


「そうか、そうか、魔法使いか〜」


お頭が笑ったのは勝利を確信したからだ。

魔法使いはそれなりに驚異だ。遠距離から攻撃されたら、ひとたまりもない。しかし、今の状況はどうだろうか。遠距離で力を発揮するのに、敵は姿を見せ、なおかつ剣の届く範囲にいる。

たとえ、無詠唱で魔法を使っても、数で押しきることができるし、広範囲魔法は発動前に叩ける。援軍がいる様子もない。ならば、勝負は決したのも同然だった。


「お前みたいなのをよ〜、バカって言うんだよ」


そう言ってお頭は走り剣を振りかぶる。だがそれは、あっさりとシルドに受け止められる。しかも、腕で。


「なにっ!?」


あまりの出来事にお頭は後ずさる。もちろん、普通に受けた訳ではない。


ー身体強化ー


これがシルドが使った力だ。

シルドは魔法は積極的に使おうとはしなかった。初めて使った攻撃魔法が、爆発したというのもあるが、他にもどうもシルドが放つ魔法は、威力が強すぎてしまうのだ。


今回は近くに村人がいるため、リスクがある。また、敵が離れているため、一発で仕留める自信がなかった。

だから、必然的に使う魔法は限られた。


相手が動揺している隙に、抜刀の構えをとる。そして、剣に風属性の力を付与する。これにより、斬撃スピードと範囲が上がる。


「烈空衝刃!」


かけ声と共に抜刀。剣を振るった回数は四十五回。そして、攻撃が終わると同時に剣を納める。

シルドにしてみれば、大したことじゃない。しかし、彼の攻撃を捉えた者はいなかった。ただ剣を抜いて戻しただけ。そう見えていた山賊達は、次の瞬間に全員倒れた。


バタバタバタバタ…………。


村人は何が起きたのか分からなかった。いきなり、男が現れたと思うと、腕で山賊の剣を止め、剣の一振りで全員を倒したのだ。

山賊という驚異は去ったが、今度はそれを一人で倒す者が現れたのだ、シルドが敵か味方か分からない村人は、怯えるしかなかった。


(よし、茂みのヤツはロロが倒したな。…こりゃ、また怯えられてるのか面倒だな)


今回は時間がある。そう思いシルドは誤解を解くために、村人達に向かい歩きだした。

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