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時空の三連星 第1章  第13話

第十三話


:魂の邂逅、あるいは闘争の幕開け


【前編:魔女王と二人の少女】



重い鉄の扉が完全に開き、月光が降り注ぐビルの屋上へと、シズは静かに足を踏み入れた。

夜風が彼女の髪を優しく揺らす。その先に佇んでいたのは、琥珀色のグラスを傍らに置き、圧倒的な存在感を放つ男――御子柴 駿だった。


「お久しぶりです、私のお兄さん。……いいえ、御子柴 駿さん」


シズは立ち止まり、すべてを包み込むような知性と寛容さを湛えた

深く優しい微笑みを浮かべた。

その瞳には、ついに憧れの存在と対面できたことへの狂おしいほどの情念が揺らめいているが、その立ち振る舞いはどこまでも優雅で、取り乱す様子は一切ない。

しかし、彼女の精神の深淵では、二人の少女の感情が文字通り沸騰していた。


『本物……本物の駿さんだ……! 画面や記憶で見るより

何倍も情報密度が高い……っ!』


シズの背後で、霊的思念体として揺らめく中学生のハルが、両手を胸の前で握りしめて興奮に目を輝かせていた。


『あの佇まい、周囲の空気の支配率……私の脳の処理速度が完全にオーバーフローしそうです! ああ、でも、あの鋭い視線で睨まれるの、なんだかゾクゾクしちゃいます……!』


『ちょっとハル、興奮しすぎ! ……でも、めちゃくちゃ気持ちはわかるよ』


高校生のアオイもまた、羨望と驚嘆の入り混じった眼差しで駿を凝視していた。


『何あのオーラ、反則じゃん……。立ってるだけで、私の身体の闘争本能が「逃げろ」って警報鳴らしてる。でも――負けたくない。シズお姉ちゃん、私、あの人に私の全部をぶつけてみたい……!』


二人の歳相応な、瑞々しくも純粋な熱情。

シズは心の中で、よしよしと二人の頭を撫でるように、寛容な笑みを深めた。


(ええ、二人とも、可愛い妹たち。私たちの毎夜のあの疼きも、寂しさも、全部この人のためにあったのよ。今こそ、私たちの全てをあの人に受け止めてもらいましょう)


シズはゆっくりと両手を広げ、さながら側近を従える魔女王のよう

アオイの鋭い眼光と、ハルの隠しきれない知性のオーラをその身に纏わせた。





【後編:王の審判、そして激突へ】



「よく来たな、シズ。――いや、ハル、アオイも、そこにいるな」


駿は、数歩先で佇むシズを見つめ、静かに、しかし地響きのような威厳を孕んだ声で応じた。

実際の視界に彼女たちを捉えた瞬間、駿の「絶対観測領域」は、シズという肉体に落とし込まれた三つの魂のすべてを完全に透視していた。

ただ美しいだけではない。彼女たちの肉体と精神の奥底から立ち上る、狂おしいほどの熱量。毎夜、自分への想いに身を焦がし、その羞恥と後悔をすべて翌朝の血を吐くような鍛錬へ変換してきた、ストイックで、どこまでも「健全」な情念の結晶が、今のシズの美しさを形成しているのだと、駿はその鋭い眼光で見抜いていた。


「時空を超えた三位一体の執念……。言葉ではなく、その真っ直ぐな愛の重み

確かに受け取った」


駿の唇が、獰猛な歓喜の形へと歪む。

彼はゆっくりと一歩を踏み出した。

ただそれだけの動作で、屋上の空気が爆縮を起こしたかのような、凄まじいプレッシャーがシズたちを襲う。

慢心など微塵もない。

対等と認め合うため、そして真に愛し合うために、彼は目の前の少女たちを


「徹底的に、慈悲なく、容赦なく」叩き潰す覚悟だった。


「お前たちの『闘争』が、俺の領域に届くかどうか――ここで見極めてやる。

小手調べだ、来い」


駿の身体から、半径200kmを支配する絶対的なオーラが、津波のように解き放たれる。


「ええ、喜んで。――アオイ、ハル、行きましょう」


シズはクールな微笑みを崩さぬまま、知性と武の力を完全に融合させ、駿の放つ圧力を正面から受け止めた。

ついに重なる二人の視線。ただの再会ではない。魂を、愛を凌駕し合うための

本物の「闘争」の火蓋が切って落とされた。



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