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辺境生まれのトンデモ聖女は、王都の生活を満喫します  作者: 満原こもじ


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第75話:事態は急速に動く

 ――――――――――建国祭前日、王宮へ飛行魔法にて移動中。マイク視点。


 ネッサ嬢とその養父キーファー子爵、オレを連れて、聖女パルフェは飛行魔法で王宮へ急行する。

 聖女パルフェの飛行魔法は快適だと思うけど、いきなり使われるとビックリするのだ。

 初め子爵が小さな叫び声を上げていた。


 それにしても変だな?


「聖女様、さっき子爵邸まで飛んだ時は大勢に見られてたけど、今回は気付かれてないみたいだ。どうしてだろう?」

「おお、マイク君やるね。今は視認を妨害する魔法を重ね掛けしてるんだよ」


 そうか、子爵やネッサ嬢が王宮へ飛んだと自然派教団に知られると、何らかのアクションが早くなってしまうかもしれないからか。


「ま、魔力のムダだし、向こうから見えないことで却って危ないこともあるから、普段は使わない」

「ふうん」

「ちなみに今使ってる視覚阻害の術は水属性だよ。風属性でも似たことはできるけどね」


 オレの持ち魔法属性は水だ。

 初めパッとしないと思ってたけど、かなり応用が利く魔法属性なんだなあと最近は感じている。

 魔法の勉強が楽しくなるなあ。


「パルフェさん。さっきうちの使用人達を捕えた、バインドという魔法だけど」


 ネッサ嬢も気になっていたか。

 オレもさっきの魔法には興味ある。


「知らない魔法だった。雷属性だと思うけど」

「そうそう、雷魔法。そーいや本に載ってるの見たことないかも。あたしの住んでたハテレス辺境区では使い手何人かいるけどな」


 ローカルな魔法なのか?

 その地方の人しか知らない魔法って、結構あるんだろうか?


「ダメージは入らないで、麻痺と沈黙を付与するんだろう? いざという時、対人でも使いやすい魔法じゃないか?」

「本来は接触してる相手に麻痺と沈黙を与える魔法なんだ。遠隔範囲魔法化してるのはあたしのアレンジ」

「アレンジがえぐい」


 その通り。

 自在無双過ぎる。


「ま、使いやすいは使いやすい。雷魔法だけに発動速いし。あたしは好きな魔法だな」

「私も覚えたいな」

「オレも!」

「状態異常付与系の魔法って難しいんだっけ?」


 えっ? そうなの?

 オレじゃムリなのかな。

 

「基本的な魔法に比べりゃ難しいけど、ネッサちゃんなら問題ないわ。マイク君は自分の持ち属性である水魔法が先でしょ。三学期中に覚えよう」

「わ、わかった」

「ネッサちゃんには自然派教団蜂起の件が片付いたら教えるよ」

「うん、ありがとう」


 キーファー子爵が言う。

 もうすっかり落ち着いているな。


「ネッサは聖女様によくしてもらっておるのですか?」

「うん、友達。クラスは違うけど、魔法クラブで一緒なの」

「そうでしたか」

「ネッサちゃん、聖教会がもらっていい?」

「やはり知っていたか……」


 ネッサ嬢が純粋な聖属性持ちであることをだろう。

 国防結界を維持しうる魔力を持つということは、ウートレイド王国にとって非常に重要なことなのだ。


「あ、着いたからこの話はまた今度ね」


 王宮裏門前にフワリと着地する。


「聖女殿!」

「こんにちはー。こちらキーファー・ケイン子爵と……」

「いえ、結構。すぐさまお連れしろと、陛下の御命令です」

「説明にこっちの三人が必要だから連れてくよ」


 王宮内部へ。

 うわ、緊張する!


          ◇


「まあ、パルフェちゃんいらっしゃい」

「王様、スカーレットさんこんにちはー」


 大広間に案内された瞬間、スカーレット王妃殿下に抱きつきにいく聖女パルフェ。

 どうなってるの?

 この場に座しているのは大臣とか部隊の長ばかりなんだろうな。

 クインシー殿下も緊張気味の顔をしている。


 ローダーリック陛下が重々しく言う。


「オホン、聖女パルフェよ。時間が惜しい。状況を説明せよ」

「といってもあたしが知ってる当座の急に関係ありそーな情報は、明日自然派教団の蜂起があるってことと蜂起する人員は秘密兵器持ってるってことだけだよ」

「秘密兵器?」

「キーファー子爵登場! 子爵は自然派教団の信徒だよ。教団の何やら言う偉い人と繋がってる」

「何だと! 貴様どの面下げてここに来た!」

「ひっ……」

「王様待った! 今有用な情報持ってるのはキーファーさんだけだよ。怒るのはあとでいいから、まず話聞こうよ」


 聖女パルフェはすごい。

 よくあんな暴風みたいな陛下の怒声に割って入れるな?

 こっちがヒヤヒヤする。


「む? では子爵、とっとと話せ!」

「は、はい……」

「自然派教団の人が全部蜂起に参加するわけじゃないんでしょ? 過激な人は何人くらいいるの?」

「三〇〇は超えないと思います。しかし……」

「秘密兵器とは何だ?」

「これです」


 子爵が持ってきたのはマントだったのか。

 陛下がしげしげと眺める。


「……厚手の丈夫なマントだとは思うが、秘密兵器?」

「ここのポケットに魔石をセットすると加護が発動すると聞きました」

「あっ、魔道具なのか! 陛下、分解していい?」

「許す!」


 子爵の許可は取らないのな?

 肉を解体するのと同じナイフを飛ばす技で、マントを時間をかけずバラしていく。

 陛下が感心してる。


「ふむ、話には聞いていたが、実に見事な技だな」

「あった、これだ」

「魔法陣?」

「ガルガン、説明せよ」


 長い顎ヒゲを貯えたローブ姿の老人がガルガン宮廷魔道士長か。

 名前は知ってる。

 研究畑の人で、王都一魔道に造詣が深いと言われている。


「……打撃も魔法も無効化しますな。本当に起動するならば、ですが」

「どういう意味だ?」

「魔法陣って、陣全体に均等に魔力が行きわたってないと発動しないんだよ。だから地面に描いたりすることが多いんだけど」

「布に刺繍された魔法陣が、魔石一つで満たされるとは考えにくいのです」

「よっぽど魔力に対して抵抗のない糸が使われてるのかな? ま、それは置いといて、これが起動するならどう対策すべきか考えようよ」


 その場の全員が頷く。


「聖女殿の言う通りですな。これは攻撃を受けるほど魔力を消費します。クズ魔石では一回しか攻撃を防げぬでしょう。相手一人に対して複数で当たればよかろうと思います」

「多数で当たるなら組み伏せちゃえばいいよ。足引っ掛けるとかには無力だから、転ばせてマント剥ぎ取ればいい」

「キーファー子爵。マントは全部で何枚くらいあるのだ?」

「わかりませんが、私に配給されたマントは三枚でした」

「王様、子爵んとこの使用人は、一〇人くらい過激な教団の信徒がいたよ。ってことは四、五人に一人マントが割り当てられるくらいだと思う」

「先ほどの総数三〇〇を超えないというのが本当なら……」

「マントは全部で五〇~七〇枚くらいと見るのが妥当だねえ」

「ランスロット近衛兵長、ユースタス憲兵隊長、聞いていたな? かねてよりチェックしていた自然派教団員の主だったアジトを急襲せよ。マント装備者以外は無視してよい」

「はっ!」


 ユースタス憲兵隊長には懸念があるようだ。


「陛下、マント者に固まられると厄介なのでは?」

「もし固まって立てこもるようなことがあったらあたしに任せて。派手めの魔法でいっぺんに決着に持ってく」

「よし、聖女パルフェに任せる。宮廷魔道士と魔法騎士団は王都外壁の各門と外壁そのものを見張れ! 外部へは一匹も逃がすな!」

「「了解!」」


 士気が上がる。

 オレも気分が高揚してきた。


「聖女パルフェは王宮で待機していてくれ」

「りょーかいでーす」

「子爵、もう少し話を聞かせてもらうぞ」

「は、はい」

「そーだ。王様にぜひ聞いてもらいたい話のネタを、キーファーさんは持ってるよ」

「何? それは楽しみだな」


 子爵の顔、真っ青になってますよ。

 オレも話聞いてていいのかな?

 明らかに場違いなんだけど。

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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!
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