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辺境生まれのトンデモ聖女は、王都の生活を満喫します  作者: 満原こもじ


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第68話:文化祭一日目

 ――――――――――文化祭一日目、学院高等部教室にて。マイク視点。


「おい、平民。君が絶対に参加しなければならない出し物は、選択科目の声楽だけか?」

「そうそう。ダドリー君お仕事御苦労さん」


 聖女パルフェが大鍋をかき混ぜながら答えている。

 聖教会で炊き出しに使うことのある、超デカい鍋だ。

 聖女パルフェは火魔法を調節して温めていたが、本来なら熱するのも一苦労のはず。


「マイクは? 特に出役はないと聞いているが、間違いないか?」

「ああ、オレは絶対に参加しなきゃいけない出し物はない」


 科目選択の時は意識していなかったが、文化祭に関しては楽だった。

 いくつかレポートを提出したくらい。


「絶対に見たい出し物は?」

「一年四組の劇あるじゃん? 三日間どこでもいいから見たいな」

「ちょうど今日の午前中に、四組の劇と声楽の合唱が続けてあるじゃないか。もう肉入り汁は煮えているんだな?」

「バッチリだぞー」

「では今から君は午前中、出番以外は休憩時間でいいか? 昼食時の混み具合が予想できないから、それまでに帰ってきてくれると助かる」

「りょーかーい」


 ダドリーが皆の休憩のシフトを作っていた。

 結構仕切りも大変だな。


「マイクは基本的に平民に同行でいいんだな?」

「ああ、それでいい」

「聖教会からは誰か文化祭においでになるのか?」

「えーと、ゲラシウスのおっちゃんとお姉ちゃんは来るって言ってたな。二日目の関係者解放日に」

「お姉ちゃんとはどなただ?」

「ユージェニーちゃんのお姉ちゃん。エインズワース公爵家の」

「ああ、ジョセフィン嬢か。聖教会には鍋と器をお借りしているし、挨拶をしておきたいんだ」

「やるなー。二人とも魔物肉がおいしいこと知ってるから、早めの混まない時間に来ると思うぞ?」

「わかった」

「じゃあ行ってくるね」


 教室の外へ。

 やはり文化祭だといつもと雰囲気が違うな。

 ワクワクしてくる。


「思ったよりダドリー君が張り切ってるよね」

「殿下に直接頼まれたんだから、疎かにはできないよ」

「大したもんだ。ダドリー君はどっかで出し物の出番ないのかな?」

「最終日の剣術大会だけだろ」


 出し物は三日目までで、最終四日目は剣術大会と閉会式、後片付けになっている。


「あ、剣術大会に出るんだ?」

「剣術クラブの部員は全員参加だと思う。当然カークもビートも」

「カーク、ビートって誰だったっけ?」

「えっ? いつもダドリーと一緒にいる取り巻きの」

「ああ、あの二人か。名前知らなかったよ」

「クラスメイトの名前くらい覚えておきなよ!」


 聖女パルフェは興味ないことをマジで覚えないな。

 ちょっと驚くくらい見切りがシャープだ。


「出番まで一時間くらいあるな。あちこち見物しようか」


          ◇


「泣けるわーキュンキュンするわー」

「わかる」


 四組の恋愛劇を見た感想だ。

 主役のユージェニー嬢がハマリ役だった。

 ユージェニー嬢は文句のつけようのない淑女だし、本物のお姫様だしな。


「あたしもああいうお嬢役やってみたいな」

「ええ? 聖女様だと勧善懲悪の活劇になっちゃうだろう?」

「あれ、あたしってそーゆーイメージ?」

「もしくはコメディーかな」

「ダメだ。あたしもそうとしか思えなくなってきた」


 笑いながら魔道実習室に顔を出す。

 魔法クラブの展示は四年生の先輩方が見てくれている。

 学位習得課題しかない四年生は、基本的にクラスや科目の出し物に関与しなくて時間があるからだ。


「こんにちはー」

「やあ、パルフェさん、マイク君。いらっしゃい」

「予想通りすいてるねえ」

「ハハッ、毎年こんなもんだよ」


 魔法の人気がないのか魔法クラブの人気がないのか。

 今年はクインシー殿下が入部しているから、もう少し注目されてるかと思ったが。


「変わったことはなかったかな?」

「アルジャーノン先生がリザレクションの展示に興味を示していたよ。熱心にノートに写していった」


 アルジャーノン先生でも幻の魔法リザレクションには魅力を感じるんだな。


「君達はこれからどうするんだい?」

「クラスの出し物で魔物肉料理を振舞っているんですよ」

「昼食時だから手伝わなきゃいけないの」

「魔物肉料理かあ……」

「メッチャおいしいよ。量の割りに破格だよ」

「ふうん、話のタネに食べてみようかな。ドルフ、悪いけどここ頼むよ」

「オーケー」

「お客様ごあんなーい!」


 一年一組の教室へ。


          ◇


「何これ? メチャクチャ美味い!」

「だから美味いと言ってるのに。聖女ウソ吐かない」


 ラン部長に魔物肉たっぷりのスープを気に入ってもらえたようだ。

 魔物肉ということを隠していないから敬遠されちゃうんじゃないかと思われてたけど、結構お客さん入ってるよ。


「安いし美味いし量もたっぷりだし、言うことない! 完璧!」

「でしょ? 今は魔物肉ってことで様子見してる人が多いけど、明日明後日になるともっと混んじゃうと思うんだ」

「ドルフにも勧めておくよ。ありがとう」


 ラン部長が足取りも軽やかに帰っていく。

 本当に明日明後日は口コミで人気になるかもしれないな。


「あら、聖女様」

「あっ、サブリナとネッサちゃんか」


 ゲラシウス様の娘サブリナ嬢か。

 サブリナ嬢は呼び捨てなんだな?


「二人が仲いいとは知らなかったな」

「いや、そういうわけじゃないんだが」

「ネッサ様が魔物肉を食べに行くと言うので、私も一緒に行こうかと思いまして」

「そーだったか。お二人様ごあんなーい!」


 二人を席へ。

 ネッサ嬢ソワソワしてる?


「魔物肉を食べる覚悟がまだできてなくて」

「覚悟なんていりませんのことよ。とてもおいしいのです」

「一度食べたらもうふつーのお肉には戻れないかもしれないな。そーゆー覚悟はいるかもしれない」

「昨日パパが持って帰ったお肉で、一組で提供するスープと同じレシピのものをいただきましたわ。大変結構でした」

「そんなにかい?」

「絶対に美味いとゆーのに。さらに今日のは骨でダシ取ってるんだ。サブリナが食べたやつよりももう一段味わいが深いと思うぞ?」

「そうなの? 楽しみだわ」

「へいお待ち!」


 魔物肉たっぷりスープ運ばれてきた。

 ネッサ嬢の顔が微妙だが、食べれば良さはわかると思う。


「ず、随分と量が多いね」

「そこがウリなんだ。食べてみそ?」


 ぱくっと一口。


「お、おいしい!」

「でしょ?」

「これでワンコインって安過ぎないか?」

「材料費タダだから。塩や野菜や燃料もお肉と交換でもらってきたんだ」

「ええ、すごい!」


 定期的にこの肉売ってくれって言われたのは断ってたけどな。

 多分聖女パルフェは面倒だったんだろう。


「「御馳走様」」

「おいしかったら宣伝しといてねー」

「もちろんよ!」

「ああ、パルフェさん」

「ん? 何だろ?」

「この前の魔法、ありがとう。習得できた」

「ははあ」


 この前の魔法というと伝達の魔法か。

 オレも覚えたいが、聖女パルフェに次は自分の持ち属性の魔法を習得して感覚を掴めと言われているので、ちょっと先になりそう。

 あっ、聖女パルフェが悪い顔してる。

 何を企んでるんだろう?


 サブリナ嬢が尋ねる。


「この前の魔法とは何なの?」

「声を遠くまで届かせるっていう、ちょっと珍しい魔法だよ。ネッサちゃんは結構いろんな魔法使えるんだけど、闇属性の魔法は知らないようだったから紹介したんだ」

「いいなあ。私も魔法使いたい」

「来年から魔法実技の講義始まるじゃん。あたしが責任持ってしごいてやるわ」

「ええ? 楽して魔法を使えるようになりたいわ」


 アハハ、こういうところはゲラシウス様の娘っぽいなあ。


「じゃ、また今度ねー」

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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!
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