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不自由な僕らのアナザーライフ  作者: たてみん


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186/190

186.養殖場からの帰り道

 顔も知らない人を憶測だけで決めつけるのは良くないのでひとまずは詐欺師(仮)に留めておく。

 でも予防線は張っておく必要はあるか。

 シャコさんには追加の借金の話をされたら即決せずに保留するように伝える。


「一応言っておきますが『今だけ』『ここだけ』『あなただけ』というのはほぼ嘘で間違いないので、それを言われたら『あ、こいつ私を騙して儲けようとしてるな』と思ってください。

 そういうのは決断を急がせることで思考を誘導する常套手段ですから」

「そうなのかい? それじゃあどう答えれば良いんだろう」

「『友人に相談してみる』とかで良いと思います。

 そんな時間すら無いと言われたら『じゃあ無理だ』と断ってください」

「ふむ、分かった」


 よし、これで今より更に借金地獄になることは避けられる、かもしれない。

 まぁ相手が本物の詐欺師だったらなんだかんだと言いくるめられそうな気もするけど。


「ちなみに今って借金はどれくらい?」

「あーーー、まあねぇ。一応返せない額では、無いんだよ」


 どうやら既にかなりの借金をしてるっぽい。

 まぁ見るからにこのお姉さんは金銭感覚に疎そうな職人って感じの空気出してるし。

 かなり心配だけど僕は彼女に命令できる立場では無いので、問題が起きない事を祈るだけだ。

 僕は僕に出来ることを。

 アコヤン達の住環境の改善だけど、僕は音については専門外だ。

 音と言えばやっぱりフォニーだろう。

 最近はVR教材で楽器の練習をしてるって言ってたし何かアドバイスを貰えるかもしれない。

 ただアコヤンの事を言う訳にはいかないので、そこは上手く他の物にすり替えるなりして伝える必要がある。


(一度文面に起こして読み返してチェックして、それからメールで送ろう)


 あとは、例の学者先生についても情報を集めてみよう。

 もし本当に詐欺師なのだとしたらシャコさんだけをターゲットにしてるとは考えにくい。

 過去に別の人が被害に遭ってる可能性があるし、ギルドとかに聞けば何か分かるかも。

 養殖場を出た僕はギルドに戻ろうとして、ふと気になるものを見つけた。

 いや、見つけたというか思い出した。

 今日だけで隠し通路っぽいのを幾つも発見したんだけど、あれはいったい何だったのか。

 養殖場の件とは関係ないと思うけど通り道だし一応調べておこうかな。

 まずは養殖場に一番近いところから。

 と思ったんだけど。


(これそもそも道じゃなかったかも)


 辿り着いたのは地下へと掘り進められたトンネルというか穴。

 何かの工事現場かな。

 人の気配は無いので今日は工事お休みなのか、途中で開発が中止になって放置されてるのか。

 穴の先は方角から考えて海しかないんだけど。

 もしかして海底洞窟を掘ってるとか?

 いやそれならもっとしっかりした造りの壁とか柱を立てるだろう。

 よく分からないな。

 他の隠し通路の先も確認してみた所、最初のと同じ状態の場所が4か所もあった。

 一瞬、すべての穴が地下で繋がっていて緊急時に街の外に脱出する避難経路みたいなものかなとも思ったけど、それなら全部が海に向かって掘られてるのはおかしい。

 そもそもここって街の中心から大分離れてるから、こっちまで避難するのも大変そうだ。


「……よし。考えても分からない事はギルドで聞こう」


 困った時の冒険者ギルドだ。思考放棄ともいう。

 そして隠し通路の残り2つ。

 片方は貴族の別荘って感じの静かなお屋敷だったのでスルー。

 多分何かのクエストで訪れることになる場所だと思う。

 もう片方はおじいさんが営む古物雑貨店だった。

 置いてあるものは港町だから海に纏わるものが多い。

 でもよく分からない物も多いな。

 

「この網に入ったバレーボールサイズのガラス玉は何ですか?」

「それは浮き球だ。漁師たちが『ここに網を仕掛けてるぞ』と伝える為のものだ。

 もっとも最近はお洒落グッズだとか言って家に飾る若者も居るそうだが」

「確かに見た目綺麗ですからねぇ」


 一瞬鈍器かなと思ったのは黙っておこう。

 他にも横に穴の開いた石の箱(海に沈めておくと小魚の住処になるらしい)とか、魚介類のぬいぐるみも置いてあった。

 あ、アコヤンのぬいぐるみもある。手触りは本物の方がぷにぷにして気持ちいかも。

 こっちの貝殻に紐を通して作ったネックレスはお洒落だな。フォニー達へのプレゼントに買っておこう。

 そうして色々物色してたら結構時間が経ってしまった。

 ギルドに行くのは明日にしようかな、などと考えながら会計をしてたら店主さんから声を掛けられた。


「見ない顔だが、ここの事を誰から聞いてきたんだ?」

「誰から? いえ、偶々見つけただけですけど」

「そうか……こんな古びた店、もう覚えてる奴は居ないと思ってたんでな。

 久方ぶりの客で驚いたよ。

 それと最近この辺りをガラの悪いのが良く行き来するようになった。

 君なら心配いらないだろうが注意するに越したことはない」

「はい、ありがとうございます」


 何かのフラグかな?

 この辺りにあるのって言ったら別荘とトンネルとシャコさんの養殖場くらいだ。

 それ以外は普通の民家ばかりで、もしかしたら養殖場の更に向こうに何かあるって可能性はあるけど。

 折を見て周囲の探索もしておくべきか。

 まだこの辺りに出るモンスターは確認してないし。


「フォニー達は、まだログインしてないか。やっぱり今日は休みの日かな」


 ならちょっと早いけど僕もログアウトしよう。

 学年末試験は終わったとはいえ、VR学習アプリの言語学習はまだまだ学ぶことが多いし。

 春休みにフォニーに会うのであれば手話ももっと勉強しておいた方が良いだろう。



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