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不自由な僕らのアナザーライフ  作者: たてみん


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143/181

143.正解は1つとは限らない

明けましておめでとうございます。

今年も元気に楽しく参りましょう♪


 『大臣の間』を抜けて最後の『王の間』へと向かう途中。

 なぜかモンスターの姿が消えた。

 その分トラップは増えた気がするけど、足の踏み場がない程じゃない。

 お陰ですんなり進むことが出来た。

 そして扉が見えた。


『ここは王の間であった』


 一瞬メモの内容が行きの時と同じかなと思ったけど若干違う。

 なぜか過去形になってる。

 もしかしてモンスターが居なくなったことと何か関係してるのかな?

 まぁ入ってみれば分かるか。

 僕は扉に手を掛けて開き部屋の中へと踏み入った。


(これは……)


 行きの時は綺麗だった部屋の中が酷く荒れていた。

 壁画の人たちも居なくなって廃墟と言われても納得してしまいそうだ。

 そして。

 玉座に座っているモンスターが1体。

 部屋に入ってきた僕に見向きもせずに気だるげにあくびをしている。

 あそこに座っているという事は王なのか?

 あまり強そうでも賢そうでもない。

 この部屋の様子と合わせれば『没落した国の王』と言う言葉がしっくりくる。

 入口のメモとも一致するし。


(では僕はここでなにをすべきか)


 この玉座に座ってる王を討つ?

 それもありだと思う。仮にこの国?を没落させた原因がこの王だというのならその責任を取るのは当然の事だ。

 でも逆に敢えて手を出さずに放置するのはどうだろう。

 死刑と終身刑ではどちらが重い罰かと問われたら僕的には終身刑の方が重いと思う。

 なぜなら長い時間苦しみ続けることになるからだ。

 ということで放置することに決定。

 僕は堂々と部屋の真ん中を歩いて行った。


『グルゥ。ガアッ!』


 何か玉座の上で喚いてるけど、立ち上がって襲い掛かってくる訳ではないので放置。

 もう立ち上がる気力もないって事なのかもしれないけど、正しいシナリオが分かってないので同情することも出来ない。

 ただそのまま出ていくのもあれなので、出口の前で立ち止まった僕は振り返った。


『っ!?』


 目があった瞬間、ビクッと怯えて威厳も何もない。

 僕がすっと入口の扉を指差すと震えながらそちらを見ていた。

 きっとあの王は今後いつ自分を殺す襲撃者が現れるのかと怯えながら生きていくことになるのだろう。

 などと考えながら部屋を出た。


(あ、しまった)


 ここに至って僕は大事なことを忘れていたことに気が付いた。

 今って各部屋の反対側のメモがどうなっているのかを確かめるためにダンジョンを逆走している最中なのだ。

 そして最初の部屋まで戻ってきたのでこの先にはダンジョンの出口があるだけ。

 ということは僕はもう一度この部屋を通ってダンジョン最深部を目指さないといけないのか?

 それはちょっとどころじゃなく気まずいなぁ。


「……よし、今日の所はこのままダンジョンを出て、後日改めて来よう」


 多分だけど一度ダンジョンから出て何日か経てば諸々リセットされるはずだ。

 もしかしたら各部屋の謎かけも変わるかもしれないけど、その時はまた改めて考えればいい。

 ということでまっすぐダンジョンの出口まで戻ってきた。

 ちなみにこの区間は普通にモンスターも出て来た。

 やっぱり『大臣の間』から『王の間』に至るまでが特別だったっぽい。

 まぁそれは良いとして。


「ここだよね?」


 出口の階段があったはずの場所は壁になっていた。

 僕が道を間違えた?

 いやそんなはずはない。

 『王の間』からここまで、道の長さも分岐も全て記憶通りだった。

 罠の配置だってほとんど同じだった。


(ほとんど?)


 自分で言ってて違和感を覚えた。

 ダンジョンなんだから時間経過で罠の配置が変わることはあると思う。

 でも今回、変わっていない罠の方が大半だった。

 気になった僕は引き返すことにした。


「変わっていた、いや増えていたのはこの罠か」


 もう見るからに踏んだら何か起きますよっていうスイッチ。

 僕じゃなくても誰でも気付くと思う。

 そこに足を掛けようとすると、僕の変化した祝福が足元の床が消えた未来を視せてくれた。

 なるほど。落とし穴だ。穴の底までは見えなかった。

 よし、では一か八か引っかかってみるか。

 慎重に罠のスイッチを踏むと、予定通り床がパッと消えて僕は垂直に落ちていった。


……スタッ


 高さにして多分3、4メートルくらい落ちた所で地面に足が付いた。

 穴の底に針があって串刺しになるって事が無くて良かった。

 周囲を確認すれば3方向が壁で、1方だけ道があって進めそうだ。

 上を見れば落ちて来た穴は消えているので戻ることは出来なさそう。

 なら奥に進んでみよう。


(お、壁が普通の土になってる)


 落ちる前は人工の石材だったのに、ここは自然の洞窟って雰囲気。

 モンスターも罠もないし安全地帯なのかな。

 そうして歩くこと10分。

 行き止まりの開けた場所に到着した。


「ここは、廃墟、いや遺跡と呼ぶべきか」


 元は建物の一部と思われる崩れた壁や柱があったり、土壁には人や建物が描かれている。

 あ、最初の『王の間』みたく壁の絵が僕を睨んできたりはしてない。ただの絵だ。

 そして左の壁に描かれている絵は豊かな国の姿で、右の壁には荒廃した姿になっていた。

 まるで上のダンジョンで行きと帰りの情景を表しているようだ。

 きっとこれ『失われた王国の歴史』みたいなものだとは思うのだけど、残念ながら僕は考古学者でも歴史研究家でもないので「へぇそうなんだ」くらいの感想だ。

 こういうのが好きな人が居たら教えてあげようかな。

 それと気になるものがもう1つ。


「鳥の彫像?」


 部屋の奥でなぜかそこだけ綺麗な状態で残っていた。

 神社で言えばご神体、教会なら女神像に相当するものかな。

 もしここが『導きの勇者』にまつわる場所なら、この像が勇者に関係した、例えば従魔の像って可能性が高そう。

 残念ながらガンマさんと『導きの勇者』を結びつける何かは無いみたいだけど、折角ここまで来たしお参りはしていこう。

 それにもしかしたら、という期待もある。

 僕はアイテムボックスからガンマさんのクリスマス人形と果物の詰まった籠を取り出して像の前に置き祈りを捧げた。


「勇者様。この人形を出来ればガンマさんの元に届けて頂けないでしょうか。

 それとこちらの果物は最初の街で買ってきたものです。良かったらお召し上がりください」


 僕の願いが聞き届けられたのか、彫像が生きていたかのように動き出した。

 いや違った。彫像そのものはそこに残っていて、幽体離脱するように半透明な鳥が抜け出してきた。

 その鳥は両足で人形と籠の持ち手を掴むと飛んで行ってしまった。

 ……壁とか普通にすり抜けて行ったんだけど良いの?

 でもきっとこれでガンマさんの元に人形を届けてくれたんだと思う。

 もし違ったら焼き鳥にしてしまおう。


「よし、これでミッションコンプリートかな。

 あとはどうやって外に出るかだけど。おっ」


 ダンジョンの外に出たいと思った次の瞬間、僕はダンジョンの入口前に立っていた。

 実に便利な仕掛けだな。

 じゃあ今日の所は王都に戻って終わりにしようかな。


「あ、ハルトさんからメールが届いてる」


 王都に向かって馬を走らせつつメールを確認してみた。


『ラキア君。昨日はありがとう。

 俺達は無事にダンジョンの奥で目的のものを発見出来た。

 ただ相当広いダンジョンなので見つけるのにかなり苦労した。

 もしラキア君がこれから探索をするというのであればヒントは渡せると思う。

 もちろんネタバレになってしまうので聞かずに自力で探すというのも良いだろう』


 ふむふむ。どうやらハルトさん達も目的を果たせたみたいだ。

 でもこの文面からして僕とは違うルートを通ったっぽい。

 相当広いっていうのは果てなき荒野の事だろう。

 辿り着いた場所も別の場所なんだろうな。

 もしかしたらそっちが『導きの勇者』に関連した場所だったのかもしれない。

 けど、またあそこを通るのはちょっと気が引けるし、目的は達成できたからもういいかなって思う。

 なのでお礼メールだけ返しておくことにした。



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