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不自由な僕らのアナザーライフ  作者: たてみん


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142/181

142.ダンジョン謎解き逆走中

今年も1年お付き合いいただきありがとうございました。

最近は冷え込みも厳しくなっているのでお身体には重々ご注意ください。


 その後もダンジョンは続き『騎士の間』では大量のモンスターを討伐し、『倉庫の間』では数学パズルを解くことになった。

 そして。


『前線基地。この先に待つは果てなき荒野』


 というメモの先にあったのは何もないただの部屋だった。

 奥に続く扉も鍵は掛かってないみたいなので本当に何もなさそうだ。

 色々調べていたらハルトさんが何かに気付いて声を上げた。


「お、ここリスポーン地点に指定出来るらしい。ダンジョンにしては珍しいな」


 リスポーン地点というのはあれだ。

 死んだりログアウトしてもここから再開出来るという事。

 時計を見れば結構いい時間だったので、それなら僕は今日はここまでかな。


「すみません。僕は今日はここまでにしようと思います」

「そうか。俺達はもう少し先を見てこようと思う」

「分かりました。じゃあ今日は共闘ありがとうございました」

「おう、また機会があれば一緒に冒険しような」


 挨拶を済ませてログアウトした僕はベッドに潜り込みながら今日のダンジョン攻略を振り返ることにした。


(う~ん、『終わりなき』っていう割にはチェックポイントのように部屋があって前進してた感はあったんだよね)


 ということはむしろあそこまでがチュートリアルで本番はあの先って可能性もある。

 それとまだ最初の入口にあったメモの意味が分かってないのも気になる。

 あと思ったのはそう。


(ハルトさん達の連携は綺麗だったなぁ)


 阿吽の呼吸というのか、次に誰が何をするのかをお互いに理解して動いていた。

 チームでずっと一緒に活動していたからこそって感じだった。

 僕らもああいう事が出来るように今度練習してみようかな。

 などと考えていたら眠ってしまっていた。


 翌日。

 改めてログインした僕はハルトさん達が居ない事を確認して大きく伸びをした。


「よし、じゃあ攻略の続きと行こうか。

 って、どっちだっけ」


 右を見ても左を見ても同じ扉。

 試しに右の扉から出て振り返った所、そこにはメモが書いてあった。


『前線基地。引き返すなら今』


 あ、メモの内容が違う。

 ということは今いる場所が果てなき荒野ってことか。

 荒野と言いつつも実際にはここまでの道と同じように石の壁が続いてるんだけど。

 じゃあ先に進むか……いや待てよ。

 ここにメモがあるってことは、ここまでの部屋の出口の所にもメモがあったのかも。

 果てなき荒野なんて明らかに広大な場所を探索する前にそっちを確認してきた方が良いかもしれない。

 このメモにも引き返すなら今って書いてあるし。

 そう思った僕は扉を開けて来た道を戻ることにした。

 戻るだけなら道順は全て覚えているからそこまで時間も掛からないだろう。

 などと考えてたのに誤算があった。

 何故かモンスターが強くなっているのだ。


「ゴブリンが全身ミスリル鎧って、誰がそれ用意したの?」

『グキーッ』


 思わず質問してみたけど当然モンスターから答えが返ってくるはずもない。

 昨日は普通の鉄の胸当てとかを装備してたのに。

 仕方ないので鎧の隙間に短剣を突き刺して倒していく。

 いやトトさんの短剣なら関係なく切れるんだけど、あまりそれに頼り過ぎるのも良くないからね。

 そうして若干苦労しつつも『倉庫の間』まで戻ってきた。

 メモは、あった。

 やっぱりこっち側にもあったんだ。内容も違うし。


『倉庫の間。管理人は謎の死を遂げた』


 なんで突然ミステリー風?

 「犯人はこの中に居る!」とか言えば良いのかと思ったけど部屋の中には箱が3つあるだけで誰も居ない。

 慎重に箱を開けてみれば中身は果物と薬草と鉄鉱石。

 食糧や資材が倉庫にあるのは別に問題ないだろう。

 薬草の中に毒草が紛れ込んでいるなんて話でも無い。

 じゃあどこに問題があるのか。

 まぁ実のところ考えるまでもなく既に視えている。


「それとなく模様で錯覚させようとしてるっぽいけど、この箱だけ上げ底だ」


 薬草の入ってた箱を壊してみれば、内底の奥に作られた隙間に透明な袋に入った白い粉が出て来た。

 白い粉……もちろん、小麦粉でしたって落ちじゃないだろう。

 麻薬か毒薬か。

 手に取って確かめようとしたらスゥっと消えて奥の扉が開いた。

 流石に危険物は取り扱い禁止ってことか。

 まぁいい。先に進もう。

 続く『騎士の間』もメモが変わっていた。


『騎士の間。汝の威を示せ』


 来るときは『汝の力を示せ』だった。


(威って何だろう)


 確か読みは「い」だったよね。

 意味と言うか使い方は「威勢」とか「威光」、あとは「威圧」。「威風堂々」っていうのもあったか。

 つまりカリスマとかオーラで相手を圧倒しろってことかな。

 う~ん、僕にそんなものが備わってるとは思えないんだけど。

 とにかく行ってみるか。

 扉を開けてみれば、ずらっと整列しているオーガの大軍。

 高身長と相まって鬼気迫る圧力が凄い。これこそ威圧って感じじゃないか。

 気の弱い人なら回れ右して逃げ出してしまうだろう。

 え、それで、これに対して僕の威を示す?

 また無茶振りを。

 部屋の中に入っても動く気配が無いのは助かるけど、どうしよっか。


(ひとまず見下ろされてるのを何とかしよう)


 僕の方が身長が低いので、それを補うためにアイテムボックスから石材を取り出して足場を造りそこに登った。

 何とか彼らを見下ろすことに成功したけど、部屋の奥までびっしりだな。

 ネズミ一匹通しませんって感じだ。

 これは戦っても人海戦術で潰されて終わる未来が待っているだろう。

 この状態で威を示すのか。

 立ち位置で考えれば僕は司令官とか将軍みたいなポジションかな。

 であればここは王の間でもやった感じのロールプレイで行ってみよう。

 僕がここを通り抜けるんだから何か理由を付けて。


「これより私は王の間へと向かう。

 道を空けよ!」


 何となく右手をバッと突き出しながら指示を出してみた。

 するとそれまで微動だにしていなかったオーガ達がビシッと敬礼しつつ中央を向くように体の向きを90度回転し、僕が通れるだけの道を作ってくれた。

 そこを出来るだけ堂々と歩き続け突き当りの扉を抜けて通路へと出た。


「ふぅ~~」


 扉を閉めつつ大きくひと息。

 一連の流れから大丈夫だとは思ってたけど、自分より身長の高いモンスターの軍勢に囲まれるのは緊張した。

 落ち着くためにもアイテムボックスから果物を取り出して食事をしてから改めて先に進もう。

 しかし先には更なる問題が待ち構えていた。


「え、これどうするの?」


 問題となったのは『大臣の間』。

 部屋の中にあったのは今度はチェスではなく、木製の板の上に並べられた沢山の白と黒の石。

 メモには『神の一手を示せ』と書いてあった。

 あとヒントになりそうなのは板の外に置かれた黒石が1つ。

 多分この黒石をどこかに置けって話なんだろうけど、置ける場所がどこで勝ち負けがどうやって決まるのかも分からないのにどうしろと言うのか。

 さっぱり分らない。


(神の一手、神の一手……)


 う~ん、僕が神様だったらどうするか。

 いや神様でもルールが分からないゲームをどうこうするのは無理だろう。

 むしろ神様なら「自分がルールだ!」と言えばいいのか?

 ならこうだな。

 神様なんだからひたすら傲慢に。

 僕は黒石を掴んだ手を大きく横に振りかぶった。


「どりゃあっ」

ガッシャーーン


 盤上の石を全部叩き落す。

 そのうえで盤の真ん中に黒石を置いた。

 さあ、これでどうだ!


「……」

『……』


 沈黙が流れた。

 だけど部屋の入口に追い返されることもない。

 え、これはどういう状況?

 よく分からないまま待つこと1分。


ガチャッ


 おっ、奥の扉の鍵が開く音がした。

 どうやら無事にクリアと認めて貰えたらしい。

 いや自分でやっておいてこれはどうなんだろうって思う。

 でもこれでダメだったら他に打つ手が無かったのも事実なのでまぁ良しとしよう。



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― 新着の感想 ―
囲碁はなぁ⋯⋯分からんよなぁ⋯⋯
…判定に困ったんだなぁ…
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