47話 見舞い
47話
夏休みが終わっても、俺の入院は終わることなく、気ままに病院生活は続いていた。
そんな俺は、病院の図書館で暇を潰していた。図書室ではなく図書館ってのがよくわかる、病院の一室ではなく建物一つまるまる図書館で映画館も付いていて、周りの人は包帯を巻いている人や点滴をしている人が本を読んでいる姿が多く見られた。
とてもお金がかかっているんだろうと思う、病院の施設の一部だとは思えないほどだ。きっとお金持ちが多く通っているのだろう。先ほどからみる患者はどことなく気品があるような気がする。同じ年齢ぐらいのおっさんでも俺の親父とは纏っている空気が違う……。
「でもまあ、でかいのは飽きなくていいんだけど広すぎて迷ってしまうんだよな」
俺は今大きな病院施設の中で迷い病室に戻れないでいた。
「ここは町の大きなショッピングセンターみたいだな、店が病室や診察室に替わっただけでよく似ている、あっ、ジムもある……」
俺はなんとか見つけた映画館の側にある地図を眺めながら、帰り道を探す。
「大丈夫? 迷ってるの?」
隣から話し掛けられるが聞こえる。
「えっ、そうです入院しているんですけど、どこに戻るのか分からなくなっちゃって」
隣を向くとそこには車椅子の少女がいた。
彼女は女性にしては少し低い声、だが髪は後ろで一つに結ばれていて、綺麗な人だと思った。
「そうか、じゃあ案内するよ、俺はここが長いから」
「あ、ありがとうございます、えっと俺?」
「あー、俺男、尾野寺楓です。よろしくお願いしますね」
尾野寺さんは困ったように顔を掻きながらそう言うと、俺に女の子みたいなしゃべり方で挨拶をしてきた。
「は、はいっ! ふ、古河日向です」
「ふっ、別に怒ってない。さっ、早く行こう、ここじゃあ迷子はよくあるから案内所で訊けばお前の病室の場所が分かるよ」
斧寺さんはそう言うと俺より早く進んでいった。
俺は無事に俺のしる部屋の近くまで戻ってこれた。
そこで山田の姐さんと出会った
「ありがとうございました尾野寺さん、あと少しで検査に遅れる所でした」
「そうね、きちんと病室にいるよう私が言っておけば良かったわね。ここでは迷う人は多いから。
それにしても、やっぱり二人は知り合いだったのね、二人が一緒にいるところを見たこと無かったから違うのかと思ったわ」
俺がこの病院で初めてあった山田の姐さんは納得したといわんばかりに手をたたき、すっきりとした顔をしている。
「えっ、どういうことですか?」
「だって、君たちはお坊っちゃんのお友だちでしょ、だから二人とも友達だと思ったんだけど違ったみたいね」
お坊っちゃん、それは山田さんが天馬を指すときに使う呼び方だ。
「そうか、日向は天馬の友達だったのか」
「あー、はい、元々は俺が入院する理由は彼の部下のせいなんですけどね……」
「そっか、天馬の友達だったのか、じゃあ今度からは俺もお前の所に遊びに行く」
「はい、是非来てください」
「へー、二人はここで仲良くなったんだね。じゃあこれから古河くんは診察だから尾野寺くんはごめんけど……」
「はい、わかりました、じゃあまた来ます、グッバイ」
そうして俺は新たな友達をここで得ることができた。
*********************************
数日後、学校の友達がお見舞いに来てくれていた。
「久しぶり、古河君、怪我は大丈夫?」
「うん、大丈夫だ、お見舞いに来てくれてありがとな。
ようやく足のギブスが外れてもう少しすれば退院出来るってさ」
「そっか、良かった、猫川や犬山くんから古河君が森で事故して怪我したって聞いて心配だったの……」
そうか、葵とケンイチは俺の怪我の理由を事故ってことにしてクラスに伝えてくれたのか、そりゃ人に襲われたなら大事になるからな。
「おお、こんなことになるなんて思ってなくて驚いたよ」
「……ねえ、古河君、犬山君から聞いたんだけど古河君は肝試しをしていて錯乱状態になって気が付くと怪我してたって本当?」
……? えっ、何!? 確かに襲われたよりは事件性はないが他の誤魔化し方があるだろ。
これじゃあ、俺はびびって一人で怪我したみたいじゃないか!
彼女は俺を本当に心配そうに見ている。
「えーと、あれだよ俺が一人で錯乱したんじゃなくて、急に仄かに光る人型に襲われて、その後に気絶しちゃったんだよ」
……俺は何を言っているんだろうか、これじゃあ俺は本当に幽霊に出会ってしまった可哀想な奴じゃないか。
でも、嘘は言ってないんだよな、あの時冥は光る分身を生み出して襲ってきた。
あれって実は後から聞いたけど氣の分身術と催眠術の合わせ技で俺を攻撃したのはすべて本体だったらしい。
道理で本体がいなくなった後弱くなった訳だ。
「えっ、ほ、本当に!? ね、ねえ、それってここに来てからもその人型に会ったことはある?」
ミコさんは俺に引くことなく、俺の話に熱心に質問してきた、その様子は焦っているようにも見えた。
「いや、まあその人には会ったことはあるぞ」
まあ、その本体も当然人型だからな。
「だ、大丈夫なの、体は!?」
そうか、ミコさんは肝試しを怖がって参加しなかったんだ、ダから今もこの話を聞いて怯えているのかも知れないな。
「ああ、だからさっきも言ったけど大丈夫だ」
「でも、その人型は今でも……」
「安心しなって、俺たちは誤解が有って怪我することになったけど今は和解したからさ、案外話してみると初めの印象と違って面白い奴だぜ」
少しからかってやろうと思い俺は出会ったのが人であったと言わず話を進める。
「面白いって……、ち、違うわ! 幽霊はそんな優しいモノじゃない!!」
ミコさんは顔を赤くし、俺に怒りを吐き出すように言った。
どうしたんだ、ミコさんと幽霊には一体何が……。




