48 珍客
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「面白いって……、ち、違うわ! 幽霊はそんな優しいモノじゃない!!」
ミコさんは顔を赤くし、俺に怒りを吐き出すように言った。
どうしたんだ、ミコさんはそんなにも幽霊恐れているのか?
「どうしたんだ一体? 急に声を荒げたりして」
「ご、ごめんなさい。……今身体には怪我以外に異常はある?」
「いや、……全然。怪我自体もかなり良くなってきているんだ」
「そうなんだ、良かった。これあげる、よく利くお守りなの。……これを持っていたらきっと早く退院できるよ。
じゃあ、私そろそろ帰るね」
「ああ、今日はありがとな、お守りも。おっ、なんか元気になった気がするよ」
「……そう良かった。退院したら家に遊びに来て、じゃっ、ばいばい」
そしてミコさんは俺が返事をする前に帰っていった。
入院で暇しているときのお見舞い本当にうれしいな。ミコさんと早く一緒に遊ぶ為にも早く退院したいな。
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退院まで後一か月、病院での生活にも慣れてきて、迷うこともなくなってきた。
そんな中お見舞いに来てくれるのは学校の友達だけではなかった。
コンッコンッ
「失礼するわ」
「失礼しまーす」
その二人は俺の返事を聞くことなく入ってきた。
「うぇっ、カトリーヌとトキ」
「カトリーヌさまよ」
「お久しぶりっす、お元気ですか? ……って入院しているから元気ではないですね」
まさかカトリーヌがお見舞いに来てくれるとは、いやお見舞いなのか? まさか俺が弱っているのを好機と思い……。
「今日はどのような御用で?」
一応下手に出ておこう。
「ふん、口の利き方は覚えたようね、貴方が間抜けにも怪我をしたと聞いたので、……それでも一応貴方はタカト様のお友達なのでお見舞いに来ましたわ」
「カト様ー、そんな言い方はダメでしょう。カト様今日はそんな事を言いに来たんじゃないんでしょ?」
「……貴方はタカト様と肝試したそうね」
カトリーヌは言いよどみながらそう言った。
「あ? ああ。そうだけど、何か?」
「あたしは冥さんとはお友達だから、その現場にいたらあなたが襲われる前に助けることができたでしょうね……」
「まあ、でも過ぎた事を言ってもしょうがないですよ、今日はわざわざ来てくれてありがとうございます」
あれ、襲って来ないのか? まあ、誰とでも喧嘩するよりも仲良くした方が良いよな。
「いやー、本当に冥さんにやられたって聞いたときはびっくりしましたよ、元気そうで良かった」
「……」
カトリーヌは俺をじっと見つめ黙っている。何か言いたいことがあるのか?
「正直二人が来てくれるとは思ってなかったよ」
「……あたしがいればあなたが襲われる前に助けることができたでしょうね」
「……えっ、あ、はい、そうですね」
なんだ、さっきよりカトリーヌの視線が鋭くなってきた。それに動きがどうもぎこちない……。一体どうしたんだ?
「そうだ、二人は夏休みはどこかに行ったりしたんですか? 俺は野球部の練習と入院でどこにも行けなかったんですよ」
「あたしたちは夏休みの初めはあたしの家族とトキの家族みんなで旅行に行ってたわ。
でも八月には日本に帰ってきてたの、はあ……」
カトリーヌはそう言うとため息をつき悲しげに下を向いている。
「そうなんすよ、二人で行ったお遍路あれは修業とは違う感じで大変でしたねー、でも楽しかったですよね」
トキはそう言いながら、カトリーヌの隣で激しい身振り手振りで何かを俺に伝えようとしている。
……何? カトリーヌを、持ち上げる。フォローしろってことか?
「うら若き乙女二人でお遍路って女子力が……、思い返せば私はこの夏一体何をしていたの……」
おいおい、トキの言葉が追い打ちかけているじゃないか。
……まあ、理由はどうあれわざわざお見舞いに来てくれるいい人だ、それに落ち込んだ姿を見てそのままにしておけないよな。
俺はそうしてフォローの言葉を考える。
沈黙が生まれる、カトリーヌから出たどんよりとした青い氣が部屋を漂い始める。さ、寒い、空気が比喩じゃなくて本当に凍りつくみたいだ。これも氣の力なのか……。
早く考えろ、おれ! いまこの気まずい空気を払拭する方法を!
『ただ目の前にある事実を繋ぎ合わせれば答えは自然と見えてくることですよ』
コジロー! その時俺の脳裏に昨日の観た映画名探偵コジローⅧのセリフが脳裏を過る。
『不自然な点を見逃すな、そこに犯人があるんだ!』
ありがとうコジロー、俺もコジローみたいにやってみるぜ!
カトリーヌの不自然な点、それは……、そもそもカトリーヌが俺のお見舞いに来ることすら不自然だ何か目的があるはずだ。
「……そういえば、カトリーヌ達は何で肝試しに来なかったんだ?」
「あー……、いやーそれは不味いです」
トキは顔を青くし
「違う違う! 別に誘われなかったとかそんなの全然気にしてないから、別にお遍路で忙しかったから例え誘われたとしても行けなかったわ。
だから本当に気にしてないから! お遍路で本当にスケジュールパンパンだったわ あたしの夏は充実しすぎて大変だったのよ」
下を向いていたカトリーヌは俺の方を向くと捲し立てるように一息でそう言ってきた。
……隣のトキは頭に手を当てて苦笑いしている。
カトリーヌで肝試しに行けなかったことを気にしている、これが真相か?
よし、話を進めよう。ここからカトリーヌの機嫌を損ねないように上手いこと俺の話術で正解まで進まないと。
「えー、そうなんですか、ボクはカトリーヌさまが居てほしかったなー、カトリーヌさまは気にしなくてもボクは気にしちゃいますよ」
「そ、そう?」
「そうですって、次は是非来てください」
「そこまで言われたら仕方ないわね、来年の夏はスケジュールをあけておいてあげるわ。
そうだ、トキ、あれを。」
「はー、長かったー、はい、日向君これはカト様からのお見舞いの品です」
トキは小さい鞄から大きな包みを取りだした。
「さっ、開けてみて」
大きな風呂敷だな一体何が入っているんだろ、果物かな?
俺は風呂敷を広げ中身を確認する。
「ふふふ、さあ貴方は早くなりなさい。私の用意した日本伝統のそれをつけてまた来年の夏に会いましょう、ふふふー」
カトリーヌは最後にそう言うと微笑むと俺の返事を聞かず、トキは俺の顔を見て申し訳なさそうな顔をしたが何かを言うことが無いままに二人は去っていった。
「……お見舞いの品ってこれは……白装束?。
ってこれはお遍路のおいずるじゃないか! くっそー縁起は良さそうだけど、何だ、もしかして肝試しに誘う報酬として俺はお遍路にさそわれたのかよ……」
こうして俺の来年の夏の予定が早くも決まることとなった……。
タカトに言えば話は直ぐにすんだのにな……、でもまあ逆に遠慮しちゃったのかもな、あいつは俺とタカトじゃ全然態度がちがうから。それで俺の所に来られても困るんだけど……はあ。




