女子三人の夜
前話の内容で少し追加しました。申し訳ありませんが確認しておいてください。
追加内容はタカトが肝試しに参加するかどうかのくだりです。
小春、美冬、奏の三人は神社を出て暗い道を進んでいた。周りに外灯はなく美冬の持つ懐中電灯と月の光が道を照らしている。
「なんだか、本当にでそうな雰囲気ですね」
小春は体を小さく縮こまらせながら辺りを見回している。
奏も小春と手を繋ぎ怯えているようだ。
三人は怯えた様子のない美冬を先頭に、その後ろに二人が横並びで続く。
「あの、思ったより、怖いですね、美冬さんは平気そうですけど、私はこの肌寒さすら不気味に思えるんです……」
「やっぱりヒナタ君たちもいてくれたら良かったのにね」
小春がそう言うと奏は勢いよく頷いた。
怖がっている者同士で連帯感が生まれていた。
「怖がれているってことは肝試しを満喫できているってことじゃないか良かったね、満喫してくれて僕も嬉しいよ」
美冬は振り向くことなく楽しそうに笑いながら立ち止まることなく前に進んでいる。
奏は美冬の背中を不思議そうに見詰め、すぐに美冬の前方に視線を向けた。
「ここからの道はきちんと整地されているけど、所々段差が有るから気を付けてね」
三人は森を抜けて、墓地の近くまで来ていた、道も土からコンクリートに変わっている。
『……苦シイ……、憎イ……ドコダ」
彼女たちが微かに何かの声のような音が聞こえて来た。
「あの、美冬ちゃん、奏ちゃん、何か……、声が聞こえないかな?」
「気のせいだよ、僕には森の草木が風で動いた音にしか聞こえないよ。
やっぱり怖いと思っていると、そんな風に聞こえるんだね」
そう言うと、美冬は立ち止まり、後ろを向いた。
「……私も小春先輩と同じく、誰かの声に聞こえました。ここって、大丈夫何ですか? あの、噂とか、言い伝えとか何も無かったんですか?……」
「だから、怖がりすぎだって、ここはまだお墓じゃなっ……、あ、ああ」
二人の方を向いていた美冬は話を途中で止め、手を震わせながら小春を指差した。
「小春先輩? 先輩が一体どうしたっ、きゃっ」
奏はその場で悲鳴をあげてしゃがみこむ。
「わ、私が一体?」
がしっ、小春の肩に手が掛けられる。
『……ミツケタ』
「ひっ!! はぅ」
小春はその手に気付くとショックの余り気絶してしまった。
「せ、先輩、大丈夫ですか!? こいつは一体?」
小春が倒れたことでその手の持ち主が露になった、顔が真っ青で着ている服は赤色で汚れている。
そいつは動くことなく、その場で佇んでいる。
「えー!? 小春ちゃん大丈夫かい?」
美冬はすぐに小春の元に駆け寄り、抱き上げる。
「美冬さん!! 危ない! 近くにはまだ幽霊が!」
奏は怯えた様子で腰が引けながらも、逃げずに美冬に声をかける。
「えっ? う、うん、早くっ、消えて、シッ! シッ!」
美冬は怯えること無く、果敢に小さい体を精一杯使って手を動かし幽霊に挑み追い払う。
小春を気絶させた幽霊はその場でしばらく硬直し、その後危害を加えることなく風が無いのに起こった砂煙と同時に消えた。
「ふうー、驚いたね、まさか気絶しちゃうなんてさ」
美冬は抱き抱えていた小春を持ち上げ背負った。
「そうですね」
「小春ちゃんが気絶しちゃったし、帰ろっか?」
「……いいえ、続けましょうよ 小春さんが起きるまで休んで」
奏は美冬を真っ直ぐに見詰め、口許を少し綻ばせながらそう言った。
「そう? 分かったよ、小春ちゃんが起きるのを待って考えよう」
「はあー、でもあの幽霊を困った奴だね、か弱い女の子を気絶させるなんて……」
「そういえば美冬さんはあの時全然幽霊に怯えていませんでしたよね」
「え? いや、僕だって最初は驚いたさ、何言ってるんだよ、もう」
「そうですか? すいません、ふと気になって」
「うぅ、ここは、私はどうしてここに?」
数分後、美冬にお姫様抱っこをされていた小春は穏やかに目を覚ました。
「起きたんだね、よかったあ!」
「はあ、はい、私はどうしてここで眠っているんでしょうか?」
「何も覚えて無いんですか?」
「まあ、別に覚えていないなら大事じゃないってことだよ、だから無理に思い出したりする必用無いよ」
「そうですね、必要になったら思い出しますよね。すいません、お待たせしちゃって、肝試しはまだでしたよね?」
「うん、じゃあ続けようか」
そして、三人は再び動き始めた。
「私は美冬さんに確認したいことが有るんですけど」
奏は真剣な顔で美冬を見て話始めた。
「なんだい? 別にいいよ」
「美冬さん、あなたあの幽霊の事知っていますよね?」
「……何のことだい?」
美冬は視線を奏から空に剃らし、奏を見ること無く質問に答える。
「まあ、わざわざこんな演出してくれたことは感謝しています。
でも、やりすぎです、本当にあれはもう洒落になりませんよ」
「いやいやいや、ちょっと待ってよ、そんなぁ、僕らが仕組んでたなんて証拠が有るのかい?」
「証拠は有りません、でも私は風間からの誘いなので周りに警戒しながら肝試しをしていました。
初めは違和感が少し有ったんです。『肝試しを満喫してくれて僕も嬉しいよ』と美冬さんはここに怯えること無く言ったんです」
「確かに美冬ちゃんは怯えていませんでした……」
「いやいやいや、ちょっと待ってよ、そんなのたまたまだよ」
「そうですね、その頃はまだ何もただ少し怪しい、自身でも考えすぎだと思っていました」
ゴクッ、美冬は唾を飲み込み奏の次の言葉を待つ。
「でも、『ふうー、驚いたね、まさか気絶しちゃうなんてさ』と言い、幽霊に対してはシッシッって簡単そうに手で追い払ったんですよ、全然驚いてなかった」
「いやいやいや、……ちょっと」
美冬は立ち止まり黙ってしまった。
「そして、最後の証明は、すぅ、風間くん来て!」
「……ふぅ、誰も来ないじゃないか」
美冬は焦った顔から来なかったことで一息ついて、そう奏に言った。
すると、木がざわめきだし、何かの足音が徐々に大きくなっていった。
「やあ、奏さん、こんばんわ、良い夜だな」
そしてタカトが現れた。




