44話 夏の終わり
44話
目が覚めると、朝だった。時計を見ると八時だ、俺はいつもよりも寝心地の良いベットで目を覚まし、部屋も落ち着きのあるインテリアだ、値段はよく分からない家具ばかりだけどとりあえずテレビは家の二倍くらいでかかった……。
窓から外を観ると上から海を眺めることのできる眺めのいい場所だ。
ここは一体どこだ、ホテルなのか。
「おはようございます、……体の調子はいかがですか?」
扉が開く、見知らぬエプロン姿の女性が現れる。起きている俺を見て少し目を見開くと俺の体調を尋ねてきた。
「……おはようございます、えっとまあぼちぼちです」
「そうですか、良かった君ははここに運ばれたとき右腕とあばらを骨折していたんだよ、他にも打撲や痣、内蔵にも傷があって正直今日は起きないだろうって先生に言われて、それで起きてたからびっくりしたんだよ、本当に大丈夫?」
「あの、ここは何処ですか? 俺は渡神町の外れの墓地で肝試しをしていたような」
確か俺は朱里さんとテル君に会ってその後は……。
「ここは渡神港の近くの病院だよ、えーと、確か君は渡神の森からヘリで来たんだよね。君はウチの病院のオーナーのヘリにオーナーの息子と一緒に来たから皆すごいビックリして下にも置かぬ扱いだったんだよ。君はどっかのお金持ちなの?」
「いえ、そんなことはないです……」
「それに君は運ばれて来た時赤く染まった白装束で来たもんだから皆すごい怯えて、頭には矢が刺さっていたしね」
彼女は笑いながら昨日の事を教えてくれる。
しかし、全然記憶に無い、昨日の事は朱里さんたちに会ったところで途切れている、そういえば俺の体は胴と右腕にはギプスがはめられているし、昨日は一体何が会ったんだ……。
「じゃあ、今は様子を見に来ただけだからまた来るね、何かの有ったらベットの側の電話機はすぐに私たちに繋がるようになっているから」
「はい、ありがとうございます」
そして彼女は部屋を後にした。
俺はその後慣れない左手で食事をし、テレビを見ながら暇を潰していた。
ノックが聞こえた、看護師さんだろうか。
「はい、どうぞ」
「やあ、元気かい? 昨日はごめんね」
「おっす、ヒナタ君元気か?」
美冬とタカト、それと知らない人が二人が入ってきた。知らない方の二人は悲痛な表情でやって来た。
「おう、元気だぞ、正直なんでこんなことになったのか分からないんだけどな」
「「ゴフッ……」」
ワイルド系のイケメンとメイド服の美人なおばさんは先程より顔色を悪くして顔に陰が差し込んでいる。
「こんにちは、古河日向君、今日は改めて謝罪しようと思ってきたんだ。昨日は本当にすまなかった」
「本当に申し訳ありませんでした、それとこれは見舞いの果物です、どうぞ」
ワイルドさんとメイドさんは俺に頭を下げた。
「ああ、どうもありがとうございます。それであの、謝罪の前に聞きたいんですけど、お二人はどなたですか? 僕はどうにも昨日の記憶が途中から無いんですよ」
ワイルドさんは顔を青くし、メイドさんも固まってしまった。
「あーあ、やっちまったよ、あーあ、あの時僕はやばいって思ったんだよ、だってぼろぼろなところを二連打だよ」
「大丈夫か! 冥やりやがったな!」
美冬先輩は手を頭にあて、タカトは俺に駆け寄ってくる。
場の空気が凍り付いた。
「いや、その僕は怒ってはいないので、はい、とりあえず昨日の事を教えてくれませんか」
「そうだな、冥ここはお前が話せ」
「はい」
「いや、でもさ、絶対怒るよ。間違いないよ、僕としては忘れているならそのままにしておいた方がいいと思うよ」
「まあ、いいじゃん、教えてやろうぜ」
そして、メイドさん、冥さんの説明が始まったんだ。
「……そして私と会ったときは貴女は友人と一緒にいました、それで私は勘違いで……」
そうだそこらへんから記憶がないんだ。
そうだなんかクソババアと殴られた覚えはあるぞ。
「……その後神社で友人たちと合流しそして……」
長かった説明は終わり俺はぼんやりだか思いだし始めていた。
「あー思い出した!。はあまじかぁ、俺は肝試しできて無いじゃん。思い出した俺はクソババウッ、に気絶させられて」
俺は冥の目力はババアと言おうとした瞬間目から光を放った気がした、それを感じると俺はあの時の事を思い出して口が痺れてしまった。
「……それでその後はどうなったんですか? 小春さんにはなんて?」
「うん、それは僕から話すよ、ヒナタ君が気絶させられ後に天馬君と冥さんは君と部下の人をヘリで運ぶのに付き添ったからね」
「……ってことがあってね、まあ、タカトも参加してないし参加出来なかったのは一人じゃないよ、……なんてね、小春ちゃんは今度はヒナタ君と一緒にって言ってたしね、また来年行こうよ」
「うううぅ、うおーん、ぐやじくで涙がどまらない、ちくしょー。
あんなに殴られたのに、あんなに目潰しされたのに、涙が止まらねーよ」
「俺も今年はヒナタ君と一緒で参加出来なかったんだぜ、だから来年一緒にやろうぜ」
「ら、来年? うん、……行くぜ来年」
「そうだ、もし良かったら来年は俺が盛り上げ役として参加しようか」
「ええ、それはとてもよろしいかと、わたくしも力一杯お手伝いしまーす」
「うおぉわ、二人もありがとう、いい人なんですね、うん、来年よろしく」
「「ふう」」
「よっしゃ、ヒナタ君早く退院して俺の夏休みの宿題手伝ってくれよ」
「ああ、任せろって、でももう夏休みも数日しかないのにまだ宿題残ってたのか?」
「『夏休み忍者っ子合宿』に参加してたからな、時間がなかったんだ」
「おう、いいぞ」
「今度はヒナタ君も合宿参加しようぜ、あっだめだな、今度は俺も参加せずに宿題とデートするぜ」
「そうだな、そうしよう」
「なあ、二人とも好きな人がいるのか?」
「ああ、そうだぜ、天馬はまだいないのか、好きな人?」
穏やかな空気はタカトのこの言葉から緊張感溢れる雰囲気となっていった。
「あー、今の所いないなぁ、俺も新しい恋したいぜ」
「えっ、どういうことですか!? 以前好きな人がいたんですか?」
「そうだよ、僕も初耳だよ、誰だい?」
「えっ、いやー…………忘れた」
「ははは、知らないのか、二人とも天馬は失恋したんだぜ」
タカト、お前って奴は最悪だな、無意識にとんでもない爆弾を投下した。
二人の意識は俺から天馬さんにいってしまった。
「タカト、それって誰?」
「おいっ! タカト余計な事は言うな男の秘密だろ」
「そっか、そうだな、ごめん天馬。男の秘密だから教えられない」
「そうだ、用事思い出した、それじゃあヒナタ君また来るよ。タカト行くぞ!」
天馬さんはタカトを引きずって逃げて行った。
「ふう、やれやれ困った天馬君だね、例え逃げても後でタカトから聞き出せばいいんだよ。タカトの口の軽さを知らないみたいだね」
「そうですね、わたくしも部下を使って過去に若と接点のあった女性をしらみ潰しに探るとしますか」
すごい二人からやる気の炎が見える、暑苦しいよ。
「……なんだか眠くなったので、俺少し寝ますね」
頼む気を使って帰ってくれ……。
「そうか、じゃあ僕も帰るね。明日も来るよ」
「わたくしも失礼します」
はあ、疲れた、果物食って、本当に寝ようかな。
俺の入院生活はこうして散々なものとなった。しかし、俺の入院させてくれている天馬さん、金持ちっぽいです。ホテルなのかと思うほど快適で豪華な生活を過ごすことが出来た。
「ふぁあ、俺は本当に寝ようかな」
俺はあくびをし、静かになった部屋で眠り始めた。




