↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
45/53

43話 終結

43話


 冥の長い話も終わり、これからのことの話になった。


「じゃあ、君は俺んとこの病院においで、家のメイドがやったことだ。我が家で責任もって治療するよ。冥すぐにヘリの手配を、彼と埋められているお前の部下を病院に連れていくぞ」


 天馬さんは優しく俺にそう言うと埋められた部下を掘り出す為に土を手で掘っていた。


「「ちょっと待ってください」」

 俺と冥の発言が被る、俺は少し彼女が怖いので先を譲る。


「そんなことはわたくしがすることです、若がすることでは有りません」

「そんなことはないさ、こいつらは冥の部下だが俺を守るためにこうなったんだ。俺が助けようとするのは当たり前だろ」


「そ、それはそうかも知れませんが……」


「そうだね、僕も天馬君の言っている事は間違っていないと思うよ。

 僕も手伝うよ、これをやらかしたのは僕の弟弟子だし、それにぼ、僕の大切な人の護衛なら助けるのは当然さ!」

「忍術の漆『…………』」

 そう言うと先輩小さく呟いた後、地面に手を当てるとしばらくして地面が揺れ、固まっていた土を柔らかくなった。


「……ああ、ありがとな。お前みたいないい奴が友達で良かった」

 先輩は暖かい笑顔で天馬君にそう言うと


「ううん、それは僕の台詞さ。僕も君と出会えて良かっていつも思っているよ」


 微笑ましい光景だ。聞く話によれば二人は幼馴染みらしく昔からの深い絆があるのだろう……と普通なら思うだろう。しかし、俺の隣にいる冥に向けた勝ち誇ったような先輩の笑顔と冥の固く握りしめられている拳を見見てしまうと二人の関係、女のの恐ろしさしか感じられない。

 と、とにかく俺はこのまま病院に行くことができない事を伝えなければいけなかった。


「あ、あのすいません。俺はこれから友達と肝試しをするので、これから友達が来るんですよ。それであの病院は後で自分で行くので……」

 俺は天馬さんの元に行きそう伝えた。

 

「それは駄目だ! 君は冥と戦って今も体を引きずっているだろ。約束を破らせるのは申し訳ないが君は病院に行ってもらう」


「その通りです。あの時わたくしは確実に死んだと思った、その手応えがあった。今も自力で動ける事は感嘆することですが、それでも体には相当のダメージが蓄積されています」

 いつの間にか冥も側にいて俺を病院に行かせようとしてきた。


「小春ちゃんには僕が上手く言っておくから安心して、本当に冥さんと戦って生きているのは凄いことなんだよ」


 皆俺を優しく諭すように語りかける、でも、俺はここで肝だめし出来なきゃ俺の夏の青春の思い出は野球しかないんだよ。だから俺はなんとしても負ける訳にはいかない。


「そんな……、そ、そうだ美冬先輩、あの薬湯は今無いんですか? あれがあれば」

 俺はいつもあれを飲むと自力で家に帰れるまでに回復する超便利アイテムだ。


「ごめんよ、ヒナタ君……。今日の事は僕が誘ったのに」

 先輩は俺の質問に答えなかったが、その口調から答えは聞かなくても分かった……。

 

「で、でも俺は師匠との修業の時このぐらいからでもまだ組手を続けますよ」


「本当に貴女は楽しみにしていたんだな、しかし、命に関わることだ申し訳ないが……」

 冥は俺の前に立ちそう言うと、ドスッ、鈍い音が体に響く。腹にいたみが伝わる。うう……。


「って、痛っ! えっ、ちょっと待って、『ドンドンッ』ぐふっ……」


 冥はお化けでも見たような顔をしもう一度固く拳を握りしめ手を振りかぶっていた……。

 


********************************* 


 月夜で神社の境内は照らされ、その神社は静寂に包まれていた。


「おい、彼は大丈夫なのか?」

 天馬は先ほどの冥の怪我人に二度打ちに引いてしまってで声が出ず、恐る恐るといった様子で冥に質問する。


「はい、彼はかなり打たれ強さで、それにこの技も威力を体に伝わらせるよりただ意識を奪う為の技ですから大丈夫です、とにかくそれよりこのまま病院に行かないことの方が問題です、先ずはどんなことをしても病院に連れていくべきだと思いました。」

 冥は日向を抱き抱えながら早口で捲し立てるように、まるで先ほどの事を正当化するように話す。


「でも、本当に驚いた、さっきの戦闘では冥は彼が死んだと思ったんだろ……」


「はい、タカトさんから話を聞いた時は本当に焦りました、ですが彼はその状態でわたくしが死体の見張りとして置いていた五体の幻舞を破壊していました……。だからさっきのはしょうがないんです」

 冥は目線を逸らしながらそう言った。


「……いつも修業死にかけているんだ、ヒナタ君は普通の家の出身なのに気付いたら他の忍者っ子が逃げる『鬼』をすごい慕って弟子入りしているんだよね」

 美冬は困ったような顔でそう言い、場のフォローに回っていた。


「そ、そういうことでしたか、いやー、かの『鬼』の弟子であるならばあの強さも納得です。それであれば『絶拳』受けて意識があるのも納得、本当に納得ですな。おっ、ヘリが来たようですね、わたくしは彼と部下の病院に付き添いますので失礼いたします」


「ああ、よろしく頼む」


 こうして古河日向の夏休み最後の思い出は肝試しではなく入院生活になってしまった。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。