40話 夏の混乱 美冬の夜
40話
美冬と天馬は暗く周りが木に覆われ石畳が敷かれている道を進む。
外灯が少なく懐中電灯で照らし漸く道が見えるほどの闇、光の届かぬ道の先や周りの暗闇から吹く風は妙な寒気を伴って二人の背筋を凍てつかせる。
「……すごい静かだね」
「ああ、暗くて周りも見えないし、本当に何か出てきそうだな……」
「……」
美冬は別の理由で動きがきごちなくなっている。
「おい、黙るなって。静かになったら怖くなるだろ。
おっそうだ美冬は今日は浴衣着て気合い入ってるんだな。似合ってるな、なんだか胆試しに浴衣って(夏っぽくて)ドキドキするよな」
「えっ、えええ、うん、天馬くんも(二人っきりの胆試しに)ドキドキしているの!? 僕もドキドキしているよ。き、き、き、奇遇だね」
美冬の動きが油がきれた機械のようにさらに悪くなっていた。
歩く姿は一昔前のネジを巻いて動くロボットようだ。
「おい、大丈夫か? そろそろ墓地に着く頃だぞ、そんなにひびっているならやめるか?」
天馬は心配性に美冬の顔を除き込む。
「……やめない」
美冬の頭はショート寸前だったがそれでも止めないということだけははっきりと言うことが出来ていた。
「そっか、じゃあ手を繋ぐか? そうしたら怖くないだろ?」
「うん? うん!」
美冬は一度動きが止まり、天馬の言葉を理解するすぐにに顔色を変えて返事をした。
天馬が手を差し伸べたその時、人の声のようなものがが木の向こう側から響きだした。
『ウォー!……出タ!……』
『痛イ!、痛イ!、痛イヨ!』
「なんだよ、これは。まさか本当に? 走るぞ!」
天馬はすぐに美冬の手を引いてその場から走って逃げた。
「うん」
『イデェー、イデェーヨ……クルシィ……助ケテクレー』
声の主は二人を追いかけることなかったが、さっきの場所から苦しそうな声が呻き声と伴に聴こえて続ける。
「ここまで来れば聞こえないか! さっきのは一体……。美冬は大丈夫か?」
こっそり後ろに向かってサムズアップをしたいた美冬はサインを天馬に見せないようにして、その場に座り込んで震えている素振りを見せる。
「う、うん? こ、怖いわ!、落ち着くまで抱キ締メテクダサイ」
「だ、大丈夫。安心しろ俺が側に居るから」
「ひゃっ!」
優しく抱き締めてもらった美冬は顔を赤くし、興奮で本当に震えが起こった。
それを収めるために天馬が良かれと思いさらに強く抱きしめるので余計に頭に血が登り、震えが止まっても顔の赤みはまったく取れることはなかった。
数分後、美冬の顔の赤みとニヤケが取れて漸く天馬の顔を見れるようになったので、再び動き始めた。
「よ、よし、大丈夫になったよ、さあ行こう」
「そっか、無理なら言えよ、すぐに戻るから」
「うん!」
美冬は楽しそうでふやけた顔で手を繋ぎ墓地に入っていった。その様子は墓地に行くというよりも遊園地に行く子供のようだった。
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「ようやく着いたな」
「うん、ここの辺りにどこかにお札が隠されているらしいんだけど……、あった!」
「よし、これで帰れるな、帰りは別の道を進んで神社に戻るんだよな。
流石にあそこはもう一度通りたく無いよな」
「うん、……そうだね」
「……どうしたんだ? キョロキョロと周りを見て、別にこんなとこに何もないだろ」
「……うん、いや、まあ何もないのが普通なんだけど……、」
美冬は訝しげに周りを見て、首を傾げている。
この時美冬には墓地の中に驚かせるような仕掛けを見つけるどころか、スタンバっているはずの人の気配すら感じらることが出来なかった。
「おい、早く帰ろうぜ、なんだか、薄気味悪い、さっきから誰かに視られているような気がするんだ」
天馬は既に墓地を出て墓地の中の美冬に声をかけている。
「今行くよ」
小走りで天馬に追い付き二人は早足で神社を目指した。
その道中は何か不審な出来事もなく、早足であったことも有り、暗い夜道だったが早く神社に戻って来ていた。
そして神社には二人の予想を越えたものが待ち受けていた。
「えっ、これって……」
「こいつらウチの部下じゃないか!? どうして神社に俺たちが神社を出たときはなかった。ほんの少しの時間でこれだけのことを、一体誰がどうやって?」
そこには首から下を地面に埋められている男たちがいた。
その時、梟の如きまん丸お目目を持つ美女が自然と会話に混ざってきた。
「ふふん至極簡単、美冬さんの可愛いお友達によってわたくしの部下をこんな目に合わせたんです。酷いわよね、天馬サマ、やはりこんな野蛮な女とと、付き合うのは止めるべきなんです。ほら見て私の頬っぺた赤くなってる」
「なに! 冥お前に傷を付けることができる奴がいたのか!?」
「いやいや、そもそもなんで貴方が居るんですか? 今日は仕事で実家に帰っていたんじゃないかい?」
「ふん、良からぬ予感がしたので、ええご存じの通りのわたくしのメイドセンサーが疼きまして、急いで仕事を終わらせ戻って来たんですー」
口調とは裏腹に天馬の時とはうって代わり鋭い目で美冬を睨み付けている。
「ご安心ください、良からぬ企みをしていた友人の少し眠ってもらっただけです」
「いや、ちょっと待てよ、俺は事情が全く分からないぞ、説明しろ!」
「承知いたした、しかし私は急いで来たので全てを把握していないので代わりに他の者に説明してもらいましょう。お手数かけますが代わりに出てきて説明してください」
「……」
「おい、出てこないぞ」
「はあ、しかた、有りませんね」
冥がため息をつくのとほぼ同時に神社の本殿から物音がした。
そうすると本殿の戸が開きそこからは白装束を身に纏い顔白く塗りたくった、両目に青タンを付けた少年が体を引きずって現れた。
「ど、どうも? 初めまして古河日向です」
ドーランとアザでパンダみたいな少年、日向は戸惑いぎみに挨拶をした。




