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39話 夜の怪談

39話



 本殿の中にアイテムの入っていた袋を適当に二、三選んで地図の場所に向かう前にその場で話し合いを始めた。

 どうやら胆試しの予定地は神社から始まり神社のの近くの墓地を通り遠回りで神社まで戻るルートのようだ。


 タカトはケンイチと共に神社の辺りで隠れ、俺と後で来る葵は墓地付近で待ち伏せすることにした。

 そして俺たちはそれぞれが袋に入れて持ってきた物の確認を始めた。


「なんだよ、こりゃ」

 タカトは布で巻かれている球が付いている釣りざおを取りだしていた、きっとそれで火の玉を再現するんだろう、けっこう本格的なんだな、なんだかワクワクしてきた。


「それは火の玉を作るための道具でしょうね。それで僕のやつは一体……、これは、胆試しの定番アイテムですね」

 ケンイチの袋の中にはいろいろな衣装が数人分入っていた。


「あっ、これでお化けっぽくメイクしろってことだな」

 俺は俺の袋にはの鏡とメイク道具と思われるものが入っている。


「よっしゃ、それじゃあ着替えて、変装するぞ! よっしゃ、早く準備して行くぞ。なんか気合い入ってきたぜ!」


「……着替え終わったけど、これただの不審者じゃないか?」


「そっか? 俺は最高に決まってると思うぜ。じゃあ、俺はさきに行ってるぜ」


「あのやっぱり僕のと交換しますか? 」

「いや、大丈夫、ありがとう。俺たちも行こう」

「はい、それでわ」


 俺は自分達の衣装に不満を持ちながらその場で着替えて、それぞれの持ち場に残りのアイテムを持って向かった。

 


**************************


 時間は午後七時、神社の前には四人の男女がいた。


「よっしゃ、揃ったな?」

 眼鏡をかけ、穏やかな顔立ちの風祭輝は両手を叩き、四人全員揃ったことを確認する。


「うん、そろったよ。今日はウチとテルくんと美冬ちゃんと天馬だけだよ。今日はいつもお世話してくれるメイドちゃんはいないんだね?」

 ワンピース姿の朱里は何気ないことのように天馬に質問する。


「ああ、今日は冥は実家に帰って入るからな、そんな言い方だと俺がすごい子供みたいだからやめてくれ」

 美冬の想い人の天馬は心外だといわんばかりに肩をすくめてそう言った。

「(よし、これで邪魔者(ライバル)がいないことが確定した)」

 そして質問の答えを聞いた美冬は小さく笑い。天馬に見えないように他の二人にガッツポーズをする。二人はそれに気づくと少し口がにやけている。


 「よし、今日の目標は墓地の奥に置いてある事前に用意した印の付いた手作りのお札を持ち帰ることだよ、組み合わせは……」

 可愛く浴衣でおめかししている美冬が早く始めようと話を進めようとする。


「じゃあ、じゃんけんで負けた方、勝った方に分ければ簡単に分かれていいんじゃないか?」

 天馬が美冬の話を遮りそう言った瞬間三人の空気が変わった、緊張感が空気の中に急に現れた。


「はあ? お前はアホか? 普通に考えてカップルのウチらが同じ組になるのは当たり前でしょ、何で胆試しで彼氏と来ているのに彼氏と彼女がそれぞれ別の異性と行かなきゃいけないのよまじで、はぁまじでアホだよ」

 朱里は天馬の間近で思い切り下から睨み付けている。


「お、おい、そこまで言わなくても……」

 整っている顔を渋くし少しずつ距離を取りながら、なんとか平静を保ち反論を試みる天馬。

「そうれは言い過ぎだよ、朱里ちゃん。」

 美冬は待っていましたと言わんばかりのしたり顔で天馬と朱里の間に入った。


「美冬」 

 庇って友人に天馬の顔に笑顔が溢れる。


「いい? 例え彼が朱里ちゃんにとってアホで空気の読めない奴でも僕にとっては大切な人なんだ 、少し位大人の心で許してやってくれよ」


「ごめんね、そうだねウチが大人になるべきだったね」


「美冬、助けてくれてありがとな、お前はやっぱり優しいな」

 

「そんなこと無いよ、天馬くんの方が優しいよ、僕は昔から天馬くんのことが、す、す、す、すごく大切な友達だと思っているからさあ、困っていたら放っておけないんだよ」


「チッ」

 小さく舌打ちをする朱里。


「いや待てや、これで良かったんよ。告白はまだ早い、美冬もだいぶテンパっているみたいじゃけえ。あいつ好きな人のことアホで空気が読めないって言っとる、ここで告白していたら失敗するぞ」

 テルは小さな声で朱里にそう言い、朱里の怒りを収めさせる。

「ストレス発散」

 朱里は静かに呟いて、テルに抱き付き怒りを収める


「サンキュー、俺も美冬のこと大切な友達だと思ってる。

 よし、じゃあ俺と美冬の組とテルと妹尾さんの組だな」


「ああ、たちまちお前らが行ってきんさい。ワシらはいちゃつき終わったら追いかけるけえ」


「よし、じゃあ早速行ってくるねー!」

 美冬は天馬の手を引っ張りながら墓に向かう道に入っていった。


「お前らも絶対こいよ!ーー」

 引っ張られながら通りすぎる間際にそう言い残し、天馬も闇の中に消えていった。


「ふう、やっと行ったか、ウチらも先回りして驚かさないとね」


「ああ、『きゃー、お化け! 怖いわ! お願い私を強く抱き締めて 大作戦』始動だな」


「やっぱり長くない? それ。でも、そんなことより美冬がそんなに可愛く怖がることが出来るかが問題なんだよねまじで」


「ワシは面白いと思ったんだけどな、まあ、そんな作戦名の方が面白そうじゃん。

 ワシはあかりんの親友の頼みだからっていう理由だけじゃなくて面白そうって理由があったけえ参加しとるんや」


 朱里は二人の姿が見えなくなると抱きつくのをやめ、テルと朱里はすぐに二人とは別の道で動き始めた


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