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38話 胆試し

38話


 そして胆試しを実行する当日俺たちは以前集まった神社に昼過ぎから集まっていた。


「おっす、来たか。なんだよ結局一人しか連れてこれなかったのか、友達少ないなあ、お前ら。」

 朱里さんは初めから本殿だった建物の扉を開けて待っていてくれたようだ。

「こんにちは、えーと、彼は犬山謙一君です。あと一人後から来ます。」

 葵はまだ部活をしているから今ここに来ることは出来なかった。


「初めまして、僕はタカトさんとヒナタ君と同じ道場に通っている、犬山謙一です。今日は頑張ります」


「おう、期待しているぞ」


「なあ、朱里ちゃん、隣の人は誰だ?」


 朱里さんの隣には見たことのない人がいた。

「ああ、こいつはウチの彼氏の遠藤輝(てる)くん、手伝いしに来てもらった。もしものためだったけど、案の定お前らの連れてくる人手少なかったからね」


「か、彼氏っすか!? 」

「うえっ!?」

 

 そんなこんな人の良さそうな穏やかな人が口の悪い朱里さん彼氏なのか!? でも、朱里さんも見た目は小柄で眼鏡をかけていて一見気が強そうには見えなかったが彼女の眼鏡の奥にはとんでもない眼力を備えた目があり、俺は睨み付けられている思い出しかない。


「なんだよお前らその反応は?」

 朱里さんは俺たちをじっと半目で下から睨み付けてきた。


「い、いえ、何でも無いです」

「あ、ああそうだぜ。別に物好きがいるんだなって思ってはいないぜ。あっ……。」



「はっはっはっ!、自分等にはまだあかりんの魅力が分からんようやのう。あかりん気にするなワシはあかりんにゾッコンじゃけえ」

 テルさんは俺たちの態度にを気にした様子もなく、笑っている。


「ううん、ウチはテルくんが可愛いって言ってくれるならそれでいいの。ウチはテルくんにメロメロだよ」

 あれ、朱里さんも全然気にしていないどころか喜んでいる様子もで顔がニヤついている。


「ワシもあかりんにメロメロじゃあ。こんな可愛いあかりんがワシの彼女なんてワシは世界一幸せなんじゃ」


「ううん、テルくんは二番目、一番幸せなのは世界一格好いいテルくんの彼女のウチよ」

「いいや、そんなことはない、ワシの方が……」

「ううん、ウチの方が……」


 二人は俺たちを置いてきぼりにして、言い合いという名のいちゃいちゃしだした。すごいあんな口の悪い朱里さんとすごく仲良しだ。


「おいおい、何やってんだよ、朱里ちゃん俺たちの時と全然態度が違うじゃねえか……。それにあの男も見る目が無いよな」

 タカトは俺にそう呟いてきた。


「ば、馬鹿野郎! 逆だ! 普通ならば朱里さんとは付き合いたく無い、そんな中朱里さんは好きな人を落としたんだ。分かるだろ、どれだけあの人がすごいか?」


「た、確かに」


「それにテルさんは人の心を折ってくる女をあんなメロメロにしてしまう、すごいモテ男、猛者だぞ。考えてみろカナちゃんがお前にメロメロになったところを、羨ましいだろう?」


「奏さんが俺にメロメロ……」


 そして俺もメロメロの小春さんを想像する。


『ヒーナくん! 今日もカッコいいですね。どこかの国の王子様かと間違えるところでした……』


『いや、はるるんこそ、美の女神が現れたかと思っちまったぜ。いやはるるんの方が女神様より美しいよな、ごめん間違えてしまったぜ』


『もーヒナ君ったら、うふふふ、きゃはは』

『あはは!、いやーこれは失敗しちゃったぜ、あはは……』


「……ペアルックの手編みのセーター、だーれだ? タカくんだ、へへへへへ」


「はっ!」

 タカトの独り言を聞いて俺の意識が現実に戻って来た。


 しまった俺も妄想で我を忘れてしまってた。危なかった俺も後少しで戻って来れなくなっていた……。

 こんなににやけて腑抜けたタカトの顔は初めてだ。隣にいるケンイチも可哀想なモノを見るかのような顔でタカトを……、いや俺たちを見ている。

「分かっただろ、あの人たちは俺たちよりはるか上にいる人たちだ」


「ああ、考えてみたらすごいな、あの人に教えを乞えば」


「ああ、そうだ。後で落ち着いてからお願いしようぜ」

「おう、了解だ!」

「あのー、それで僕は結局なんの為に呼ばれたんですか?

 あちらの人たちもなんだかさっきからずっと乳繰り合っているんですけど」


 可哀想なケンイチ、詳しい事情が分かってないのにこんなとこまでついてきてくれた好い人だ。そして来たら来たで俺たちはいちゃついたり、ニヤついたりでほっとかれて、本当に来たこと後悔しているだろうな……。


「ごめんごめん、すいません! 朱里さんとテルさん話を進めてもらってもいいですか?」

 俺はケンイチに謝るといちゃついている二人の話を断ち切るように話しかけた。


「ああ、すまんかった、それでまずはワシらと美冬と天馬が順番に行くんじゃ、美冬の想い人の天馬は今日はワシら四人しかおらんと思っとる、そこでお前らがワシらを驚かせるわけだ。

 それが終わったあと、天馬と美冬がが帰った後だな、ワシらはまたここに戻って来て今度はワシらがお前らと彼女たちを驚かせる計画だ」


 この人たちは驚かされるタネを知っているのに胆試しをしようとしているのか変わっているんだな……。


「よっしゃ、具体的には何をすればいいんだ?」


「それはウチの用意した地図に印の書かれているポイントで待機しておいて、後本殿の中にアイテムがあるから各自適当に持って行って。

 二組終わったらここに戻って来てくれていいから、それじゃあ、解散」


 そうして俺たちは本殿の中においてあるそれっぽいアイテムが入っているだろう袋を持って三人別々の場所へ向かった、あっ、その前に葵にメールで教えとかないとな。








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