35話 野球
35話
休憩時間、俺は葵と教室で最近のことを話していた。
「ねえ、ヒナタ、最近じゃあずっとグラウンドによくいるけど野球部に入ったの?」
「ああ、始めは生徒会の助っ人としてマネージャーをしていたんだけど、その運動能力を見込まれて一緒に練習しているんだ」
そうだ始めはノックを打つだけだったのが今では俺も打ってもらう側になった。
「俺は先輩たちと勝ちたいんだ、今俺はマネージャー兼ピッチャーとしてやっているけど」
「そっか、一年でも戦力として期待されているのはすごいね」
「ああ、だから俺はキャプテンの期待に応えたいんだ……」
俺は自分に言い聞かせるように声に出して自分の気持ちを葵に伝えた。
「いや、お前は次の試合に出場するかもしれないんだろ。
俺サッカー部のマネージャーから聞いているぞ、俺はマネージャーするようになってから男子のマネージャーは珍しいってことで色々と教えてもらったり仲良くしているんだぜ。」
「そうだね、まだ決まった訳じゃないから。それにしても選手だけじゃなくてマネージャーとしても頑張っているんだね」
葵は照れたように頭を掻きながら顔を赤くしている。
「まーな、マネージャーさんたちは面白い話が聞けるから思ったより楽しい」
そうだこいつはモテモテらしく一年の女子マネージャーの中にはこいつのことが好きな奴もいるらしい。こいつは俺に全然モテてるなんて話をしない、もっと話してくれれば面白いのにな。
******************************
夏休みに入った、ついに地区大会が始まった。二年の先輩と俺で交互に試合に先発した。守備の好守もあり、何とか俺の投球でも勝ち抜きついには市大会にまで出場が決まった。
だけど、そこで負けた。
試合が終わった、負けだ。俺のボールはセンターまで飛ばされサヨナラ負けだ。
ああ、皆との思い出、それが今走馬灯の様に頭の中を駆け巡る。悔しい、負けたくなかった……。
『ノックいきまーす!』
キンッ、キンッ、ボールが綺麗にファーストとセカンドにめがけてボールが飛んでいく。
『うおっ、危な! 顔面ストレートじゃないか、もっとごろで頼む!』
『でも狙いは良いし、もっと頼む』
『はあ、はい、分かりました』
あー、この頃はやる気もなくめんどくせぇって思っていたっけ。
『おー!古河、水筒に水を入れてきてくれたのか、ありがとうな』
『ああ、本当にお前がマネージャーとして来てくれて良かったぜ』
『……なあ日向、お前野球経験は?』
『無いです』
『じゃあとりあえずやってみようぜ見てるだけでもつまんねーだろ』
俺はろくに野球なんてやったこと無かったけど、精一杯やっている皆を見ているととっても皆が羨ましく思ったんだ。
『はい』
その輝いている野球部の皆を見ていたら俺も皆の仲間に加わりたいと思ってしまったんだ。
『すっげえこいつは球速百三十は軽く越えてるぞ それにコントロールも良いし』
『……なあ、古河お前俺の代わりとして出場しろ、俺の球よりもお前の方が……』
『おい!、井上! なに言ってんだ お前はエースだろ!』
『エース? それはお前らが稼いだ点を守りきれないエースのことか?
俺は勝たせたいんだよ! 俺はキャプテンなんだ、だから俺は皆の為なら、勝たせる為ならエースを止めることなんてどうってことない!
このチームには俺以外にピッチャー経験の有るやつはいないだったら優秀なこいつにって思ったんだ』
『先輩、俺は出れません』
『何故だ?』
『いえ、俺なら試合で直ぐに負けてしまうからです』
『何を言っているんだ!』
『俺はキャプテンより弱いです、いや、キャプテンだけじゃない他の先輩、他の学校の先輩もです。
俺は野球に対して強い想いが有りません。だから俺は強い想いを持って戦えるキャプテンに投げてほしいです』
この頃には皆で勝ちたかった、先輩たちが必死に練習しているのを知っていたから。キャプテンは俺よりもマネージャーのように俺たちをサポートしてくれていたんだ。
『……ありがとう、でも俺は肘痛めているんだ、半年はピッチングは出来ないってさ、試合に出れない。だから本来助っ人マネージャーに頼むのは間違っているけど、頼む』
「礼!」
「「「ありがとうございました」」」
「キャプテン!」
「「「井上!」」」
俺は礼を終えるとベンチで待つキャプテンに抱きつく、周りの皆もベンチにいるキャプテンに抱きつき始める。
「古河、今だから言うが俺は女子マネージャーと付き合いたかったんだ。
それなのにお前がきてかなり落胆した。けどな今は違う俺はお前や皆と一緒にこの夏を過ごせたことは一生の思いでこれはただの可愛い女の子なんかじゃ作れない最高の宝物さ」
「すいません、俺の最後のボールが打たれなければ……」
「日向ありがとうな、お前のシゴキのおかげでこんなに最後まで元気にプレーできた本当にありがとう」
「ぐすっは、はいこちらこそありがとうございました、選手として誘ってくれたおかげでこんなにいい思い出が出来ました」
「そうだな、お前が居てくれなきゃ怪我人ピッチャーを出さなきゃ行けなかった。本当にありがとう」
終わった、キャプテンたちとはもう練習で会うことが無いことがただ悲しかった。
こうして野球部の夏は終わった、俺は頼まれていたのは三年のいる間だったので引き留められたが野球部に残ることはしなかった。
俺が野球をやりたかったのは先輩たちが輝いて見えて俺も一緒に、あの中にハイリタイそう思ったからだ。
はあ、なんだか力がでない、やる気が出ない……。
俺はこれから数日家に無気力にだらだらと過ごしていた。




