33話 若白髪で眼帯装備の少年
33話
「失礼します」
俺たちは保健室に入ると赤くなった制服を着ている白髪の生徒がベットの上にいた。
「よお、元気か あれお前は眼帯してなかったか?」
「あの眼帯は視覚を狭めることで他の五感を研ぎ澄ます為にやっている事だ。別に目が悪い訳じゃない、逆に視力は良いぐらいだ。しかし俺は結局お前の目眩ましに負けてしまった……」
こいつ修業の為に眼帯しているのか……。何故だろうタカトとケンイチは平然としている。俺はよくわからない世界を見たような気がした。
「そうか、大丈夫そうなら良かったぜ。聞いてくれよ、先生はあんなに盛り上がったのに怒りやがったんだ、ふうやれやれだ」
「それも仕方ない、でも俺の力でクラスを盛り上げることが出来たのならうれしいな。
風間くんそこの二人は誰だ? 君の友達なのか?」
ユガミ君は口数は少なく積極的に話をするタイプには見えなかったが温厚で優しそうな人だと思った。
「あっそうだ、この二人は俺の友達で古河日向と犬山謙一だ、二人もそこそこ鍛えているぜ、それと俺のことはタカトって呼んでくれ」
「あー始めまして古河ヒナタです、ヒナタで良いよ」
「僕は犬山謙一、好きなように呼んでください」
「そ、そうか、俺は湯神源と言います、よろしくお願いします。
……あの俺の白髪については何も言わないのか?」
ゲンは礼儀正しく礼をしてそう言った。やっぱりこの人はいい人のようだ。それに二人は気にしてなかったけど普通は若白髪なんて気になるよな。本人もきっと気にしているのだろう。
「そっか、うーん格好いいな。いや髪を染めてはいけないっていうルールの裏をかく白髪、上手いことやったなあ」
「……若いのに苦労しているんですね、それとタカトさん別に彼は望んで白髪になったようでは無いので上手いことやったというのは違うと思います」
いや、ケンイチはルールの裏をかくって方は何にも言うことは無いのか?
「そうだな、別に特には言いたい事は無いな……」
「そうか、俺は散々からかわれてきたんだ、そう言ってくれてうれしいよ。
ヒナタとケンイチも鍛えているようだけど何か習っているのか?」
「そうだね、タカトさんの道場で僕もヒナタ君も鍛えているんだ。
ゲンの方はどうなの? 」
俺は忍者のことを話して良いか分からず答えられなかったがケンイチが上手く答えてくれていた。
「俺は家に伝わる武術を習っているんだ」
「へぇ、面白そうだな。そうだ、今度もう一回ちゃんと戦おうな」
「じゃあ、俺の家に来てくるか、家は近所だから今度の休みにでも」
「よしそうしよう!」
こうして俺たちは武道少年と交流を深めていくこととなった。
また、タカトとゲンの戦いはケンイチが『う、うう……。僕のトラウマが……』と震え出してしまうほどに激しく白熱することとなった。
俺はもタカトを格好いいと思った、くっそー俺も早く強くなって格好良くなるぞ!
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五月になった、初めはギクシャクしかけた学級委員に立候補した俺たちだったが今では仲良くやっていた。
「なあ、志村お前はなんだ、今度はカナちゃんに気が有るのか?」
「うん、お前の周りには可愛い子が多くて良いな。なあ葉山さん好きな人いるのかな?」
「いや、分かんないけど、カナちゃんを好きな人なら知っているぞ、とっても(戦闘力的に)強力なライバルがいるぞ」
「へっ、関係無いね、それなら早い者勝ちさ!」
しかしこいつはあいつ同様に相手にされる事は無く一週間もすると
『隣のクラスに可愛い子がいるんだって。好きな子いるのかな』
カナちゃんのことを全く引きずる様子もなく次の子に向かっていった。
ケンイチはさりげなくカナちゃんに近づけないに
ついでにタカトのクラスではタカトとゲンは先生以外とは仲良くやっているようで白髪を気にしていたゲンも皆と仲良くしていた。俺としては眼帯の方が目立つと思うんだけどな。
……後の問題は先生に目を付けられてることだけだろう。
そしておれは体力テストでは修業の成果を存分に発揮し、学年全体で総合成績は五位だった。
一位はタカトで二位がゲンで三位から四位が道場で会ったことあるやつだった。 例え五位であっても修業の成果は出ていた。
美冬先輩は俺の成績と修業のことを小春さんに教えていたらしく、『私は運動はあまり好きではないので、常に上を目指し身も心も鍛え続けているヒナタ君を尊敬します』って言われたんだ。
くっそ、あの時『あなたを護るために鍛えているんです』って言えれば良かったのに……。
とりあえず俺の学校生活は順調に始まっていた。
俺とミコさんは美冬先輩のいる生徒会に所属して粛々と仕事をこなしていって、小学生時代からの習慣の朝の掃除には中学からは小春さんにミコさんが参加し一緒に掃除をしていた。
正直、小春さんと二人っきりが良かったが下心の俺とは違う本物の優等生であり同じ片想い中のミコさんにそんなことを言うことはできなかった。
そして俺よりもミコさんの方が小春さんと仲良くしているような気がしなくもなかったが俺は気にしないようにして毎朝の掃除をしていた。
「あの、小春先輩、先輩って沢山のコンクールで入賞しているんですよね。
進路は美術系の学校にいくんですか?」
美術室の前の廊下を三人で掃除していた。そんな時ミコさんが小春さんにそう訊いてきた。
俺はこの時とんでもなく焦った、まさか高校が別々になることを考えていなかったからだ。
「うーん、一応海外の学校から誘いも有るんだけど、今のところは近所の推薦してくれている普通科の学校に行こうかと。そこの学校は美術にも力を注いでいますし、近いのでそこにしようかなって思っています」
そっか良かった……。進路のことは考えておかないといけないんだな。
しかし六月に美冬先輩が他校に交流生徒として半年向こうに行ってしまう準備で忙しくなってしまい、この日の不安は長く記憶に留まることは無かった。




