25話 これが忍者だ
明けましておめでとうございます。
今年も頑張って投稿していきます、目指せ完結。
25話
俺と美冬先輩は箱尾さんの待つ古道場に着いた。
『てりゃー!!、はっ! せいっ!』
ガリッ、ゴキッ、ボコッ! 鈍い音と激しい光の点滅が目の前のふるびた道場から出ている。
『ぐぅあ、ま、参った』
『甘い!、実戦に参ったなんかないぜ!』
ボコッ
『あぅ、うぅ』
『それまで! 勝者風間鷹人!』
大きな気合いのはいった掛け声と汚いうめき声が聴こえる。
「ここなんですか? なんか十八禁ぽい音が聞こえるんですけど」
ここに来るまでの道中に見た修業風景は一般的なら厳しめのトレーニングだが別に怪我をすることがあっても死ぬようなことはなさそうだった。
しかしここの道場から聞こえる音は先程まで聞こえていた音とは生々しさが全然違った。
「いや、流石に人は死ぬことはないから大丈夫だよ。
それに精々十五禁ぐらいだね。
さあ、行くよ、タカトはもう来ているから」
先輩は道場の戸を叩いてから閉まっている戸の前で挨拶を始めた。
「願道場の美冬です、ヒナタ君を連れて来ました」
「おう、今片付けてるか、ちょっと待ってろ。
よし、入っていいぞ」
落ち着いているタカトの声が聞こえた。
戸を開けて中へと入る、そこには顔に痣のあるタカトと、箱尾さんがいた。
あれもう一人うめき声をあげていた人がいない?
さっきの片付けてるってそういうことだったのか!?
「すみませんでした、お待たせしてしまった。予定が長引いてしまって。 時々こちらでお客をおもてなしすることがあるんです。
そのお客さんは既に連れの者に本館の方に運ばせました。
これからは好きに自主連でもこの場所で修業してもかまいませんよ」
「はい、今日から箱尾さんに鍛えて貰うんですけど何からするんですか?」
「今日は鬼ごっこをしたいと思います、私が鬼になりますので逃げて下さい。
それで今のあなたの実力を計ります。
私はこれから二分ここで待つので十分間好きに逃げきってください」
そう言うと箱尾さんは目を閉じ体から出ている氣の光を消した。
そう言われ俺は道場から出て森へと入っていく。
今の俺に出来ることはリストバンドを着けた状態での氣の使用と昨日までに習った下級忍術ぐらいか。
追いかけられたら逃げられない取り敢えず隠れられる、とにかく隠れられる場所を探しながら動くしかないな……。
俺は直ぐに動き始めた。
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「よし、そろそろ時間ですね。お二人も鬼ごっこに参加しますか?」
箱尾は正座を止め立ち上がり側で立っているタカトと美冬をみる。
「いや、俺はいいや、今日はヒナタ君の修業だしな」
「僕も同じく」
「そうですか、すぅー、はー!、では失礼します」
箱尾は大きく深呼吸し体に氣を収束させ、その後二人に礼をしてゆっくり歩いて道場を出た。
「道場を出る前の氣がすごかったね」
「ああ、やっぱり氣使っている時のマスオさんはプレッシャーが半端なかったぜ」
「道場を出て森の方に足跡が向かってますね」
箱尾は森へと足跡を辿りながら走っていった。
小川に到着するとここで砂利道によって足跡が途切れていた。
在るのは川沿いに砂利がめくれ上がって土が見えている小さな窪みだけである。
「川を渡り向こう岸に行った、いや、それはこの二分ではむずかしいですね。
向こう岸に氣を使って走った跳んだことで着地時にできる大きく抉れた足跡がない、川を渡ったならの向こう岸に水で濡れた足跡があるはずなのにそれもない」
箱尾は小川に背を向け、目をつぶり意識を集中させる。
箱尾は目を開けると胴着の内から懐中時計を取りだし確認する。
「七分ですか。ふぅ、考えるのに時間をかけすぎましたね。
ですが彼がどうやって消えたかようやくわかりました。」
箱尾は道場の方角を向き、飛び上がり森の方の木上に飛び乗りに飛び移りながら移動を始めた。
箱尾は木に飛び移りながら移動する。
「木にはまだ乾ききっていない土が付いている。
これを辿っていけば……。
あの短時間によくこれを考えましたね、おもしろい。
やっぱり私が見込みは間違ってなかった!」
そして、箱尾はヒナタを初めとは比べ物になら無い速さで追いかけ始めた。
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腕時計を確認する、鬼ごっこ開始から二分が経った箱尾さんが動き出す時間だ。
古道場から赤黒い光が出てくるのが見えた、恐らく箱尾さんの氣の光だろう。遠くからでもその光が放つ威圧感を感じることが出来る。
俺は森へとゆっくり移動する光を息を飲んで見守った。
俺は逃げ始めた当初とにかく森の中を走っているだけだったが、美冬先輩の授業で逃げるときは痕跡を残さないということを言われていたことをおもいだした。
しかしその時には俺の来た道には氣を使って力強く走った為足跡がくっきり残っていた。
俺は考えながら走り遂に小川にまでたどり着いた、俺は足跡を残さない為に木上を飛び移ることを考え付いた。
しかし急に足跡が無くなるのは怪しいので川を飛び越えたようにみせるために川岸付近から力強く飛び木に登った。
それにより、小川を跳んで向こう岸に渡ったかのような小さな窪みが出来ていた。
その後俺は古道場が見える場所まで戻って箱尾さんが俺を探しに森に消えるのを待っていた。
良し、灯台もと暗し作戦一先ず成功だ!
俺はリラックスして古道場に近づいた。
「ヒナタ君大丈夫かな?」
「大丈夫だろ、ヒナタ君はすげえんどぜ、それになぜか皆はビビってるけどマスオさんはそんなに厳しくないぞ。」
どうやら先輩は俺の事を心配してくれているようだ。
うれしいな、なんて優しい先輩なんだ。
「おっす、上手く俺はにげてます。 これも先輩の指導のお陰ですありがとうございます。
灯台もと暗しでここに隠れることにしました」
俺が笑いながら表れると二人とも驚いた表情だった。
「誰かの気配が来たと思ったら、ヒナタ君だったのかよ!」
「今頃必死に追いかけっこしてんじゃないかと思ってたんだけど、どうしてここにいるんだい?」
俺は二人に今回の作戦を伝え、気楽なおしゃべりを始めた。
残り時間後五分




