23話 俺の進む道
23話
「よし、今日の所はここまでにしようか。続きはまた今度だ。
きちんと復習しておくんだよ。
よし、これからは君が待ちに待った特訓だよ」
やっと終わった早く氣を使った修業がしてみたいぜ。
忍者の修業はどうなものかな、……きついのかな、なんだか不安な気がしてきたぞ。
「先輩どんな修業をするんですか? やっぱり忍術とか?」
「ふっ、忍術なんて五年早いよ、まずは可愛がりさ。頑張ってしごくから応援してね」
そう言われて不安に思いながらもう一つの建物に向かった。
先輩に渡された今度は軽い室内シューズに履き替えた。外シューズに比べて羽が生えたように感じるほど軽かった、いや、あれが重かっただけか。
「ここって体育館みたいですけど、何をするんですか?」
体育館に入って見ると一面マットがひかれていた、アクロバティックな動きの練習場かな。
「組み手だよ、まあ氣は使うけど手加減するから必死で頑張ってね。
じゃあさっそく行くよ」
そう言うと先輩は俺に向かってまっすぐ向かってきた。
「ぐぁっ、」
避けようとして右肩が殴られた、、痛い痛い痛い。
速すぎてはっきり見えないし、体が防御するのに攻撃が速すぎてに間に合わない。
「ハッ、ハッ」
今度は姿が消え背中、腹に順に痛みがくる。
膝を付く、今の俺には先輩は青い線でしか見えない。
「はあはあ、ま、まだまだ! かかってこいや!」
俺は自分自身に渇を入れ、美冬先輩の動きをじっと見つめる。
「まだまだやれるみたいだねじゃあ行くよ、セイッ!」
先輩は俺の言葉を聞くと嬉しそうに笑い、また直線的に攻撃してきた。
体が痺れる、どこを攻撃されたのかも分からない。痛みを感じない、ただ体が動かない。
「や、やりす、ぎでし?」
口すらうまく動かない、くっそ、動け、動け、動け! 俺の心はまだ折れてないぞ!
「やりすぎじゃないさ、タカトは今ごろ箱尾さんの元でもっと厳しい修業しているよ。 別に僕だけの指導でもそこそこ強くは慣れると思うからさ、箱尾さんはやめときたいなら、任せて僕からやめますって謝ってあげるからさ」
そんなこといわれて、まだ上が有るって知って文句が出るわけないだろ。
「ぐぅっ、はあ、み、美冬先輩、先輩は俺が忍術を学ぶ理由が知りたいって言ってましたね。
俺が忍術を学ぶのは俺自身の為にです!
俺の小春さんを守れる男に成りたいという野望の為に、己の力で人を助け笑顔にしたいという願い、困難から逃げたくない、正面から打ち勝ちたいという俺の我が儘です。
だから俺は忍術を学びたいんです」
いける!、この感覚、この気持ち朝の山の時同じだ。
重くて動かなかった体が段々軽くなって力が入ってくるのが分かる。
「うんうん、リストバンドが紺色から青色に変わっているね、一日でこんなに速く氣を使い始めるとは流石箱尾さんが見込んだ子だね。
それになかなかに強い気持ちみたいだね」
先輩は余裕綽々で俺の方を見ている、くっそ、絶対一泡ふかせてやる
「いくぜー!、 はっ!、ぐぅっ」
先輩は俺の攻撃をかすりもせず反撃してくる、でもはっきり見えたぞ先輩の動きが、それに俺の体はさっきより速く動くこれならいける。
次からは俺を油断させて最後の一発を決めてやる。
「まだまだ、いくぞ! はっ!ふっ!」
「ほうほう、あらよっと、セイッ」
「ぐぁっ!、はあはあ」
やっぱり先輩の青色の光がはっきり見える、煙のような炎のような光の揺らめきが先輩が動く度に動いているのが先輩自身よりよく見える。 今までは少ししか感じなかったのに今じゃこんなにもはっきりと目立つくらいに見える。
体もまだ動く、次で一撃を決める。
「かかってこいや! 俺はまだ動くぞ!」
「ぼろぼろなのに元気だね、じゃあ行くよ」
来た! 青い光は俺の右下から攻撃してきた、歯を喰いしばって体を左に避ける、先輩の動きが少し止まった今なら当たる、食らえ!
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「う、うーん、体が痛い何で?、ここは?」
俺は気付くと見たことのない和室で寝ていた。
あ、思い出した俺は体育館で組み手をしていて、その後気絶させられたのか?
「くっ、臭い、なんだこの匂い鼻をつくぞ。
俺もこんな所じゃゆっくり眠ることも出来ないよ」
怪しい物は見当たらない、どうやら匂いの原因は室外にあるようだ。
俺は何とか痛む体を動かし部屋を出た、ここは食事をとった部屋の近くみたいだな。
先輩が食堂の方から来るのが見えた。
「起きたみたいだだね、治療はしておいたし体をみてみたけど骨も折れてなかったから明日からは大丈夫だよ。
念のために薬を煎じたから飲んでおくといい」
美冬先輩は安心出来る笑顔で俺に伝えてくれた。
でも先輩の手にあるグラスから匂いが漂っている、先輩は何も思わないのか?
「は、はい、なんか臭くないですかそれ?」
「やっぱりそう思うよね、でもすごい効き目があるから飲んでごらん。
食堂で飲もうこんな所で立って飲むんじゃなくて」
先輩も困った顔をしている、やっぱりまずいんだろう、先輩は一言も味について触れてない。
それでも先輩の心遣いを無下に出来ないので飲むしかないか。
「それじゃあ、い、いただきます」
まっまずい毒じゃないのかこの味は、辛いとか苦いとかじゃないとにかく体が拒否しているのが分かる。
また、意識が薄れてきた……。
「これ食べて!、気持ちよくなるから」
俺は薄れ行く意識の中で渡された何かを口に入れる。
旨いなんだこれは意識が一気に覚醒して心が弾んでるぞ!
「先輩、これって何ですか? こんなに美味しいもの食べたことありません!」
「あー、ピーナッツだよ、この薬湯には何故かピーナッツとの相性が抜群でさ大抵の風間家の忍者はこれのお世話になってるよ。
これを食べたら意識がはっきりとするし、気持ちも穏やかになるだろう?。
それにお世話になりすぎて修業中でなくてもよく食べる人も多いぐらいさ」
確かに今まではそこまで美味しさを感じなかったけど今ならこんなにも美味しかったことに気付けなかったことが悔しいぐらいだ。
「はい、おかげさまでだいぶ楽になりました。」
「そっかそっか、君はなかなか忍者としては適応できそうだね。
よし僕は君が箱尾さんに弟子入りすることを認めるよ。
君の素質、気持ちは知ることが出来た、生きたまま修業を受けることが出来ると判断出来たよ」
「本当ですか、ありがとうございます!」
「君は初めてで手加減ありとはいえ僕の動きを見切って反撃するなんて普通なら出来ないよ。
でもまあ、氣の使用はまだ補助輪付きみたいなものだから僕も引き続き指導するよ」
「はい、よろしくお願いします!!」
こうして俺は先輩から箱尾さんはへの弟子入り許可を得て、さらには初めての氣の使用をすることが出来た。
その日はもう修業することなく俺は先輩に明日以降の予定を聞いて、また重いシューズを履いて重い体を引きずって帰ることになった。
言うまでもなく、その日のランニングはランニングではなく散歩になり、顔見知りの大人に心配されることとなった。
けど母さんは全然心配するようすはなかった。




