22話 修業開始
22話
俺の覚悟を見せるため俺は山道を歩き続けた。
地図の通り進んでいくと人が普段使っているとは荒れた整備されてない道に着いた。
それでも俺は構うことなく進み続けた、今の俺は不思議と体が軽いどんどん前へと進んで行ける、これはランナーズハイみたいなものなのか。
「やあやあ、お疲れ様。昼御飯は用意してあるからさ、すくに食事にしよう」
俺が屋敷の門の前にたどり着いた時後ろから声がかけられた。
「あれ、美冬先輩なんで後ろから? 」
「先に行ったと見せかけてずっと後ろで見守っていたからさ。
びっくりした、ねぇびっくりした?」
「いや、別に、早く行きましょう、おなかすきました」
俺は先輩のドッキリ成功といわんばかりの清々しい笑顔を見たくなかったのでさっさと門を潜り敷地の中へ入っていった。
この屋敷は和風の建物だったが昨日訪れた別荘ほど広くはなかった。
門を潜ると家が二つ並んでいる、一つは道場に見えるがもう一つは古くさいが普通の家みたいだ。
「ヒナタ君右の家の方に料理があるから先にそっちに行こう、そのあとは座学だよ」
「えー、修業じゃないんですか」
「忍者は文武両道だからね、まずは忍者のついての勉強さ」
俺は先輩に案内されて料理が出てくるのを待った。
「さあ、食べようか。温かくて美味しそうだよ」
先輩は紙袋を持ってやってきた。
「これってにんにんニコニコ弁当の弁当じゃないですか、用意してあるって作ってくれるわけじゃないんですね。
そのメイド服はただの格好だけなんですね」
俺は地味にショックを受けていたよくメイド服を着ているから、料理が得意なのかと期待していたからだ。
「おいおい、人を見た目で判断すると痛い目をみるぜ。
僕はメイドを目指しているけど、僕は付きっきりで主を守り戦える系メイドがいいんだ。
決して料理や洗濯が苦手なわけじゃないよ、ただ僕の目指す進路じゃないだけ。
そもそも僕の家は家政婦さんがいるから家事をさせてくれないのさ」
それって忍者やボディーガードとしてはいいかもしれないけどメイドや女子としてやばくないか?。
「……先輩、やばいですよ、好きな人がいるのに家事が出来ないなんて、病気の彼の為に看病ってベタな事も出来ないじゃないですか。
俺はショックです、俺の恋の手助けをするって言ってくれた同じ恋の狩人の先輩が女の子アピールの定番の家事が出来ないなんて」
「やっぱりそうなのか、僕は気にしないように考えないようにしてきたけど、ダメなのか。
でも彼の周りには家事完璧のメイドモンスターが侍っているし、そもそも彼は一流のシェフが作った料理ばかり食べているから僕なんかの料理なんて……、だからせめて戦闘力で彼の周りにいようって思ったんだ」
なんて事だ、今の先輩にはいつものような自信に満ちた顔が見る影もない。
先輩は俺の手助けをしてくるって言ってくれた人だ、だから俺も先輩の手助けをしなきゃいけない! 先輩にいつもの輝く笑顔を取り戻さないと。
「先輩、俺は自分の為に作ってくれた物ならなんでも嬉しいですよ、自分の事を考えなくても大切に思ってくれている、それを感じさせることが出来るなら先輩は大丈夫です。
愛情は最高の調味料です、先輩の愛で好きな人のハートを撃ち抜いてやりましょう、俺も手伝います、どうやったら撃ち抜けるか一緒に考えましょう」
「えっ、でもいいの?」
先輩は遠慮がちに元気のない顔で俺に訊いてくる。
「遠慮なんてしないでください、俺たちはさ、好きな人を追いかける同じ恋の狩人でしょ、困った時は助け合いですよ。それになんでもするって言ったろ」
「うん、よろしく」
先輩は俺に向けて手を出したので俺は力の限り強く握った。
そして昼食を終えてから俺の修業ではなく先輩の恋愛相談となった。
「そっか、じゃあこれからは僕は家事もやっていく、そして愛情と頑張った雰囲気を見せればいいんだね?」
「そうです、先輩が今まで遠慮してきた人たちは所詮プロ上手くて当然です。
そして先輩の恋のライバルはどうしてもプロの味になってしまう一流のメイドだからでも女の子思いのこもった拙い手料理の方が逆に完璧じゃないからこそ伝わるものもあるはずです。
俺はいつも自分で掃除してますし、これから俺も料理の勉強をします、俺が家事の勉強も手伝います」
すると先輩は泣きながら抱きついてきた。
「うおおおー、ありがとうヒナタ君。 僕は本当は君を弟子にしてパシリにしてやろうと思ってたんだ。修業をつけて天馬君の偵察にでも行かせようかと思ってた。
うおおおー、僕は君に出会えて良かったよ、タカトが慕う理由が分かった気がするよー」
先輩はさらっととんでもないことを言ったが泣いているので文句が言いにくい。仕方ないこれからのことを考えて今回のことは見逃して仲良くしよう。
「先輩、俺は気にしてませんよ。
過去を変えることは出来ません、それよりもこれからの事の方が大切だと思います。
後先輩僕の修業の方もお願いしたいんですけど」
「うう、そうだったね、待ってて準備してくるから」
先輩は泣き顔のまま、抱きつくのをやめ素早い動きで部屋から出ていった。
その後の俺は戻ってきた先輩に案内されて木造の教室に連れてこられた。
広さは学校の教室と同じくらいだけど人がおらず動くと鳴る木が軋む音が不気味さを漂わせていた。
「先輩、なんか不気味じゃないですか?」
「あ、そっか、今は生徒が来ないから静かだし、君の学校の校舎より古いからね。
でも大丈夫だよこの教室じゃあ誰も死んでないから」
「そりゃそうですよね、さすがにびびりすぎでしたね」
先輩はびびっている俺を見て困ったような顔をしていた。
「じゃあ、まずは一番面白そうな‘氣‘の説明をしようか」
氣ってよく漫画なんかでよく見る魔力に並ぶ不思議エネルギーだ、よくよく考えると俺がそれを知ることが出来るのってすごいことだよな。
普通漫画なら裏社会だけで知られていたり、一般人に知られてはならないというルールがあるからな。
「氣というのは生命の力、そして肉体という器から常時無意識にあふれ出している力氣を意図的に体の中で収束させ体内の氣の密度を濃くすることで身体能力をあげているんだ」
うわ、なんか聞いたことあるぜそれ、ホントに漫画みたいだな。
「はい、それってどうすれば習得出来るんですか?」
確か以前聞いた話だと天才なら三日で習得だと聞いたような気がするけど、どれ程の難易度何だろうか。
「外部から氣が体の外に漏れないようにして辛い思いをして強い感情や強い思い、覚悟を引き金に体が勝手に習得するんだ。君も習得しかけているはずだよ。
君は今日ここに来るまでに急に体が軽くなったことがあったんじゃないかい?」
体が軽く? 辛い思いと覚悟、あったあのときだ。
でもあのとき俺は外部から氣が漏れないようにされた覚えがないぞ?
「先輩、急に体が軽くなったことはありましたけど、いつの間に俺の体に何かしたんですか?」
「ふふん、今君が着けているリストバンドのおかげさ、これは最近開発された氣の拘束用のリストバンドで簡単に気を漏れないように出来るのさ。
今まで多くの師たちが弟子の氣の習得の為の毎日毎日氣の拘束しなくてはならずで大変だった、そんな忍者業界に革命を起こしたこのリストバンド、今までの使い捨てのお札ではなくその上所有者が氣を使うと色が変わって直ぐに分かるようになってて便利な時代にになったね」
先輩の顔はとても嬉しそうだった、もしかしたら氣の習得は修行中の大変なことあるあるだったのかも知れない、まあ全く共感は出来ないけどな。これがジェネレーションギャップというやつ何だろうか。
「そしてリストバンド装着中に意識的に氣を使用可能になり最終的にはリストバンドなしでの使用が可能になるって寸法さ
だから君はこれからそのリストバンドはずっと着けているんだよ」
「はい、わかりました」
俺は自分が氣を使ったということがとても嬉しくワクワクして、次の修業が楽しみです中々勉強に集中出来なくなっていた。
気がつくと両手のリストバンドを見てみたり触ったりしていた。
「もう、きちんと聞いてる? 勉強はもう少しで終わるから、それで最近の全世界の忍者人口は……」
俺は朝の疲れも吹き飛んでさっさと授業が終わるのが給食前の四時間目より待ち遠しかった。




