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第33話:聖魔術師バレットと、秘密の治療

地下病棟の重厚な扉が静かに開き、老館長と共に一人の人物が歩み寄ってきた。


あつらえたような深い色の長衣を纏い、どこか浮世離れした落ち着いた雰囲気を漂わせる男——聖魔術師バレットだった。


「お待たせしましたね。私がバレットです」


バレットは静かに一礼すると、ベッドの上に横たわるエリスの元へ歩み寄り、その顔色と背中に浮かび上がる紫色の紋様をじっくりと観察した。


「……ふむ。毒そのものは抑え込まれていますが、生命力を喰らう悪質な呪いが残っていますね。放っておけば命に関わります」


「バレットさん……! エリスを……エリスを治せるのか!?」


すがるように問いかけるバッシュに対し、バレットは淡々とした、しかし確かな自信を込めた口調で頷いた。


「ええ、私の治療を行えば、この呪いを取り除くことができますよ」


その言葉を聞いた瞬間、バッシュとゼットの表情にパッと明るい希望が差し込んだ。


「本当か……! 助かった……っ!!」


安堵する二人に対し、バレットはスッと姿勢を正すと、静かに、だが真剣な眼差しを向けた。


「ただし……私の行う呪いの治療法は、一族に伝わる特殊な秘術でしてね。治療の工程や術の詳細は、外部の人間にお見せするわけにはいかない決まりになっているのです」


「見せられない……? 秘術だからか?」


首をかしげるゼットに、バレットは落ち着いた動作で頷いてみせた。


「ええ。術の機密を守るため、そして何より患者の治療に集中するためです。……彼女を本気で治したいとお考えなら、お二人には一度、部屋の外でお待ちいただきたい」


「……分かったよ。エリスのこと、よろしくお願いします!」


バッシュは少しも躊躇うことなく力強く頷くと、ゼットの肩を叩き、二人で病棟の扉の外へと向かった。


ガチャリ、と重い扉が閉まり、静まり返った部屋の中には、苦しそうに息を吐くエリスと、静かに見下ろすバレットの二人だけが残されたのだった——。

できる限り毎日投稿を続けていきたいと思っています!


お目通しいただけたのも何かのご縁ですので、これから毎日読みに来ていただけたらとても嬉しいです。


次回の更新もぜひ楽しみに待っていてくださいね!


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