表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『少し』『不思議な』骨董品屋――嘘です!『非常に』『危険な』呪物マニアの先生が、呪いの効かない僕を手放してくれません!  作者: 東中
ビスクドール

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
8/9

「よかったあ……」

 事が収まったのを感じ、気が抜けてへたり込む。

「まさか上手くいくとはねえ」

 先生がTシャツに包まれた人形をカウンターに置いた後、安堵のため息を漏らす。

「おい、じゃあ当てずっぽうかよ」

 イシノモリさんが詰め寄った。

「いやあ耳が痛い」

「俺は頭が痛えわ」

「なんですかこれ、なんなんですか……」

 絞り出すように聞くのが精一杯だった。怒涛の展開に必死で喰らいついてきたが、無理はもうとっくに通り越していた。

 正気度がガリガリ削られてゆく。

 でもこれ慣れちゃいけないやつだ。慣れたら人として駄目なやつだ。

「『呪い』だよ?」

「『呪い』だな」

「そんなの分かってますよお!」


「んんー、『呪いの人形』にも二通りあってね。人形自身が意思を宿すものと《《容れ物》》として他者の魂を宿すものがあるんだよ」

 包んだTシャツ越しに先生が人形の頭を撫でる。

「この子は後者だね。悪意は篭ってないから、吸い寄せちゃったんだろうねえ」

「呪いなのに悪意がない??」


「『《《願い》》』は『《《呪い》》』になるって事さ」


 先生の人形を見る目つきが変わる。

 憐んでいるような、蔑んでいるような、そしてどこか突き放したような冷めた目。

 視線は人形ではなく何か違うものを見ているようだった。


 しかしそれもほんの一瞬の事で、すぐにいつもの締まりの無い表情に戻った。

「この子の経緯は分からないけどね、そんなとこじゃないかなあ。まあ害もなにもない、呪いとしては面白みのないものだ」


「人形の電池が入れ替わる、くらいのつまんねえ芸当だわ。《《このまま》》じゃな」

 イシノモリさんが含みをもたせた言い方をした。

 口の端が上がってなんかちょっと、いや、すっごく悪い顔になってる。

「害ありまくりじゃないですか……」


「なあ、ところでよ。どうすんだ、これ」

 これ、とイシノモリさんが指差したのは気を失ったままの七海と葵だった。

「ああ、思わず出しちゃったねえ」

 やれやれ、と言った感じで先生はわざとらしく頭に手を置いた。

「なに言ってるんですか、神隠しから救ったんですよ! しかも二回も!」

「怪しそうなんじゃなくてホントに怪しかったんですね、先生!!」

「キミ、どさくさに紛れて本音吐露しすぎじゃないかい?」

 先生にジト目で睨まれてしまった。しまった、つい正直になりすぎた。

「え、あれ? と、とにかく見直しました先生!!」

 咄嗟にフォローするも誤魔化せている気がしない。

「あ、でもこの状況ってマズくないですか、こんなの誰も信じてくれませんよ。誘拐だ、これじゃあ誘拐そのものだ」


 そうだ、こんなの誰も信じない、理解できる訳がない。

 行方不明だった女の子たちは呪いの人形に閉じ込められてました。けど助けたから大丈夫でーす、とか言ったところで「はいはい、詳しくは署で聴こうか」って連れて行かれるに決まってる。

 理不尽だ、報われない。世の中は不条理に囲まれている。

 先生やイシノモリさんなんて、もう出てこれないんじゃないだろうか。

 そしたら店は潰れて僕は無職。

 ん?

 ん??

 もしかして解放されるチャンス?


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ