8/25
第8話「10年寝かせた靴を履いたら、生まれたての小鹿になった」
第8話「10年寝かせた靴を履いたら、生まれたての小鹿になった」
翌日。
夕凪くんと会う。
「麗子さん、これ何?」
昨日、ひかりが撮った写真だ。
「・・・未来投資です」
「10年寝かせてるの?」
「最適な時機を待っています」
「今日じゃダメなの?」
「・・・リスクが」
「じゃあ、今から行こう」
「・・・・・・」
「そこの小道ぐるっと回って帰ろう」
「・・・生存確率が」
「僕も一緒に行くよ」
「・・・」
「着替えたらここで集合」
「・・・はい」
小道一周は。
いつもの靴なら10分もかからない。
30分以上経っていた。まだ道ある。
履きなれない5cmヒール。
カクカクと歩く。
こんなに難易度が高いとは。
コツが分かってきた。
「・・・歩けてる」
直後、崩壊した。
止まる。
絶望。
夕凪くんは私の歩幅に合わせて。
ほぼ止まってくれている。
「・・・あの、先に帰ってください」
「なんで?」
「想定以上にお時間をいただいています」
「いいよ。面白いから」
面白い?
「そうだ麗子さん、このクオカードあげるよ」
「ありがとうございます」
「文代さんから沢山もらったんだ」
「・・・」
「あともう少しだね」
この日。
ヒール5cmのパンプスは封印することを決意。
結果、ワンピースは、たまに着るようになった。




