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第3話「毎日同じ服を着てたら、職場が同じ服だらけになった」

第3話「毎日同じ服を着てたら、職場が同じ服だらけになった」


洗濯が面倒。

意思決定リソースを節約。

——結論。


「服は、固定が最適解」


私は通勤用の服を完全に統一した。

同一モデル、同色、複数枚。

個体識別番号で管理。

完璧だ。


出勤。

2日目。

途中、ひかりに遭遇。


「麗子、昨日と同じ服やん」

「違います。これは個体識別番号2番です」

「同じやろ」

「・・・清潔です」


論点が異なる。

この1着は。

私のパーソナルカラー、骨格診断。

購入の利便性、コストパフォーマンス、防災時の運動性能。

3か月かけて店を回る。試着をして辿り着いた。

——究極の1枚。


ただの同じ服ではない。

最高効率の私の複製。


これにより、私の生活は完全に最適化された。

・・・なお、職場では“毎日同じ服の人”として認識され始めていた。


1週間後。


「先輩、それ楽ですか?」

「はい、非常に。脳のエネルギーを温存できます」

「・・・ほへぇ」


2週間後。

後輩が、同じ服を着ていた。


「・・・導入しました」

「賢明です」


3週間後。

フロアの3割が、同じ服になった。


2か月後。

社内情報文書。

『服装の自由度は継続。質問が多数あったため推奨モデルを設定』


3か月後。

私は上司から資料を渡されていた。


「質問の多い男性用の“最適化モデル”の監修もお願いします」


休日。

今日は洗濯の日。干す。

私は、そよ風を感じていた。

なんて優雅なひと時


——突風が吹いた。

制服化している服が1枚窓から飛ぶ。


「個体識別番号3ばーん!!」


手を伸ばす。

間に合わない。


「3番がいないと、私の水曜日のローテーションが崩壊します!」


爪先をかすめ落下。

窓から見下ろす。

夕凪くんが服(3番)をキャッチしていた。


「この服、お気に入りだね」

「・・・これは最高効率。複数の1枚」

「それって楽しい?」

「・・・・・・」


停止。

この問い、想定外。


「楽しい、とは」

「なんか気分が上がる服とか」

「・・・気分」

「赤とか似合うと思うよ」


翌日。

赤い服で出勤した。


全員が、止まる。


「なんか怒ってます?」

「違います」

「・・・バグですか?」

「違います」


静寂。

一人が、手を叩く。

パチパチパチ。

連鎖する。

拍手。


誰かが言う。


「・・・新モデルだ」


社内チャット。

『【速報】赤、解禁』


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