第11話「大量の水を運んだら、現地で安く買えて心で泣いた」
第11話「大量の水を運んだら、現地で安く買えて心で泣いた」
商店街。
ひかりと福引券のガラガラを回していた。
私、ティッシュボックス。
ひかり、ペア宿泊券。
「よっしゃー!麗子、一緒に行くで!」
「はい」
急きょ、週末の旅行が決定した。
急いで準備にとりかかる。
まず一番大事なのは『水』だ。
ペットボトル500mlの水を8本買ってくる。
足りるだろうか。
着替えやホイッスルも入れる。
防災ポーチを作った。入れる。
背負う。重い。
中身を確認する。
水は生命維持に不可欠。
現地調達に依存するのはリスク。
また値段も高い可能性。
これは必需品。
結局。
防犯ブザー5個を3個に減らす。
背負う。非常に重い。
しかし選別は完了した。
***
当日
涼しい。
リュックサックのショルダーが肩に食い込む。
駅まで歩くだけで汗が出た。
ひかりは、コロコロでやってきた。
「麗子、汗だくやん。 おもろ!」
「・・・これは安心の重み、です」
「向こうで買ったらええのに」
「・・・これはお得、です」
ひかりが元気いっぱいのなか。
私は疲弊しきっていた。
荷物が重すぎて。
***
宿泊先にたどり着く少し手前。
「麗子さん、ひかりさん、こんにちはー」
夕凪くんと友人らしき青年だった。
「夕凪くんも当たったん?」
「ひかりさんも?」
「そやねん。そっち友達? うち、ひかりで、こっち麗子な」
「伊吹です。 どうも」
「・・・ぜぃ、ぜぃ・・・こんにちは」
夕凪くんが近づいて来た。
「麗子さん、リュック持つよ」
「・・・いえ、これは私の選択・・・」
「はい、失礼するね」
ひかりと夕凪くんの華麗な連携プレー。
「わっ、すっごく重いね。これ背負って来たんだ」
「・・・ありがとうございます」
宿泊先前。
隣に、コンビニがある。
「麗子さん、ここのコンビニ、クオカード使えるよ」
「・・・・・・クオカード」
「さっきアイス買ってたんだ」
使うお店と使いどころで悩んでいた。
ずっと財布に眠っている。
私は疲労感に襲われた。
泣きそう。
伊吹くんが何か言いたげに私を見ている。
「クオカード持ってる?」
「・・・持ってます」
「良かったね、足りないもの買えるよ」
「・・・はい」
心で泣いた。




