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第10話「最短距離を選び続けたら、知らない研究所に着いた」
第10話「最短距離を選び続けたら、知らない研究所に着いた」
再度コンパスを片手に進む。
北北東に行けば、間違いない。
振り出しにリセット。
再度、開始する。
私は決めた。
北や東には——もう行かない。
私は真っ直ぐ最短距離で進む。
まずは——
ピンポーン。
「私、北北東に行きたいです。家の中を通らせてください。窓から出ますので」
住人の方は驚いていた。
しかし、私の誠意が伝わったようだ。
そして。
私の理論上では、辿り着いていた。
「海洋研究機関・・・」
私は、海洋研究機関に着いていた。
約束の時間は、過ぎていた。
——信じられない。
結婚式二次会の会場に電話をかける。
私は姿勢よく立っていた。
スーツ姿の男性が走ってくる。
会場のスタッフが迎えに来てくれた。
「・・・ぜぃ、はぁ。麗子さん、ですよね?」
「はい・・・」
「会場まで、ご案内します」
「ありがとうございます・・・申し訳ありません」
私は左手にコンパスのアプリを開いたまま。
右手の握り拳を震わせていた。




