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異世界秘境キャンプ旅~キャンプオタクが失われた錬金術で快適生活。もふもふな守護猫タイガと巡る絶景と飯テロの旅~  作者: るあか
第一章 旅の決意

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第8話 陽気なお迎え

「兄ちゃん、大丈夫かい!?」

 太っちょのおじさんが心配そうに尋ねてくる。

 

「はい、なんとか……」

「漂流したってことか!?」

 こっちのおじさんは筋骨隆々でめっちゃマッチョだ。

 

「えっと、そんなところです……」

 俺は苦笑して誤魔化す。具体的には海の漂流者じゃなくて、次元の漂流者なんだけど……嘘はついていない。


「そりゃ大変だ、こんな小さな無人島、ワシらみてぇな物好きしか来ないからな、見つけられて良かったぜ」

 マッチョおじさんがそう言うと、おじさん2人は顔を見合わせて安堵(あんど)の表情を浮かべた。

 

 そんな優しい雰囲気に、俺もホッとした。


 そして、更に甲板からもう1人のおじさんが顔を覗かせている。全部で3人のようだ。


 俺たちはそれぞれ自己紹介を済ませる。

 太っちょのおじさんがボブ。

 マッチョのおじさんはマイク。

 船に残っているおじさんがビリーだ。

 

「俺はレンで、こっちはタイガです」

「おじさんたち、よろしくな!」

 タイガがニッと笑ってそう言うと、おじさんたちは「おぉ、しゃべるのか」と驚いていた。


「えっと、錬金守護獣、なんですけど……」

 恐る恐るそう発言してみると、一斉に「錬金守護獣? なんだそりゃ」と首を傾げるおじさんたち。

 

 俺はここで、イヴンの手記に書かれていたことを思い出した。

 確か、改めて隅々まで読んでみると、錬金守護獣は使い魔みたいな存在だって書かれた一文があったよな……。


「あの、使い魔のことです……」

 俺がそう言うと、今度はおじさんたちは口を揃えて「あぁ、使い魔か!」と納得していた。

 この世界の常識が分からなくて、難しいぞ……!?


「それにしてもレンもタイガも、よくこんなところで何日も生き延びられたよなぁ。僕だったら腹減って死んじまいそうだ」

 ボブが感心したように言う。

 

「錬金術で、なんとか……」


「錬金術? さっきの錬金守護獣……だったか? それと響きが似てるなぁ」

 首を傾げるボブ。他の2人の頭上にもハテナマークが大量に飛び散っていた。


 ――錬金術という言葉を、知らないのか!


「なんやらよく分からんが、とにかくレンとタイガが無事で良かったな!」

 マイクはそう言って豪快に笑った。


 俺、〝よく分からないことを言っている兄ちゃん〟って、認定されたっぽい……。


「す、すみません、田舎者なので……あんまり気にしないでください。それより、皆さんはどうしてこの島に……?」

 田舎者で通るかと心配になったが、マイクは特に気にする様子もなく、こう答えてくれた。


「おうよ、ワシとボブは大陸の『鉱業ギルド』のもんだ。あっちのビリーは船乗りで、たまにビリーに船を出してもらってここまで鉱石を掘りにきてんだよ。今日はたまたま2人だけどな、多いときは5人くらいで来るな」


「鉱業ギルド……!」

 それに、大陸とも言った。ギルドのある大陸かぁ。

 俺の中で、この世界の地図がどんどんと広がっていく。


「ははは、鉱業ギルドってなんだって顔してんなぁ、レン。簡単に言えば、あっちこっちの鉱山で石を掘りまくって、お金を稼いでるのさ」

 ボブが言う。更に、ジェイムズが続く。

「ま、ワシらは石で飯を食ってるっつーこった」


 金を、稼ぐ。

 俺の頭の中で、その言葉だけが何度も響き渡っていた。

 

 ――そういえば俺、一文無しだ……!


 血の気がサーッと引いていく気がした。

 

 今まで自給自足の生活をしていたから何も困らなかったけど、世界を冒険するにはさすがに金は必要かも。

 それに、船が来たら乗せてもらえるもんだと思ってたけど、もしかして、船乗りのビリーに金を払う必要があるのか……?


「あの、お二人が鉱業ギルドでお仕事をされているのは分かりました……。それで思い出したんですけど、俺、金を全く持っていなくて……お二人の採掘作業を手伝いますので、どうかそれで船に乗せてはもらえないでしょうか……!?」

 必死にそう伝え、ガバッと頭を下げる。


 すると、目の前の2人どころか、船のメンテナンスをしていたビリーまでもが「わっはっは!」と大声で笑いだしたのである。

「俺ぁ、漂流者相手に金を取るほど腐っちゃいねぇぞ!」

 ビリーがそう言っているのが聞こえてくる。


 マイクが俺の肩にポンと手を置いた。

「漂流生活で疲れてんだろうに、何言ってんだ、レン。ただ、今すぐ船を出してやりたいところなんだが、ワシらもせっかくここまで来たからな、ちょっとだけ採掘させてくれ。なぁに、1時間くらいで終わるからよ」


 更にボブが「それまで船ん中で休憩したらいい」と言ってくれる。


 ――あぁ、良い人たちで良かった……!


 早速異世界の優しさに触れ、感動する俺。


 彼らはああ言ってくれたけど、やっぱり俺も採掘作業を手伝うことに。

 みんなで一緒に洞窟に向かい、ピッケルを借りてカンカンと鉱石を掘り出していった。


 大量の鉄鉱石がどんどんと削り落ちていく。

 ここは鉄の採掘場だったのか。


 やがて渡された麻袋いっぱいに鉱石が集まると、マイクから「うっし、そろそろ撤収だ」の声が掛かった。


「ふぅ……」

 汗を拭って一息つく。錬金術とは別の意味で疲れたな……。

 そんな俺に、ボブが声をかけてくれた。


「おー、レン。たくさん集めたなぁ。こんなひょろいのにガッツあるなぁ!」

 ボブは朗らかに「ははは」と笑った。

「あはは、どうも……」


「レンがせっかくワシらのために集めてくれたからな、なら、お言葉に甘えて半分はもらっていくか」

 そう言うマイクに、俺は「えっ、半分!?」と目を丸くする。


 更にボブが続いた。

「鉱業ギルドに登録をしてなくても、ギルドの受付で鉱石の換金くらいはしてくれるはずだよ。お金がないなら、それを換金するといい」


「鉱石を、ギルドで、換金……! あ、あの、これも引き取ってもらえますかね!?」

 俺はそう言ってリュックの中からこの洞窟で集めた魔物の素材をいくつか取り出した。

 2人は興味津々にその素材を覗き込む。


「こりゃ、魔物の素材じゃねぇか! レンが討伐したのか!?」

 驚いたようにマイクが言う。

「ううん、倒したのはボク」

 タイガがそう言ってニッと笑うと、彼らは「タイガが!?」と更に驚いていた。そりゃ、こんな可愛い子猫だもんな……。


 そして、ボブの告げる次の言葉に、俺の世界観が更に広がっていくことになる――

 

「鉱業ギルドじゃあ、鉱石以外は換金してくれない。けど、『冒険者ギルド』なら魔物の素材でも鉱石でも、なんだって換金してくれるよ」


「冒険者ギルド……!」

 その響きに、胸がざわついた。


「そんな魔物をほいほい討伐できるんなら、冒険者ギルドに登録をして依頼をこなしたら金にも困らねぇな!」

 そう言って笑うマイクに、俺もニヤけた顔で大きくうなずいた。


 冒険者ギルド。あちこち旅をする冒険者のためのギルドだよな……?

 今の俺とタイガに、ピッタリかもしれない……!

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