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異世界秘境キャンプ旅~キャンプオタクが失われた錬金術で快適生活。もふもふな守護猫タイガと巡る絶景と飯テロの旅~  作者: るあか
第三章 エルフの里の依頼

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第35話 絶品ほろほろ煮込み

「あら、シエラちゃん。いらっしゃい。今日はお友だちを連れてきたんだねぇ」

 酒場『妖精の隠れ家』に入って出迎えてくれたのは、小さなドワーフのおばちゃんだった。


「ジーナ、今日も来てしまったのじゃ。こっちは冒険者のレンとタイガじゃ。こやつらの腹を満たしてやってほしいのじゃ」


 俺たちはジーナに案内されて、窓際のテーブルに着いた。

 酒場というよりは――森の中にたたずむ、のどかな古民家カフェと言ったところか。

 バターや香草のやさしい香りが充満している。


 4時なんて食事時ではないのに、ちらほらと席が埋まっていた。

「ここは食事時に来ると、かなり待つからのう。あえてちょっと避けてくるのがおすすめじゃ。ほれ、メニューじゃよ」


「なるほどな。おっ、ありがとう」

「レン、ボクも見たい!」


 タイガと一緒にメニューを覗き込む。

 ほほう。シチューや煮込み系の料理が多いのか。

 がっつり肉系もあるな。

 ヴェルーナとは完全に方向性が違って、こっちはこっちで美味そうだ。


「数人で食べる時には、何品か頼んで、みんなで取り分けて食べるのがキルウェン流じゃな。ワシは全メニュー好きじゃて、なんでも良いぞ」

「マジか……! じゃあ――」


 メニューを頼んで、なんやかんやと話しながら料理を待った。

「そうじゃのう。宿屋は何軒かあるが……ここの2軒隣がおすすめかのう」

「そっか。んじゃ、今日はそこに泊まるよ。今日はギルドで緊急依頼の報告だけして、他の依頼は明日やるかな」


 ◇


「はい、お待たせしました――」

 しばらくして、ジーナがワゴンを引いて料理を持ってきてくれた。

 店内を充満していた美味そうな香りが、より一層強くなる。


「まずはこちら、『グレン豚の炭火ロースト』です」

 ゲームとかでみるような肉の塊がドンッと出てきて、思わず「おぉ……!」と声が漏れる。

 表面がこんがりと色づき、滴る肉汁が空腹を刺激した。

 

「こっちは『グレン豚のシチュー』ね」

 次にジーナがテーブルに置いたのは、深めの器にたっぷりと注がれたシチュー。

 ビーフシチューのように、茶色のルーだ。


 置かれる時にとろっと揺れて、表面のゆげがふわっと上がった。

 大きめの肉や野菜がゴロゴロ入っている。


 ジーナは最後に、もう一皿置いた。

「これが最後、『グレン鶏のキルウェン芋の煮込み』ね」


 シチューとは違い、明るい色合いの煮汁に、ほくほくとした芋と鶏肉が浸っていた。

 こっちは見た目『肉じゃが』だが、バターと香草の香りが鼻をくすぐった。

 店内の匂いの正体はこれか――


「ご注文はこれで全部だね? ごゆっくりどうぞ」

 ジーナは最後に取り皿を置いて、厨房へと戻っていった。


「うーむ。実はワシもはらぺこじゃ。好きに取って食おうぞ」

「だな! タイガ取ってやるよ。どれがいい?」

「ボクはね、まずこのでっかいお肉食べたい――」


 料理を取り分けると、みんなで手を合わせた。

「森の恵みに感謝して、いただきます――」

 

 噛めばジワッと滲み出てくる炭火ローストの肉。

 一方でシチューの肉は、口に入れた瞬間に溶けてしまいそうなほどにほろほろだった。

 ルーも、深みがあって濃厚な味わい。


 鶏と芋の煮込みは、バターのコクが隅々まで浸透していて、こっちも絶品だった。

 どこか家庭的で、優しい味わいだ。


「うっま……」

 何度も勝手に口から出てくる、美味いという言葉。


「レン! このでっかい肉、キャンプで絶対やろ! ボク、今度はひとりで塊全部食べたい!」

「ほっほっほ。タイガは小さな身体で、食いしん坊なのじゃな」


 家庭的で温かな食卓だった。

 

 レシピ、売ってるかな――

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