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異世界秘境キャンプ旅~キャンプオタクが失われた錬金術で快適生活。もふもふな守護猫タイガと巡る絶景と飯テロの旅~  作者: るあか
第三章 エルフの里の依頼

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第29話 魔力の性質

 『妖精の聖域』の現状を確認するため、俺とタイガはシエラと共に『エルフの里』へと向かうことになった。


 ――その道中で。


「シエラ、錬金術を知ってるんだな。今までそんな人に会ったのは初めてだ」

 

「ね、ギルドの『職業辞典』にも載ってなかったのにね!」

 タイガが嬉しそうに言う。

 タイガは錬金術が大好きだもんな。知っている人がいて嬉しいんだ。


「いや、実際に使えるわけではないぞ。何百年も前に錬金術という文明があったと、大ばば様から聞いただけじゃ」


 何百年も前に――


 そうか……やっぱりな。

 やっぱり、あの400年前に滅んだ廃村が、最後の錬金術の文明――


「大ばば様ってのは?」

「大ばば様は、エルフの里の里長。もう2000年以上生きておる、長老じゃ」


「2000年!? マジか……!」


 きっと、すっげぇヨボヨボのおばあさんなんだろうな……。

 勝手にそんな想像をする。


 っていうか、さっきからめっちゃ視線を感じる。

 シエラが、興味津々に俺の全身を眺めていた。


 なんか、恥ずかしいな……。

 まるで、何かを見透かされているかのような――


「なるほどのう。レンの魔力は、同じ人間族とも少々性質が異なるようじゃ。うむ、実に興味深いのう♪」


「えっ、そうなの!?」

 そうか、何かを見透かされている気がしたのは、魔力を見られていたからなのか。


「うむ。もう1つ興味深いことがある。タイガの魔力の性質ともよく似ておるのじゃよ。もしや、タイガは――お主が……?」


 タイガは俺が造ったのかって、聞きたいんだな。

 普通、そんな発想にならない。

 みんな、タイガのことは使い魔――つまり、人に友好的な魔物だと思っているから。


 シエラは、他とは違う。

 彼女なら、俺の話を理解してくれるんじゃないかと思った。


「いや、タイガを造ったのは、イヴンっていう錬金術師だ。実は――」


 俺は、この世界に転移をしてからのことを、全てをシエラに話した。

 彼女は戸惑うことなく、興味津々に耳を傾けてくれた。

 

 ◇


「……そうであったか。面白い体験をしてきたではないか。うらやましいのう」

 シエラは「ふふっ」と微笑んだ。どこか、寂しそうな気もする。


「シエラは、ずっとこの森にいたんだったな……?」

「そうじゃ。グレンティナのエルフは、森と共に生きるからのう」


 掟か何かだろうか。森と共存している感じがして聞こえはいいけど、実際は退屈そうにも思える。


「シエラは、魔道士なのか? 杖を持ってるし……」

「うむ、そうじゃ。研究者という方が近いか。生まれてこの方、ずっと魔法の研究を続けておる」


「ええ、マジか。すげぇ……。だったら、シエラが錬金術をやった方が、俺よりもすごいものができそうだな」

 

 魔法の研究者ってことは、魔力の扱いにも長けていそうだ。

 だったら、錬金術だって――


 しかし、シエラは首を横に振った。


「いや。ワシらエルフは、錬金術を使うことはできん。大ばば様も、大昔の錬金術師から教わったそうじゃが、習得することはできなんだそうじゃ。人間族だって、誰でもできた訳ではないじゃろう。魔法と一緒じゃ」


「そう、なのか……! そうか、魔法だって、誰だって使えるんじゃないんだな」


 そういえば、冒険者の酒場でも、魔道士の需要が高かったような気がする……。


 俺みたいな、人とは少し違う魔力の人しか錬金術を使えなかったとしたら――

 できる人が少なくて、後継者が減ってきて廃れていった。

 そんなところだろうか。


「うむ。レンじゃから、習得できたのであろう。落ち着いたら、一度ゆっくり錬金術を見てみたいものじゃ」


「あのね、レンの錬金術はすごいんだよ! シエラもきっと、すごーいって言うよ!」

 タイガはそう言って、俺たちの周りを嬉しそうに回った。


 それに釣られてシエラも微笑む。

「ほっほっほ。それは楽しみじゃのう」

 

「あ、レン、見てみて! お家が見えてきた!」

 タイガに言われて前を向くと、木造の小屋の並ぶ集落が見えた。

 里の中を歩くエルフの女性がこちらに気付き、おーいと手を振っている。


「エルフの里に到着じゃ。まずは大ばば様に報告するとしよう」

 シエラは手を振り返して、里の奥へと入っていった。

 

「ここがエルフの里か……!」


 木々の隙間を縫うように小屋が建っている。

 森と共存というか――むしろ森と一体化している。

 

 静かで穏やかな雰囲気。

 こんな里があるグレンティナ大森林。

 俺はこの森のことが、もっと好きになった。

 

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