表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界秘境キャンプ旅~キャンプオタクが失われた錬金術で快適生活。もふもふな守護猫タイガと巡る絶景と飯テロの旅~  作者: るあか
第三章 エルフの里の依頼

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

30/40

第30話 森の異常

「サーシャ。今、帰ったのじゃ」

「シエラ、お帰り。ヴェルーナの町まで行くんじゃなかったの? 早かったわね――あら、お客さん?」

 

 サーシャと呼ばれたエルフの女性が俺たちを出迎えてくれる。

 

 サーシャはシエラよりも大人っぽく見えるのに、普通の口調なのか。

 てっきり、エルフはみんな老人っぽい口調なのかと思っていたけど……。


「レンです。こっちはタイガです。妖精の聖域の様子を見に来ました」

「よろしくな♪」


 サーシャは目を見開く。

「まぁ……あの依頼を?」


「レンはまだ依頼を受けた訳ではない。ひとまず妖精の聖域の様子を見てくれることになったのじゃ。大ばば様はおるか? 外部の者を妖精の聖域に入れるゆえ、許可をもらわんとな」


 シエラがそう答えると、サーシャは「そうだったのね。大ばば様は、ちょうど妖精の聖域の様子を見に行っているところだと思うわ」と、教えてくれた。


 サーシャに別れを告げて、エルフの里へと入る。

 すれ違うエルフたちと挨拶を交わしながら、里の奥へと抜けた。


「妖精の聖域は、ここから5分ほどじゃ」

「分かった」


 ◇

 

 数分歩くと、なんだか空気が張り詰めてくるのを感じた。

 足元を見ると、草が枯れている。


 すると、紫色の傘を被ったキノコの魔物に遭遇した。

「ピーッ!」

 傘を震わせて威嚇してくる。


「わっ、魔物! タイガ、頼んだ!」

「うん、まっかせて!」


 虎になったタイガは、「えーい」と軽快にキノコ退治をする。


「なんと、面白い性質じゃ! 魔力を解放して身体強化をするのか!」

 シエラは魔法杖を構えたが、標的がいなくなったためか、すぐに背中に戻した。


 ちょっとシエラの魔法も見たかった気もするが……まぁ、いいか。


 そんなことより俺は、あることに気付いた。

「あれ? そういえば、この森に入ってから、初めて魔物に遭遇したな?」

 

「うむ。この森はそういう森なのじゃ。お主の持っておる小さな女神像――あれと同じマナが、この森には満ちておる。ゆえに、全く出現しない訳ではないが、危害を加えてくるような魔物の出現は稀なのじゃよ」


「マジか……」


「しかし、今までは妖精の聖域周辺では魔物など出るはずもなかった。これも、聖なる泉が汚染されてしまったゆえじゃろう」


「ヤバいな……。俺になんとかできると良いけど」

 考えがあるとは言っても、急に不安になってくる。

 事態は思っていたよりも深刻そうだ。


 更に先に進むと、紫色の水の貯まった泉へと到着する。

 まるで毒が煮えたぎるかのように、時折気泡が割れる。


 その泉全体に紫色の幕でもかかっているかのように、どんよりと暗い。


 ちょ、これ――泉の神獣たち、大丈夫なのか!?


「シエラ、戻ったのですね」

 落ち着いた女性の声。

 

「大ばば様、ただいまなのじゃ。レンとタイガのこの聖域への立ち入りを許してほしいのじゃ」


 大ばば様か。

 2000歳超えの、超絶ヨボヨボのおばあちゃんな――


 俺は、大ばば様を振り返る。


 ――そして、言葉を失った。


 そこには――

 驚くほどの絶世の美女がたたずんでいた。


「もちろんです。不思議な魔力の方々。ようこそお越しくださいました」

 大ばば様はニコッと微笑んだ。


「あ、いえ――」


 ……は!?

 この人が、大ばば様!?


 大お姉様の間違いじゃないか!?


 ……エルフって、すげぇ……。

 思わずぽかーんと見惚れる。


「なんじゃ、レン。何を固まっておる?」

「おーい、レン~」

 シエラとタイガが俺の目の前でブンブンと手を振っていた。


「あぁ、いやいや。なんでもない」

 首を横に振り、邪念を振り払った。


 別に、鼻の下を伸ばしてた訳じゃないぞ。

 

 勝手に、欠けた三日月みたいなのを想像してたら――


 ――満月どころか、スーパーフルムーンが出てきたんだ。


 だから、びっくりしただけだ。本当だ。

 

 今はそんなことより、目の前の事態だな。


「こりゃ、ひでぇな……」

「あっ、あの子たちが神獣? たくさんいるね?」

 

 タイガと一緒に泉を覗き込む。

 紫色の泉の中で、光をまとった生き物たちがゆっくりと泳いでいた。


 七色にきらめく、透き通った魚。

 水の精霊のような、淡く光る小さな生き物。

 

 猫のような顔をした、不思議な生き物。

 そして、白い羽を広げて舞うカメ――


「うわぁ、すげぇ! 神獣って、こんな姿だったのか……!」


 みんな生きている――でも。


 大ばば様が悲しそうにこう呟く。

「皆、かろうじて生きています。しかし、こんな水ですから、少しずつ衰えてしまっています。今は食事を与えていましたが、食いつきもあまりよろしくはありません……今までは、取り合いになるくらいだったのですが」


 大ばば様は、持っていたブドウをひとつもぎ取って泉へ落とす。

 すると、猫のような生物がそろりそろりとブドウに近づき、ぱくり。


 確かに、元気がない。

 それでも、懸命に泳ぐ神獣たち。


「こやつら神獣は、この泉の水でなければ生きることはできん。じゃから、こんな色の水でも誰も飛び出てこようとはせんのじゃ」

 シエラが残念そうに言う。

「そうか……」


 ――なんとかしてやりたい。


 俺の中に、そんな強い気持ちが芽生えた。


「よし。まずは確認と調査だ――」

 ……絶対に、助ける。

 

 

 

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ