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異世界秘境キャンプ旅~キャンプオタクが失われた錬金術で快適生活。もふもふな守護猫タイガと巡る絶景と飯テロの旅~  作者: るあか
第二章 冒険者ギルド

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第21話 俺の進む道

「あぁぁ~、ポルタ! わたくしの可愛い可愛いポルタ! よく無事に戻ったザマス……!」

「わんっ、わんっ♪」

 ポルタは尻尾をブンブンと振りながら、マダムフィレーネに抱き締められていた。


 マダムは何度もありがとうと感謝を伝えながら、依頼書にサインをしてくれていた。

 無事報酬も受け取ったところで、マダムの豪邸を後にする。


「まさかわんちゃんだったとは、思ってもいなかったわ……」

「でも、見つかって良かっただな~」


 そんな会話で盛り上がりつつ、冒険者ギルドへと戻る。

 ギルドで依頼達成の報告をすると、アイシャの予想通り、俺の冒険者ランクが『初級冒険者』へとランクアップしていた。

 これで討伐依頼なんかも受けられるから、稼げる手段も増えたな。


 報酬は仲良く山分け。初めは俺とタイガが見つけたからと言って、俺たちの取り分を増やしてくれようとしていたけれど、それは俺が断固拒否。みんなで協力して得た報酬だしな。


 緊急依頼も終わって臨時パーティが解散になると、アイシャはこんな嬉しいことを言ってくれた。

「ねぇ、レンさん。良かったら、このまま私たちと固定パーティを組まない?」


「えっ、俺、錬金術師っていう、無名の職業なのに、誘ってくれるんですね……」

 登録時の説明でも不利になるかもって言われていた、全く浸透していない職業。

 それでも誘ってもらえるなんて、素直に嬉しかった。


「僕見てたよ。なんか魔法みたいに光って、足場を作ってた。すごい職業だよ♪」

 コリンが言う。やっぱり、あれ見られてたんだな……。


 すごく嬉しい。だけど、俺にはどうしても譲ることのできないところがあった。

「オイラたちはヴェルーナに留まって活動するパーティだから、もし条件が合えば、なんだけどな……」


 そう。俺が冒険者ギルドに入ったのは、旅をしながら働けるギルドだったからだ。

 誘ってもらえたのは本当に嬉しいけど、俺とタイガには、自分たちで決めた目的がある。


「本当に嬉しいんですけど、俺とタイガは――あちこち旅をしているところなんです。だから、パーティには入れません。ごめんなさい……」

 俺は深く頭を下げた。


 アイシャたちが慌てたようにフォローをしてくれる。

「あぁ、良いの、良いの! なんかそんな気はしてたの。ダメ元だったから、気にしないで」

「ちゃんとした目標があって、偉いだよ」

「錬金術っていうの、もうちょっと見たかったけど……。レンとタイガは、自分たちのしたいことを楽しんでよね♪」


「皆さん、ありがとうございます……!」


 こうして、俺とタイガはアイシャ隊に別れを告げた。


 ◇


 アイシャたちは、このギルド支部に隣接している『冒険者の酒場』という施設で知り合ったらしい。

 

 パーティを組むの、すげぇ楽しかった。

 そんなに急いでパーティを組みたいとかはないけれど、冒険者の酒場がどんなところか覗いてみるのもいいな。

 

 俺たちはアイシャ隊と別れたその足で、ギルドに隣接する冒険者の酒場へと足を踏み入れた。


「おぉ、ここも賑わってるな……」

「酒場みたいに料理も食べられるんだね!」


 大きい受付の奥には、普通の酒場が広がっていた。

「そうなんです、ちょうど前衛を探していて――」

「10日だけなんですけど――」

「魔法使いがいないと受けられない依頼があって――」


 そんな会話が聞こえてくる。

 なんか……結婚相談所みたいだな!?

 って、俺は結婚相談所には行ったことがないんだけど。


「こんにちは。パーティの仲間をお探しですか?」

 入り口で突っ立ってるもんだから、受付嬢に話しかけられてしまう。

 

「あ、えっと、どんな募集があるかなと思いまして……」

「募集登録者の確認ですね。現在登録されているのは、こちらの方々になります」

 受付嬢は、紙の束を渡してくれた。


 なるほど、こうやって自分を登録して、マッチング相手を探すのか――って、やっぱ結婚相談所じゃねぇか……。

 

 前衛の剣士で、活動範囲はヴェルーナ全域。

 求めるパーティメンバーは後衛の魔道士……か。

 どうやら、どうしてもやりたい依頼があるらしい。


 こっちは後衛の弓使いで、活動範囲は聞いたこともない町まで。

 俺の行きたいキルウェンでもないし、この人が求めているのは前衛だ。


 そうか、自由きままに旅なんて条件はないのか。

 町の外に出るために目的地までパーティを組むとか、ある依頼をこなすために組むってのが多いみたいだな。


「ご希望の条件の方は見つかりましたか?」

「あ、いえ……」

 

「それでしたら、ご自身を登録されていかれますか?」

「いえいえ、ホントにちょっと見たかっただけなので、大丈夫です」

 

「そうでしたか。我々はこのように条件の合う方とパーティを組むお手伝いをさせていただいておりますので、また必要になりましたら、いつでもお待ちしておりますね」

「はい、ありがとうございました」


 ペコペコとお辞儀をして、酒場を出ようとする。

 すれ違いで入ってきた男たちから、こんな会話が聞こえてきた。


「できれば『エルフ』の魔道士がいるといいけどな~」

「エルフの魔法はケタ違いだもんな」

 

「隣町……何て名前だっけ」

「キルウェンだろ? あの町のある森、エルフの里があるんだよな」

 

「えっ、じゃあ、キルウェンの酒場行った方がよくね?」

「あそこのエルフは森からは出ないって噂だぞ。この町までは来てくれねぇよ」


 ふぅん……この世界には、エルフもいるのか。

「なぁ、なぁ、レン。なんで仲間、探さなかったんだよ?」

 タイガが俺の肩から、俺の頬をちょんちょんと突いてくる。


「ん? あのな、タイガ。こういうのは、出会い頭にドーンッてぶつかって『すみません。大丈夫でしたか』みたいな出会いが良いんだよ」

「……何それ」

「……すまん。忘れてくれ」


 俺たちは、そのままヴェルーナの町の人混みに紛れていった。

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