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異世界秘境キャンプ旅~キャンプオタクが失われた錬金術で快適生活。もふもふな守護猫タイガと巡る絶景と飯テロの旅~  作者: るあか
第一章 旅の決意

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第2話 慣れてきたキャンプ生活

 ――夢を見ていた。


 女神と名乗る綺麗な女性の言葉が、断片的に思い出される。

 

早川蓮(はやかわれん)様、すみません。どうやら勇者の召喚に巻き込んでしまったようです』

 俺……勇者じゃなくて、巻き込まれた方なんだ……。


『ひとまず「鑑定眼」の能力を与えておきます。これで言語の自動変換もできるし、安全かどうかの判断もできるし……。理不尽に死ぬことは……まぁ、きっと多分ないでしょう』

 

 ……最後、あんまり自信なさそうだったけど、大丈夫かな。


『せめて、あなた様にピッタリの転送先に――ここですね』

 

 ――ここで目が覚めた。


 ◇


 朝起きると、既に子猫が捕ってくれていた魚を焼いて食べた。

 ちなみに、廃屋のトイレは仕組みが分からないがちゃんと水が流れるので、ありがたく使わせてもらっている。


 廃屋で見つけた『蒸留装置』という錬金道具で、綺麗な水も飲める。

 本来は薬品を調合する時に使うものらしい。


 朝食を終えると、俺は子猫にこう話を切り出した。

「お前、名前ないんだったよな」

「うん」


「……『タイガ』なんて、どうだ?」

「タイガ?」

 子猫は首を傾げる。


「お前の名前だよ。えーっと、だな。お前のその身体の模様は虎って動物によく似ていて、虎はタイガーともいうんだ。それでまぁ、タイガって思ったんだが――」

 

 口に出して説明をすることで、いかに安直なネーミングセンスかを思い知る。

 

 恥ずかしくなり、ポリポリと頭をかいて誤魔化した。

 昨日寝るとき、あんなに必死に考えたのにな……。


 ――しかし、子猫は満面の笑みでこう言った。


「タイガ! それがボクの名前かぁ。レンが付けてくれたボクの名前! うわーい、やったー♪」

 子猫は俺の周りをぴょんぴょん飛び跳ねながら、くるくる回っていた。

 ……こいつ、可愛すぎる……!


 こうして、この子猫の名前は『タイガ』に決定した。

 

 ◇

 

 今日から、よりよい生活を送るための工夫が始まった。

 

 錬金術で洗剤を調合して、廃屋にあった服を洗濯。

 洗濯は村の広場にある『噴水跡地』でやった。

 

 これにより、俺の服装は『錬金術師のローブ』という一見魔法使いっぽい格好になった。


 それにしても、その広場には噴水の近くに緑色で『女神像』と表示される像がある。


 鑑定眼は今のところ3色で表示されることが分かっている。

 緑は安全、赤は危険、そして――

 俺の安全に関係ないものは、全て黒色で表示されていた。

 

 そのため、この緑色の女神像は俺にとって安全で必要なもの、ということになる。

 一体、この女神像はなんなのだろうか?


 タイガに聞いても分からなかったので、安全ならとりあえず放置することにした。


 ◇


 何度か日が落ちて昇ってを繰り返したある日のこと。

 

「くんくん……くんくん」

 タイガが匂いに釣られて、外で鉄の鍋を火にかけていた俺のもとへと近寄ってくる。


「なぁ、レン。それ、良い匂いするなぁ。何か美味しいもの、作ってるのか? それも、ご飯なのか?」

 興味津々に尋ねてくるタイガに、俺は自慢げにこう答えた。

 

「おうよ。名付けて……『魚と野菜のスープ』だ!」

 

「ふーん、そっかぁ。魚と野菜のスープ、食べるの楽しみだなぁ♪」

 タイガは上機嫌で椅子に飛び乗り、ちょこんと座った。


 魚は内臓を取るくらいしかできないので、ぶつ切りにしてぶっこんだ。

 更に、そこら辺に生えている野草も鑑定眼で確認しながら有効活用することに。

 

 このスープの中には『ネトル』って野草が入っているのだが、鑑定眼では最初赤色で表示されていた。

 でも、あまりにもたくさんそこら中に生えすぎていて、これが食えたら助かるのになぁと思っていた。

 

 俺はふと、日本で普通に食っていた野菜でも、熱を通さないと硬くて食べられなかったり、根の部分にだけ毒があったりするものがあることを思い出す。


 そこで一か八かでこのネトルってやつを少量茹でてみたら、赤色の表示が緑色に変わったんだ。

 なんかほうれん草みたいな食感で、クセもあんまりない。


 鑑定眼も、名前の横に『茹でたら食べられるよ』なんて書いてくれると良いんだけど、そこまでの便利さはないらしい。


 このスープには、魚とネトルの他にも『ワイルドオニオン』とかいうネギみたいなやつと、『グルム草』という先端がクルクルに巻いてある草も投入してある。

 

 おたまですくって、ちょっとだけ味見をしてみる。

「おぉっ、美味い! これ、コンソメスープみたいだ!」

 

 なんでコンソメスープの味になったのかは全然分からない。

 偶然の産物。結果オーライだ。

 

 ただ、少し薄味だったので、最後に塩で味を調える。

 なんか一人前なことをしている気分になり、思わずニヤついた。


 気の済むまで煮込んで、夕食が完成。

 自然のごちそうに、タイガと一緒に舌鼓。


 ◇


 また数日経ったある日のこと。

 俺は、そろそろこの閉鎖的な空間から出てみたいと思うようになっていた。


 岩山の向こうには海があるらしく、タイガ曰く「たまに船に乗った人がくる」らしい。


 このままここで暮らすのも悪くないけどさ――

 もっと色んな場所でキャンプできたら、もっと面白いだろ。

 

「なぁ、タイガ、お前、あの岩山の向こうに行ったことがあるって言ってたよな?」

「うん、あるって言うか、レンが来るまでは暇だったから、何回も行ったり来たりしてたよ」

 

「そっか……。俺もそろそろあの岩山を探検してみようと思うんだが、付いてきてくれるか?」

「うん。ボク、知り尽くしてるから案内してあげるよ!」


 こうして、俺はこの村を囲んでいる岩山の洞窟へと足を踏み入れた。

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