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異世界秘境キャンプ旅~キャンプオタクが失われた錬金術で快適生活。もふもふな守護猫タイガと巡る絶景と飯テロの旅~  作者: るあか
第二章 冒険者ギルド

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第15話 絶景の情報

「なぁ、レン。そろそろ暗くなってきたから、どこかで火を起こさないと……」

 俺の肩にいるタイガが、俺の頬をちょんちょんと突く。


 ほら、もうタイガは『人は野宿をする生き物』だと思ってる。

「いや、タイガ。今日は宿屋ってところに泊まるから火は起こさなくてもいいんだぞ」

「とまる……?」

 タイガはキョトンとする。人の暮らしってものを、まだまだたくさん教えてやらないとな。


 タイガに家というものの話をしながら宿屋を探す。

「だからあの村もお家が建ってたのかぁ……。宿屋さんはゴールドとお部屋を交換してくれるところ。ボク、覚えたよ♪」

 

 タイガの知識は錬金術に偏っている。

 でもそれは、ただ知らないだけであって、教えてやればどんどんと覚えてくれる。

 タイガがどんどん人の暮らしに適応していくのも、俺の中では嬉しい成長だった。

 

「おっ、ここだな」

 『酒場』と『宿屋』の看板が目に入る。晩飯も隣の酒場で決定か?


 宿屋に入ると、優しそうなおじいさんが受付に座っていた。

「お疲れ様です。ようこそお越しくださいました」


「部屋の空きって、まだありますか……?」

「はい、ございますよ。一泊500ゴールドになりますが、お泊りになりますか?」


 500G!

 良かった……良心的な値段だ。


「はい、お願いします」

 金を払ってカギを受け取る。2階の奥の部屋らしい。

 宿屋のロビーは酒場と繋がっているらしく、向こうの方から賑やかな声が聞こえていた。


「このロビーの奥に大浴場もございます。お部屋のカギを見せることでご利用可能でございます」

「マジっすか……ありがとうございます」


 俺は2階の個室へ向かい、入ってすぐにリュックを下ろした。

「暗っ! おっ、このランタンに火をつけるのか……」

 入り口の棚にランタンとマッチがセットで置いてある。


 部屋はベッドと机と窓しかない質素なところだった。それでも、俺の住んでいたアパートとは雰囲気も全然違う。

「火をつけてもすぐ消さないとだし、とりあえず荷物だけ置いて、行くか、大浴場……!」


 ◇


「ふぅ~っ! いやぁ、サッパリしたなぁ~」

 入浴を終えて、脱衣所の隣にある小さなラウンジへと入った。

 

 この世界に来て、やっとまともに風呂が入れた。最高だった。

 キャンプ生活を続けてきたからこその、気持ちよさだったな。

 汗をかくのも、汗を流すのも、最高ってことだ。


 木のベンチに腰掛ける。

 そして、膝の上にタイガを乗せて、タオルでわしゃわしゃと全身を拭いてやっていた。


「ボク、ブルブルってするからもういいよ?」

「いやいや、それだとこの辺水浸しになっちまうんだよ。今度は床を拭かなくちゃいけなくなるだろ?」

 

「そっか! じゃあ、ボクもボクを拭くの手伝うね♪」

 タイガはそう言って、タオルにぐりぐりと頭を押し付けてきた。

 なんだこいつ……可愛すぎる……!

 俺は思いっきり噴き出して笑ってしまった。


 すると、向かいのベンチに腰掛けた知らないおじさんが声をかけてきた。

「えらくさっぱりした顔してんなぁ、兄ちゃん。なんかデカい依頼でもこなしたか? おっと、冒険者じゃなかったらごめんよ」


「あっ、いえ……。実は今日冒険者登録をして、初めて依頼をこなしたんです。採取ばかりの簡単なものでしたが、無事に依頼達成できてホッとしています」


 俺、結構人見知りだったのにな。

 気付けば、知らない人にそんなしょうもない話ができるまでになってる。


「そうか、そうか! 冒険者デビューおめでとう。最初は見習いだし、簡単なものしかできねぇからな。見習いから初級になるのはすぐだと思うから、頑張れよ」


 冒険者のランクアップの基準は、こなした依頼の内容や数で総合的に判断される。

 そんなにランクアップに急いでいるつもりはないけど、初級くらいには早く上がりたいなとは思う。


「はい、ありがとうございます。えっと、あなたも冒険者なんですか……?」

「おうよ。この町は飯も美味いし、町も綺麗だし、もうずっとこの宿屋に泊まりながら依頼を片付けてるな」


「そうなんですね、ベテランさんだ……。飯って、隣の酒場ですか?」

「そうだな。隣の酒場も美味いし、港の近くの酒場も美味いぞ」


「おぉ……!」

 やっぱり、今日の晩飯は隣で決定だ。


「俺ぁ、なんとなーく冒険者をしているんだがよ、兄ちゃんは、なんで冒険者になろうと思ったんだ?」

「俺は、そうですね……。この国のあちこちを旅しながら、色んな綺麗な景色を見て回りたいと思って。そこで、野宿をしたいんです。冒険者なら、それができると思ったので」


 俺がそう言うと、おじさんはキョトンとした顔をしていた。

「なんだよそれ、なんかいい感じの大義じゃねぇの! てっきり、お金を稼ぎたいからとか、強くなりたいからとか、そんなこと言うかと思ったのによ」


「あはは、変ですよね……もちろん、旅にはお金も必要なので、お金を稼ぎたいからですよ?」

「変なもんか! 立派な理由があって良いじゃねぇの。あっ、綺麗な景色と言えば――『レガメ山』の山頂にはもう行ったのか?」


 山の山頂……!?

 なんだそれ、ワクワクする……!


「レガメ山……いえ、まだです。俺、田舎者でこの辺の地理に全然詳しくなくて、良かったら教えてもらえませんか?」

 

「おぉ、そうだったか。レガメ山ってのは隣の『キルウェン』って町との間にある、ちっせえ山のことだ」

「キルウェン……なるほど」


 おじさん曰く、ヴェルーナの町とキルウェンの町を繋ぐ『レガメ山道』という道があるそうだ。

 徒歩で行くと、山道の途中で山頂への分かれ道があり、そこから頂上へいけるらしい。


「さっきも言ったがちっせえ山だし、登るのは楽勝だ。なんたって、その山頂からの日の出が最高なんだよ……!」

「山頂からの……日の出……!」

 俺の心が、キラキラとときめいた。


 景色は綺麗だけど、山頂で野宿をしないといけない。

 しかも、普通はそのレガメ山道は馬車で通過してしまうから、それもあってほとんど誰も山頂には行かないそうだ。


 だけど、俺にとってはむしろ最高の野宿ができるロケーション。

「教えてくれてありがとうございます! 絶対に行きます!」


 もう少しお金を貯めて、必要なものを揃えたら――


 ――次に向かうのは、『キルウェン』だな。




 

 

 

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