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異世界秘境キャンプ旅~キャンプオタクが失われた錬金術で快適生活。もふもふな守護猫タイガと巡る絶景と飯テロの旅~  作者: るあか
第二章 冒険者ギルド

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第13話 それでも俺は

 俺を案内してくれた女性職員は、登録係の女性に俺を託して去っていった。

 丁寧にここまで案内してくれてありがとう、マジで……!


 そして、まずは登録用紙に必要事項を記入することに。

 登録係から黄土色のざらざらした用紙をもらい、隣の記入台に移動する。羊皮紙ってやつか……。


 うわっ、羽根ペンだ……!

 先が万年筆みたいになってるのか……。


 用意されていた羽根ペンを持ち、登録用紙を眺める。

 良かった、出身や住所とかを書く欄はなさそうだ。


 まずは今日の日付っと。

 用意されていたカレンダーを見て、俺は目を見開いた。

 

 あれ、ちょっと待てよ――


 俺は慌ててイヴンの手記を取り出して、そこに書かれている日付と今日の日付を照らし合わせた。


 ――この手記、今から400年も前の物だ!


 あの廃村、今から400年も前に滅んでいたのか……!

 それにしても、建物も朽ちているものはあったけど、ほとんどがちゃんと残っていた。


 そういえば、タイガが「毛布は錬金術でできてるから、綺麗だったのかも」って……。

 あの廃村にあった建物も錬金術でできていたとしたら……?

 

 錬金術で作ったものは、物持ちが良いのか……。

 改めて、錬金術の凄さを実感した。


 気を取り直して、今日の日付や生年月日を記入する。

 俺は28歳のままこの世界に飛ばされたはずだから、生年月日は今から28年さかのぼって書いた。


 職業は――錬金術師っと。

 その隣には『前衛・後衛・非戦闘』を選ぶ欄があり、『非戦闘』に丸を付けた。


 使い魔を連れている場合は、それも記入するらしい。

 名前は『タイガ』で、魔物名か……。


「なぁ、タイガ。お前は魔物じゃないけど、ここに『錬金守護獣』って書いていいか?」

「うん、もちろんいいよ? 何か、ダメなの?」

 タイガはキョトンとして首を傾げた。魔物と一緒にされるのは嫌かと思ったけど、それはいいんだな。


「いや、気にしてないならいいんだ。魔物名は錬金守護獣っと……タイガは前衛だな。よし、これで完成だ」

 俺は登録用紙を登録係に提出した。


 ◇

 

 登録係は、分厚い本を取り出してペラペラとめくっていた。

 時折、俺の登録用紙とその本を見比べている。


 そして、こう言った。

「すみません。こちらの『職業辞典』にも載っていないのですが――『錬金術師』とは、どのような職業なのでしょうか?」

 

「なるほど……」

 その分厚い本、職業辞典だったのか……。そんな分厚いのに、錬金術師は載ってないと。

 俺は、マイクたちも錬金術師の〝れの字〟も知らなかったことを思い出した。


 それに、400年も前に滅んだ錬金術師たちの村――


 あの村の人たちが、最後の錬金術師の一族だったのかも……!?


「えっと、薬の調合ができます。あっ、調味料も作れますよ」

 俺がそう答えると、登録係は「薬師ということですか?」と問い返してきた。


「いや、でも物を作ったりもできるからな……椅子とか机とか……」

「家具職人でもあるのですか!?」

 

 目をぱちくりとさせる登録係に、俺は噴き出しそうになるのを必死に堪えた。

 錬金術師を知らない人たちから見た錬金術って、『薬師兼家具職人』なのか……。

 

「いやー、なんていうか……」

 この場で実演するべき? いや、なんか自慢してるみたいで嫌だな……。

 登録係もまた、頭を抱えていた。


「うーん、どうしましょうか……。『薬師』であれば広く知れ渡っている職業なので、登録は『薬師』の方が良いかもしれませんが……。薬の知識がある人向けの依頼なんかが、受けやすくなるんですよ」

 

「あー、そういうことか」

 知れ渡っていない依頼だと、ギルド活動の幅が狭まるってことか。

 でも、それなら――


「どうします? 薬師で登録しますか?」

 そう言う登録係に、俺は大きく首を横に振った。

「いえ、錬金術師で登録してもいいんですよね? ただ、俺が不利になるだけで」

「はい、もちろんです。そうですね、不利な場面が出てきてしまうかもしれません……」


「だったら、俺は大丈夫なのでこのまま錬金術師で登録してください」

 別に俺は、ギルドに出された依頼を全部こなして、薬師として認められたいんじゃない。


 そりゃ、依頼を出す人は何かしら困っていることがあるんだから、俺のできる範囲で力になれることがあるなら力になりたい。

 でも、俺の目的はあくまでも――旅だ。


 それに俺は――錬金術師としてこの世界で生きていくと決めたんだ。


 だから、堂々と錬金術師でいたい。


「かしこまりました。では、登録をして参りますので、少々お待ちくださいね」

 登録係も、俺の吹っ切れたような表情を見てか、笑顔でうなずいてくれた。

「お願いします」

 

 ◇


 しばらくして、登録係から『冒険者証』と『冒険者手帳』を受け取った。

 冒険者としての、諸々の説明を受ける。


 冒険者証に書かれていたのは――

 

 さっき俺が記入した個人情報。

 冒険者No.5F-16984。

 『見習い冒険者』の称号。

 

 これだけだ。


 手書きだし、顔写真とかもない。

 冒険者手帳にはギルドの規約が書いてあり、俺がこなした依頼もそこに記入されていくそう。


 ――結構アナログだ。


 でも、冒険者証は身分証にもなる。

 これがあれば『ソルティア国民』として認められるし、俺は『冒険者』という身分を手に入れた。

 それに、身分証の提示で銀行口座だって作れるぞ。


 これで堂々と旅もできる。

 異世界人の仲間入りができたと思うと、俺は嬉しくなった。


「それでは冒険者様、いってらっしゃいませ!」

「はい、ありがとうございます。いってきます!」

「いってきま~す♪」

 タイガがブンブンと手を振ると、登録係の目がハートになっていた。

 

 よし、早速何か依頼を受けてみよう!

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