第12話 冒険者ギルド
ゴンドラから降りて、目の前の城のような建物の中へと入る。
「うわぁ……」
「でっかいお家だね~!」
俺の肩の上で、タイガがそう呟く。
目の前にはだだっ広いロビーが広がっており、たくさんの人がひしめき合っていた。
フロアの奥にはいくつものカウンターが設置されていて、制服を着た人たちが冒険者の対応をしていた。
立ち止まって会話をしている人たちもいれば、あちこちにあるソファでくつろいでいる人たちもいる。
そのほとんどの人が何かしらの武器を装備していた。
この広さで〝支部〟か。冒険者ギルドって、めちゃくちゃ盛んなんだな……。
日本では考えられない光景。これが、異世界か……。
キョロキョロしながら奥へ進んでいくと、ドンッと誰かにぶつかってしまった。
「わっ、すみません!」
慌てて謝ると、想像よりもずっと低い位置からおじさんの声が返ってきた。
「おっと、ごめんよ。大丈夫だったかい?」
その声の位置まで視線を下げると、小さなおじさんがニコッと笑った。
えっ、ちっさ! おじさんの背丈、俺の腰くらいまでしかない……!
もしかして、この人も人間じゃない……!? 小人、的な。
「大丈夫です。こちらこそすみませんでした!」
ペコペコと頭を下げると、小人のおじさんは「無事なら良かったよ」と言って去っていった。
すげぇ、色んな種族がいる……!
他にはどんな種族がいるのだろう。
キョロキョロと見渡してみるけれど、人がいすぎて分かりにくかった。
そして、このフロアの壁一面には、依頼書らしき黄土色の紙が張られている。
そのうちの1枚を外し、カウンターへと持っていく男の姿が見えた。
なるほど。ああやって依頼を受けるのか。
俺があまりにもキョロキョロしているからか、カウンターにいる人と同じ制服を着たお姉さんに話しかけられた。
お助けのギルド職員か。ありがたい……!
「何かお困りですか?」
「あっ、あの、初めてで……。素材の換金と冒険者登録をしたいんですけど……」
「そうでしたか! 冒険者ギルドへようこそ。素材はそちらの麻袋の中の物でよろしかったでしょうか?」
ギルド職員は俺が担いでいる麻袋を指し示した。俺はコクンとうなずく。
「あっ、はい。この中は全部鉄鉱石で、あと、別で魔物の素材も少しあります」
「かしこまりました。魔物の素材は『納品依頼』で収められるかもしれませんので、ひとまず鉄鉱石のみ換金しに行きましょうか。鉱石類の納品依頼は、基本的に鉱業ギルドに出されるんです」
確かにマイクたちも、そんなようなことを言っていたな。
「分かりました、お願いします」
「はい! 素材の換金カウンターはあちらになりますので、あちらに向かいましょう」
奥のいくつも連なっているカウンターとは別のカウンターへ向かった。
「冒険者様、お疲れ様です」
換金カウンターの男性ギルド職員が、ペコリとお辞儀をする。女性職員は換金カウンターの職員へ軽く説明をすると、そのままそこに立って微笑んでいる。俺が換金するのをそこで待っててくれるのか。
そして俺は、換金カウンターの職員から、換金に関しての説明を一通り受けた。
基本的に素材は『納品依頼』で収めた方が、単価は高くなるらしい。
換金カウンターでは今出ている納品依頼は全て把握している。冒険者が把握できずに売ろうとしてしまっても、納品依頼を勧めてくれる安心設計だ。
魔物の素材は一旦全部置いておいて、鉄鉱石だけを換金してもらった。
◇
「お待たせ致しました。50ゴールドの鉄鉱石が68個で、計3400ゴールドのお渡しとなります」
「おぉ……!」
2色のコインを計7枚もらう。『1000』と書かれている銀っぽいコインと、『100』と書かれている銅っぽいコインだ。
どちらの裏側にも『G』の文字がある。
この国の通貨はゴールドで、略称は『G』ってことか。コインに数字も書いてくれているし、分かりやすくて良かった。
正直この3400Gという額が多いのか少ないのかはよく分からない。
それでも、初めて手に入れた金に、ワクワクが止まらない。
タイガも俺の肩の上から興味津々に眺めていた。
7枚のコインを腰の布袋に入れて、換金カウンターの職員にお礼を言う。
そして女性職員の方を見ると、彼女はニッコリと微笑んで次のカウンターへと案内をしてくれた。
そこは、冒険者登録のカウンターだった。次はいよいよ登録だ。




