はじまり5
魔王は魔力を前腕に集中させ、繰り出されるそれを腕をクロスさせることで防いだ。
しかし、その威力を相殺できず、体が大きく後方へ吹き飛ぶ。
続く三閃、音速の空中滑空の最中迫るその閃撃を、魔王はまたしても前腕で防ぐ。
「……!」
四閃、五閃、六閃、刹那の間に繰り出されるその攻撃を魔王は腕の挙動のみで対処しきった。
吹き飛ぶ魔王と並走する勇者によって振るわれる剣撃と、魔王の腕撃の激突により、二人の通る空間には漆黒と稲妻の衝撃波だけが取り残され。まるで二人を追従するように次々と爆ぜてゆく。
魔王の背が壁と激突する、それによって停止する体の滑空、目前には、伝説の剣による刺突が迫っている。
対し魔王は、両の手の平で白刃取りした。
「!」
白刃取りの衝撃波が黒と雷の魔撃を放出しながら波紋上に周囲を駆け抜けた。その中心、勇者の腹部に、魔王のつま先がめり込む。
「……ッ」
魔王に蹴り上げられ、上空にかちあげられる勇者。
同時、戦士が投射したアックスが、僧侶の極大魔法が、魔法使いの極大魔法が、三方から魔王へ迫る。
対し魔王は、漆黒の魔力を周囲に球体状に展開し、魔力のバリアを張った。
すべての攻撃が、魔王へ届くことなく、バリアに阻まれる。
「我が力よ、焦土を描く閃光となれ!炎熱極大魔法アポカリプス・レイ!」
(ほう、詠唱時間を稼ぐことが狙いか)
勇者を纏っていた魔力が、一瞬にして体から離れ、周囲に拡散する、そして勇者の掲げた手のひらに収束、まるで光線のような極太の雷撃が、雷速でバリアを貼った魔王へと降り注いだ。
「……なに!」
勇者の全魔力を放出した一撃が、魔王のバリアを吹き飛ばし、魔王に直撃する。




