はじまり4
「~~ッ!!」
勇者は左手をかざし、雷撃魔法を放つ。 対し魔王は、暗黒魔法で応じた。
至近距離で二つの魔法が激突する。
その後訪れる衝撃波に勇者の体が吹き飛んだ。
体が地面をバウンドし、転がる。 停止と同時、魔法を撃った左手に激痛が走る。
見れば、腕がなくなっていた。
ほぼゼロ距離からの勇者専用魔法と魔王専用魔法の激突だ、これぐらいで済んでむしろ運が良かった。
そう思考すると同時、勇者は同じ条件であった魔王を見、顔をしかめた。
魔王は涼しげな顔をして、先ほど勇者がいた場所に直立している。
僧侶の回復魔法で、黒焦げになった戦士の体と、勇者の失った左腕がなんとか再生される。が。
「どうした? こんなものか?」
魔王はその余裕ゆえか、声をかけた。
「……くそが!」
勇者は、顔をゆがめる。
強い……今まで戦ったどんな敵よりも……これが魔王
女神の加護を授かった自分達をまるで相手にしていない
しかし……どうにも引っかかる。戦闘前の言葉もそうだが、今の魔王の戦いぶりだ。 なぜ相殺を選択しているんだ? というより、なぜ人型のまま戦うのか。 この最終局面で本気を出さない理由などどこにもないはずなのに……
「!」
一瞬で勇者の目前に移動する魔王、その手刀と、勇者の剣が激突する。
(何か感づいたか?)
「ーーッ!」
勇者は、考えるのを辞めて、魔王との鍔迫り合いをやり過ごすと、後方に跳び、魔王と距離をとる。そして皆に目配せする。
「「「ッ!」」」
三人の仲間達は、その目配せから読み取ったのか、勇者へ手をかざした。
三人の魔力が勇者に注ぎ込まれる。
勇者の体から魔力がほとばしる、頭髪が発光し重力に逆らうように逆立った。
「!」
魔王の眼前に伝説の剣が迫る。
今までとはくらべものにならない圧倒的な初速で、繰り出されたそれを、魔王は屈むことで避けた。
続く第二閃、勇者によって放たれるそれは、やはり今までの比でない速度と威力をもって魔王に迫る。




