じつりょくさ
魔法戦士「当然だ! 俺たちは家族をライガや魔物に殺されたんだ、その仇を討つために、今まで血反吐を吐いて、特訓を続けてきた! 魔王討伐の為に死ねるのなら本望、頼む勇者様、大した力にはなれないかもしれない、しかし、魔王への隙をつくるくらいはできるはずだ」
武道家も、賢者も強い眼差しで勇者を見つめる。
「……はぁ、わかった」
魔法戦士、武道家、賢者の顔がほころぶ。
「ただし、俺に触れることができたらな」
魔法戦士、武道家、賢者「!」
「今、ここでだ、魔法を俺に当てられたら、でもいい、それができないようでは、魔王には触れることすらできないだろうからな」
武道家「しかし勇者様は今、丸腰ではありませんか」
「ちょうどいいハンデさ」
その言葉に、三人の顔が曇った。
どうやらプライドに触ったらしい。
魔法戦士「いいでしょう」
魔法戦士は剣を抜く。
賢者は杖を取り出し。
武道家は構えた。
「じゃあ、開始だ」
魔法戦士、賢者、武道家が動く。
まず武道家が、勇者めがけて矢のように迫る。
その間に、魔法戦士が魔法剣の詠唱を、賢者が火炎魔法の詠唱を―
勇者が、その場から消えた。
そして三人の後ろに立つ。
「「「!?」」」
同時、巻き起こる突風。
音速に近い速度で移動したことによって、三人の体を吹き飛ばした。
賢者(詠唱の時間が――)
武道家(攻撃する時間が――)
魔法戦士(相手の動きを見る時間が、ない!)
三人は、吹き飛び、地面を数メートル転がった後、止まった。
「どうした? 俺はただ動いただけだぞ?」
魔法戦士「…ッ!」
魔法戦士はなんとか立ち上がろうと体を動かす、しかし次の瞬間には、全身を強い痛みに襲われ、体を動かすことは叶わなかった。
「やめておけ、常人なら死んでるレベルの衝撃のはずだ、体が動くわけがない」




