しゅっぱつ
武道家「こんな…理不尽な…」
「理不尽? 魔王はもっと理不尽だぞ、俺レベルが四人がかりで、手も足も出ないんだからな、だがこれでわかったろ?」
「魔王と戦闘では、悠長に詠唱してる時間なんてないし」
賢者「!」
「相手の動きから出方を見る余裕もないし」
魔法戦士「!」
「ましてや拳を当てるなんて、今のままでは不可能だとな」
武道家「……!」
勇者「じゃあな、お前らも、そこらの魔物相手なら、難なく戦える、できればその力を、この国を守る為に使ってほしい……そうしてくれると、俺も心強い」
勇者は、それだけ言い、倒れる三人をその場に残し、教会へ足を向けた。
教会に、戦士と魔法使いの姿はなかった。
神官に僧侶のことを託し、勇者は教会を出る。
「もういくつもりか?」教会の壁に身を預け、腕を組んだ司祭が、勇者の背中に語りかける。
「…司祭……妹のことは……すまなかった」
「よせ、あいつも望んでいった旅だ。 お前の所為じゃない」
「……でも」
「そんな事よりも、ほんとに今すぐ行くつもりなのか?」
「…ああ、戦士と魔法使い…スラきちを助けないと」
「…俺も手を貸すか?」
「……いや、確かにお前も、加護を持ってるけど……お前の加護のレベルじゃ、正直足手まといにしかならない」
「正直に言ってくれるな」
「…すまん」
「ほら」
司祭は一振りの剣を勇者に投げ渡す。
「!」
「この国の名工が勇者のために打った剣だ、伝説の剣には及ばないだろうが、下手な剣よりはましだろ」
「…恩に着る」
「あの二人も、俺たちの幼馴染であり、友達だ、頼むぞ」
「ああ、必ず助けてみせる……女神様は無意味な試練を与えない。 今までだって何度もピンチは経験してる。 それを乗り越えるたびに俺達は強くなった。今回だって同じさ」
勇者は微笑し、剣を背負うと、転移魔法を唱えた。
勇者の体が浮き上がり、すさまじい光と速度で、空を翔けていった。
「……女神様……どうか……ご加護を……」




