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 俺たちが巻き込まれたあの火事、あれは魔術によるものだったらしいんだ。


 そ、日本にはなかったはずの魔術。


 それを教えてくれたのは俺らくらいの男で、あ、高校生の時の俺らな。その男はさっき言った木と花があるところに住んでて世界線を管理してるって言ってた。


 男の名前? なんかよく聞き取れなかったからわかんね。


 そいつは無数にある世界線のうち俺らがいた世界とそれに近しい世界を担当してるらしくて、なんだっけっかな、そいつが例えを言ってたんだけど、あっ、そうそう、俺が高校に受かった世界と受からなかった世界みたいな、ほんの些細な違いしかないけど確実に違う世界線を管理してんだって。


 基本的に世界が交わることはないんだけど、何かのはずみで違う世界の情報が混じることがあるんで、そんときに修正を入れる役割らしい。つっても、些細な違いしかない世界どうしだから放っておくことのほうが多いらしいんだけど。 


 でも魔術なんてめちゃくちゃ大きな違いが俺らの世界に入り込んだ。

 そして俺らは死んだ。


 今回はさすがにマズイらしくて、世界線超えて人殺した犯人を捕まえたら大幅修正で生き返らせてくれることになったんだ。

 捕まえらんなかった場合は、こっちで余生を過ごせってさ。

 犯人捕まえないことには火事の時点での修正入れても結局魔術で死ぬ可能性が高いらしい。


 や、でも犯人見つけるための準備期間つって十五年くれたし、捕まえる気満々みたいだぜ。

 赤ん坊からやり直して必要な知識や術を身に着けろってことだしな。


 ……ん? そだよ、この世界に来てから十五年。もう九年たったからあと六年。

 俺はちゃんと修行してるぜ。


 お前は────って、聞くまでもなかったな。


 この世界に来た理由を覚えてないお前が対策してるわけないか。


 え、なんだ魔術の修行してんのか!


 記憶はなくても心は覚えてたってやつかな。……なんだよ、そのごまかすような笑い。


 まあ、いい。必要なのは実力だよ。どんなことやってきたんだ?

 ────へー、結構頑張ってんじゃん。

 治癒術っていえば漫画のミラも使ってたよな。あれと比べてどう?

 ────上等。じゃあ、犯人探しで俺がけがしたらよろしく頼むわ。


 は? なんで漫画の世界なのか?


 俺が知るかよ。漫画の世界に飛んだんじゃなくて飛んだ世界が漫画にそっくりだっただけだろ。作者がこの世界のことピピピッて脳内受信して漫画にしたんじゃねーの? 生き返ったら『花咲く国のティナ』がどうやって生まれたか作者に訊いてみればいいじゃん。


 ────おいおい、うぬぼれんなよ。

 教室にいたのは俺ら含めて五人だったけど、学校全体なら何百人といたんだ。そいつらみんなこっち来てんだぞ。お前なんかその他大勢だっての。


 あーうん、俺らの中の誰か一人でも犯人捕まえられりゃオッケーだ。


 ぶっちゃけ何もしない奴も一定数いると思う。


 俺らこの世界に来てアズリの里の神域に住まう神々に育てられたんだけど、俺みたいに立てるようになった段階で魔術の修行するやつもいれば何もしない奴もいたからな。七歳の時全員神域から追い出されたけど、ああいうやつがちゃんと生き残ってんのかちょっと心配だ。


 ────ハアッ⁉ だからお前はダメなんだよ。


 いいか、待ってるだけじゃない、選ばれに行くんだよ!


 それが真の選ばれし勇者なんだ!


 お前みたいに、何もしてないけど選ばれないかなあ、みたいな考え持ってるやつは絶対蹴落としてやる。

 そのための修行だ。


 俺が皆をもとの世界へと返す勇者だ!


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