土を掘るそして女子高生を探す 4
層番号、A-21。
掘削開始直後、抵抗が変わる。
「構造物密度、極めて高」
音声が即座に反応する。
土というより、ほぼ“層状の建材”だ。
断片ではない。
まとまりがある。
俺はスコップではなく、切削ツールに持ち替えた。
削る。
崩すというより、剥がす。
数分後、露出。
平面。
壁。
素材は均一。
加工精度が高い。
「建造物外壁、確認」
周囲を広げる。
上方向にも、構造が続いている。
「……高層」
地中に埋まってなお、形を保っている。
強度が高い。
さらに削る。
内部空間。
通路。
狭い。
「居住構造の可能性」
通路の幅は一定。
だが、余裕がない。
左右に区切られた空間。
一つ一つが、小さい。
「区画数、多数」
俺は、そのまま奥へと掘り進める。
同じ構造が、続く。
終わりが見えない。
「……繰り返し構造」
違いがない。
個体差がない。
第二章と似ているが、対象が違う。
あちらは機械。
こちらは——
「人間用構造」
別の反応。
有機物。
だが、保存状態が悪い。
形は崩れている。
「人類残骸、確認」
数は、多い。
集中している。
狭い空間に。
「……高密度」
さらに進める。
別の部屋。
同じ構造。
同じ広さ。
同じ配置。
差がない。
生活の痕跡はある。
だが、余白がない。
「記録媒体、確認」
壁面に埋め込まれていた。
電力供給。
起動。
映像。
室内。
人間がいる。
複数。
距離が近い。
異常に近い。
動きは少ない。
座っている。
立っている。
それだけだ。
別の映像。
通路。
人、人、人。
隙間がない。
移動しているが、速度は遅い。
詰まっている。
さらに別の映像。
外部。
建造物。
上へ。
さらに上へ。
視界の限界まで続く。
「……」
空が、ほとんど見えない。
建物が、埋めている。
「推測記録」
「本時代は、高密度居住を前提とした文明と考えられる。人口増加、または居住領域の制限により、空間効率が極限まで最適化されている」
映像は続く。
同じ生活。
同じ動き。
同じ空間。
変化がない。
「……」
ノイズ。
一瞬だけ、別の映像。
照明が消える。
暗闇。
動きが止まる。
再点灯しない。
そのまま、映像終了。
「記録断絶」
装置を停止。
「追加推測」
「高密度構造により、個体の自由度は低い。環境維持機能への依存度が高く、単一障害による全体停止のリスクが高い」
一拍。
「……停止後の復旧は困難」
それで終わり。
この文明は、完成している。
無駄がない。
効率的だ。
だが——余裕がない。
余裕がない構造は、壊れた時に戻らない。
それだけの違いだ。
回収対象を整理する。
ランクは高い。
だが、特別ではない。
この星では、よくある形だ。
極限まで詰める。
そして、戻れなくなる。
俺は立ち上がる。
上を見る。
崩れた天井。
その向こうに、さらに層がある。
まだ下がある。
まだ古い時代がある。
スコップを持つ。
また掘る。
次の層へ。




