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土を掘るそして女子高生を探す   作者: San


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3/8

土を掘るそして女子高生を探す 3

層番号、A-20。


 ここから、密度が変わる。


 


「有機物反応、増加」


 


 音声がそう告げた。


 珍しくはない。

 だが、この数値は少し高い。


 


 俺は掘削速度を落とした。


 


 土の色が、わずかに暗い。

 水分ではない。成分の違いだ。


 


 スコップの先に、引っかかる感触。


 


「対象物反応」


 


 しゃがみ込み、手で払う。


 


 最初に出てきたのは、布だった。


 


 劣化しているが、形は残っている。

 厚みがあり、均一。


 


「衣類。分類——防護用途の可能性」


 


 続けて、硬いもの。


 


 金属。


 


 丸みを帯びた形状。


 


「頭部装備」


 


 ヘルメット。


 


 内部に土が詰まっている。


 だが、元の形ははっきりしている。


 


 


 周囲を広げる。


 


 同様の物体が、いくつも出てくる。


 


 間隔は不規則。


 


 配置に意図はない。


 


 


「……散在」


 


 


 さらに掘る。


 


 


 今度は、長い金属。


 


 直線的で、機構がある。


 


「武器。分類——射出型」


 


 


 同じものが、複数。


 


 


 弾薬らしき小型物体も確認。


 


 


「戦闘痕跡」


 


 


 自動音声が、カテゴリーを更新する。


 


 


 俺は、手を止めずに記録を続けた。


 


 


 次に出てきたのは——骨。


 


 


 人間。


 


 


 完全ではない。


 


 分断されている。


 


 


「有機体残骸。人類」


 


 


 淡々と、処理される。


 


 


 数は、増えていく。


 


 


 一体ではない。


 


 二体でもない。


 


 


 層の中に、混ざっている。


 


 


 武器と、装備と、同じ場所に。


 


 


「……」


 


 


 俺は、作業を続ける。


 


 


 特別な処理はしない。


 


 


 この層では、これが“通常”だ。


 


 


 


 しばらくして、記録媒体。


 


 


 破損しているが、反応はある。


 


 


 電力供給。


 


 


 ノイズ。


 


 


 映像が立ち上がる。


 


 


 煙。


 


 


 地面。


 


 


 揺れ。


 


 


 視点が低い。


 


 


 人間の視点。


 


 


 走っている。


 


 


 息が荒い。


 


 


 何かを叫んでいるが、音声は不明瞭。


 


 


 次の瞬間、光。


 


 


 衝撃。


 


 


 映像が乱れる。


 


 


 切り替わる。


 


 


 別の場所。


 


 


 同じ構造。


 


 


 同じ装備。


 


 


 同じ動き。


 


 


 


「……繰り返し」


 


 


 俺は、そのまま記録に残す。


 


 


「同様の戦闘状況が複数確認される。時間的連続性は不明だが、構造的変化が少ないことから、長期間にわたり同一形式の戦闘が継続していた可能性」


 


 


 映像は続く。


 


 


 昼。


 


 夜。


 


 昼。


 


 


 変わらない。


 


 


 進展が見えない。


 


 


 ただ、同じ行動が繰り返されている。


 


 


「……」


 


 


 ノイズ。


 


 


 最後の映像。


 


 


 静止。


 


 


 誰も動いていない。


 


 


 地面に、同じ装備が散らばっている。


 


 


 それで終わる。


 


 


「記録終了」


 


 


 装置を切る。


 


 


 


「推測記録」


 


 


 短く、言葉をまとめる。


 


 


「本時代は、長期的戦闘状態にあった文明と考えられる。技術水準の変化が乏しいことから、戦闘形式が固定化し、終了条件を持たない状態に移行した可能性がある」


 


 


 一拍。


 


 


「結果として、消耗の継続により文明機能が維持できなくなり、崩壊に至ったと推測」


 


 


 それだけだ。


 


 


 珍しくもない。


 


 


 戦争は、よく終わらない。


 


 


 理由がなくても続く。


 


 


 終わる理由がなければ、続く。


 


 


 


 俺は骨を避け、装備を回収する。


 


 


 ランクは高い。


 


 


 だが、それだけだ。


 


 


 


 価値はある。


 


 意味はない。


 


 


 


 立ち上がる。


 


 


 土を踏む。


 


 


 柔らかい。


 


 


 この層は、有機物が多い。


 


 


 だから崩れやすい。


 


 


 だから、残る。


 


 


 


 スコップを入れる。


 


 


 また一つ、掘る。


 


 


 


 戦争の層の下には、別の時代がある。


 


 


 平和かもしれない。


 


 違う戦争かもしれない。

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