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土を掘るそして女子高生を探す   作者: San


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2/8

土を掘るそして女子高生を探す 2

層番号、A-19。


 前層よりも、明確に硬い。


 


「組成変化。人工密度、高」


 


 音声がそう告げる。


 俺は手を止めず、そのまま掘削を続けた。


 


 この硬さは、自然じゃない。

 加工された構造物が、まとまって埋まっている時の反応だ。


 


 数分後、露出。


 


 最初に見えたのは、金属の関節だった。


 


「機械部品、確認」


 


 そのまま周囲を広げる。


 ひとつではない。


 


 同じ形状の部品が、いくつも連なっている。


 


「……量産型」


 


 口に出す必要はないが、出た。


 


 規格が揃っている。

 誤差がほとんどない。


 


 これは個体じゃない。

 “製品”だ。


 


 


 さらに掘る。


 


 やがて、全体像が見えてくる。


 


 人型。


 


 関節構造、バランス、配置。

 人間に近い形状をしている。


 


「分類——作業機械」


 


 スキャナがそう判断した。


 


 妥当だと思う。


 


 この時代は、おそらく——


 


「労働の代替が進んだ時代」


 


 俺は、そのまま記録に音声を乗せた。


 


 こういう場合、簡易的な推測を残すことは許可されている。


 


「同一規格の機械個体が複数確認される。用途は不明だが、人型であることから、環境適応を人間基準に設計された可能性が高い」


 


 言いながら、土を払う。


 


 別の個体。


 さらに別の個体。


 


 どれも同じだ。


 


 違いがない。


 


 


「大量生産」


 


 それが、この層の特徴だ。


 


 


 しばらくして、別の反応。


 


 金属ではない。


 だが人工物。


 


 掘り出す。


 


 板状の装置。


 保存状態は、悪くない。


 


「記録媒体、確認」


 


 電力を流す。


 


 一瞬の遅延。


 


 映像が立ち上がる。


 


 


 並んでいる。


 


 機械が。


 


 同じ形のものが、無数に。


 


 規則的に配置され、動いている。


 


 人間の姿は、少ない。


 


 いるにはいるが——動いていない。


 


 立って、見ているだけだ。


 


 


「……」


 


 俺は、そのまま観察を続ける。


 


 


 機械が動く。


 


 運ぶ。

 組み立てる。

 配置する。


 


 すべて、無駄がない。


 


 速度は一定。

 誤差は見えない。


 


 


「効率化の極地」


 


 記録に残す。


 


 


 画面の端に、人間。


 


 何かを操作している。


 


 だが、関与は少ない。


 


 


「人間は管理側に移行」


 


 


 もうひとつ、映像が切り替わる。


 


 都市。


 


 整っている。


 


 崩れもない。


 


 混乱もない。


 


 


 ただ——静かだ。


 


 


 動いているのは、機械だけ。


 


 


「……」


 


 


 ノイズ。


 


 一瞬、映像が歪む。


 


 


 止まる。


 


 すべての機械が。


 


 


 同時に。


 


 


 その後の映像は、残っていない。


 


 


「記録途切れ」


 


 音声が処理する。


 


 


 俺は装置を停止した。


 


 


「推測記録」


 


 


 少しだけ、間を置く。


 


 


「本時代は、労働の大部分を機械に依存した文明と考えられる。生産効率は高く、構造的には安定していた可能性がある」


 


 


 そこで一度、言葉を切る。


 


 


「……ただし」


 


 


 続ける。


 


 


「依存対象の停止、あるいは制御不能により、文明維持機能が崩壊した可能性が高い」


 


 


 事実ではない。


 


 だが、この星では珍しくない終わり方だ。


 


 


 人間は、よく任せる。


 


 そして——


 


 任せたものに、終わらされる。


 


 


「記録終了」


 


 


 装置を切る。


 


 


 機械の残骸を見下ろす。


 


 


 同じ形。


 


 同じ構造。


 


 


 個体差がない。


 


 


 だから、壊れる時も同じだ。


 


 


 全て、一斉に止まる。


 


 


 それだけのことだ。


 


 


 回収。


 


 ランクは高い。


 


 


 だが、それ以上でもそれ以下でもない。


 


 


 価値はある。


 


 意味はない。


 


 


 俺は立ち上がる。


 


 


 また、掘る。


 


 


 次の層へ。


 


 


 違う時代が出てくる。


 


 


 だが、やることは変わらない。


 


 


 見る。


 


 記録する。


 


 回収する。


 


 


 それだけだ。


 


 


 土を崩す。


 


 


 また一つ、文明が終わる。


 


 


 そして——


 


 次の文明が現れる。


 


 


 繰り返し。


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