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LEGENDERS  作者: 鮪男爵
プロローグ
8/13

第八話 村


「ジェナードにラーガス、それと嬢ちゃん達、お前達には、本当に迷惑をかけちまった…。詫びとして、飯でも馳走させてくれ。」


「マジでェ!?やっほーい!!」


「え!いや、いいですよそんな!ガルナさんはなにも悪く無いんですから…!」


「これは俺の問題だ。こうでもしねぇと気が済まねぇのよ!」


 先ほどの恨みがこもったような表情から一転、人が変わったように、ガルナはこちらに笑顔を向けていた。きっと、こっちが素なのだろう。

 こんな人でも、あんなにさせるほど嫌われているとは……あれ、そういえばどうするんだろ。


「せっかくの誘いだが…我々は遠慮しておこう。他の皆の帰り場所を確認せねばならないし、そもそも食欲があまりないからな。すまないな。ガルナ殿。」


「あぁ〜…そりゃそうか。いや、こっちこそすまねぇ。あんたらのこと考えきれてなかったよ。じゃ、また機会がある時にでもな!」


「ああ、先に私たちは村に戻る。では今度こそ、またな、ジェナード、ラーガス。」


「2人とも、じゃあね。」


「おーう!またなァ!」


「またね。」


 サロウとリリィは、2人一緒に、手を繋いで帰っていく。彼女らがいたから、誤解を解くことができた。感謝してもしきれない。


「そんじゃァ、行こうぜェ!」


「ちょ!待って!」


「待て待て。」


 意気揚々と村に歩みを進めるラーガスを2人で止めに入る。もう〜この子は…。


「何だァ?」


「このまんま入っちゃったら攻撃されるに決まってるでしょ。さっきご馳走するって言ってましたけど…どうするんですか?村の外とか?」


「いんや、村の中だぜ。2人とも、ジッとしててくれ。」


 何をするのだろう。言われるがまま僕らは横並びでジッとする。

 使うのは久々だからな〜、という呟きが聞こえる。好奇心と不安が同時に湧いてきた…。


「うし…じゃ、いくぜ。そー…れ!」


 そう言いながら、ガルナは手を僕らにかざした。その瞬間、彼の手から何か霧状のものが僕らに降りかかった。


「うわっ!?」


「おおうッ!?」


「びっくりした…ってラーガス!?なんか…肌が橙色に、あっあと耳が!!」


「そういうジェナードだって!鼻が短くなって…色もちげェし、あと髪まで!!」


「…だはははは!慌てすぎだろ!安心しろって、そりゃただの認識変化の魔法だ。種族は変わっちゃいねぇよ。ほれ、上裸だとあれだから一旦余った服貸してやるよ。」


 自分らの変貌にあたふたしていると、ガルナが笑いながら教えて、僕にはポンチョを、ラーガスにはクロークを貸してくれた。


「認…識……?」


「マ……ホウ…?」


「あ、もしかしてそっからか。

 じゃ説明すっと、魔法ってのは…改めて言うとむずいな……俺たちゃみんな魔力っつーエネルギーが体の中にあってな?そのエネルギーで色んなすげぇ力を使うのよ。で、今使ったのが『認識変化』。かけられた奴に対する認識を、かけた奴が好きに決められる。今回は、俺が2人に対する認識を、『人間』に変えといた。これで村に入っても、何も思われないってわけだ。ま、かけた本人には影響しないけどな、だから俺から見たら、元のゴブリンのままだ。」


「魔法…なんとなく存在は知ってたけど…そんな凄いのがあったんだ…。知らなかった。」


「へあァ…。」


「ああラーガスが固まっちゃった。」


「まっ!要は今お前らは見かけだけ人間ってわけだ。これで安心して飯が食えるし、村も見回れるぜ!」


 これは…本当に、世界は知らないことばっかりだ…驚いても驚き足りない…っていうかなんか痒いな…なんかの虫にでも刺されたかな…


「すげェ〜〜!!!人間…とか、色々なんかいっぱいいる!!」


「色んな種族がいるからな。あの豚っぽいのはオーク。あのちっこいのはドワーフで…おっ珍しい、ローグもいる。商人か?」


「あのカエルみたいな人のことですか?」


「そうそう、体から出す粘液で薬とか作るんだ。あと、敬語とか遠慮しいことしなくていいぜ。もっと仲良くなりてぇんだ。」


「わかりま…わ、わかった。」


「おう。」


「ガルナァ!すげェぞすげェぞ!面白ェ〜!!!」


「あいつはもうちょい遠慮とか覚えるべきだな。」


「あはは…。」


 そうこうしている間に、酒…場?とやらに着いた。色々ごはんを食べれる場所らしい。そういえば僕の村にもこういう食堂みたいなのはあったな。

 入ってみると、色んな人達が騒ぎながら飲み食いをしていた。そういった人たちを横目に、僕らは奥の方の席に着いた。


「よーっし頼もうぜ!とりあえず酒と…お前らは?酒、飲むか?ていうか歳いくつだっけ?」


「僕は6つ。」


「オレ10!」


「ブッ!!!若っけ!!!?おいおい、体と年齢が比例しなさすぎだろ!ラーガスに至っちゃてっきり18そこらかと思ったのに、10って…。」


「ゴブリンの寿命は50くらいだから、人間から見たら歳に対して体の成長は早いんだと思う。…あと、僕はお酒苦手だからいいかな。一回村に持ち込まれたのを飲んだけど、気分が悪くなったんだよね。」


「オレも酒はいいや!苦いし!」


「まそもそも2人とも未成年だしな…。いや、種族が違うんだから未成年でもアルコールはいけるのか…?あぁもうめんどくせぇ。2人ともジュースとかでいいか。飯はどうする?」


「おすすめにしてもらってもいい?何が美味しいかわかんないし。」


「オレこのぴりから…なんだこれ?」


「牛ステーキだね。ピリ辛牛ステーキ。」


「それで!」


「あいよ、じゃジェナードは俺と同じやつにするか。すんませーん!!!」


 ガルナは店員を大声で呼び始めた。注文をとっている途中で、また体が痒くなってきた。さっきから妙に痒いな…傷ついちゃうよ…。


「どしたァ?ジェナード。」


「いや…さっきから痒くて…虫に刺されたのかも…。」


「ふゥん。……ッ!?おいッ!ジェナード!」


「え、なに?」


「掻いてるとこが…なんかッ緑になってる!!」


「え…えぇ!?」


「お客さん?どうしたんだい?」


 不思議に思ったのか、別の店員が、僕の腕を覗き込んできた。その瞬間、みるみる顔が青ざめていった。


「なっ…!お客さ…いや、お前っまさか!!か、解呪!!」


 店員がそう言って、腕をかざすと、痒みはなくなった。そのかわり、全ての視線が僕に突き刺さった。


「え、え?」


  「おい、あれ…まさか…。」

「ゴブリン……!?」  

      「なんでこんなとこに!!」


「しまった…!ジェナ…」


「そいつを殺せぇ!!!誰でもいい!!この店から消せぇ!!!」


 店員の一声で、客が全員動き出し、剣や斧、拳を握り、僕の元へ四方八方から向かってきた。


「うわっ…!」


「「ジェナード!!!」」


 その瞬間、ガルナが斧で、ラーガスが盾で、僕を守ってくれた。


「ふ、2人ともっ!」


「ラーガス!!担げるか!?」


「任せろォ!!」


「うぉわ!?」


 ラーガスは僕を掴んだ後、凄い勢いで肩に担ぎ、入り口に走る。だけど客が入り口方面に!


「逃すかぁッ!!!」


「すまねぇが、どいてくれ!ハァッ!!!」

         「ぬぐぉ!!」

「おわッ!!!」    「どわぁ!!」

     「いってぇ!!」

  「ぶぎゃ!」


 何をしたのか、ガルナは斧を地面に叩きつけたら、辺りの客が全員吹っ飛んでいった。客がそれたので、僕らは入り口に向かって全力疾走した。


「すまねぇ!!賠償金は今後払う!!」


「いらんわんなもん!2度と来るんじゃねぇ!!バケモンがぁ!!!」


「うおおぉお!!!どいてくれェェ!!!」


 村を走り抜けてる間、色んな人が僕を見ていた。

 嫌悪、拒絶、恐怖、怒り…全ての負の感情が、僕だけに向けられていた。

 わかっていたつもりだった。

 叫ばれたり、嫌悪されたり、攻撃されたり…ゴブリンの嫌われ具合は、理解したつもりだった。

 これが普通なのだ。

 この村のこの反応は、実質世界の反応のようなものだ。

 僕はこの光景を、一生忘れないだろう。

山あり谷あり

 追記

一部ミスがあったため書き直しました

 再追記

やばいミスもあったので書き直しました

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