第四話 森からの脱出
僕とラーガスは、獣人のサロウ、人間のリリィ、それと、オークとリザードマン、他の人間の方々を連れ、洞穴を後にした。
2人以外の奴隷達は、主にサロウが説得して、なんとかついてきてもらえるようになった。サロウは奴隷達の実質的なリーダーで、みんなを元気づけていたらしい。自分も酷い目にあっていたのに、本当に…気高い人だと思う。
「では、案内を頼む、2体とも。」
「任せて。ラーガス、先頭お願い。」
「あいよ!」
口を開いたサロウに、返事をした後、ラーガスに指示を出した。何かあった時のために、強いラーガスを先頭に、その後ろに指示役の僕。そのまた後ろにはリリィ含むか弱い奴隷達、そして最後尾には、ある程度の判断が可能なサロウをおいた。
本当はサロウは最後尾におくつもりでは無かったが、流石リーダーと言うべきか、サロウは自分から名乗り出た。
「ここから東に進めば、森から出られる最短のルートだから、そっちに進むよ。」
「ですが…そういった道筋は…見張りなどがいるんじゃないでしょうか…」
綺麗だったであろう金髪を靡かせ、リリィは心配そうに、少し怯えながら尋ねる。それに対し、怖がらせないようになるべく柔らかく微笑んで答える。
「大丈夫。何日かここら辺を下見に来てたんだけど、見張りは全くいなかったし、居たとしても…」
「ジェナードッ」
ラーガスが声を潜め、僕を呼びかける。ラーガスが反応した…ということは…。
「…居るね…一体だけ…。でもおかしいな…このあたりを見張るやつなんていなかったのに…とりあえず、ラーガス。手筈通りお願い。」
「おうッ」
ラーガスに指示をし、僕はそこら辺にあった小石を見張りの1mほど先に投げる。
「んぁ?なんだ…コレ。」
お世辞にも、大半のゴブリンはあまり賢くない。それは彼にとっても例外ではなく、不思議そうに小石の方に近づいていく。
それを見たラーガスが、見張りの方へと、こっそり、忍び足で近づく。
そして、真後ろに着いた瞬間。
「フッ!」
「ンゴフッ」
見張りの頭に軽い手刀を入れ、見張りを気絶させた。軽い手刀、といってもラーガスの力にかかれば軽い脳震盪を起こすことができる。
こうすれば、下手に死者を出さず、敵を無力化できる。
「完璧だよ、ラーガス!上出来だ!」
「たりめェよ!んじゃ、こいつそこら辺の草陰にでも隠しとくぜ。」
小声で報告したラーガスは、ズルズルと見張りを引きずって行く。
「…あの背の高いゴブリン…さん…お強い…ですね。」
「ホントにね。ゴブリンは弱い筈なのに、ラーガスだけなぜかすっごく強いんだ。見た目もかっこいいし、突然変異かな…。」
未だオドオドしてるリリィに、和ませるよう冗談混じりで話した。
だけど…なにかおかしい…。ここに見張りがいるのは想定外だ。最短かつ、見張りがいないルートだったからここに来たのに…。
そんなことを考えている刹那、最後尾から、けたたましい声が聞こえた。
「…っ!ジェナードッ!大勢の足音が聞こえるっ!!」
「えぇ!?」
しまった!すでに気づかれていたのか!!見張りがいたのもそれが原因!
焦りつつ、急ぎサロウに問う。
「どこら辺から聞こえる!?」
「左右だっ!距離はかなり遠いが、走ってきている!!」
「左右以外に足音は聞こえる!?」
「いや、左右のみだ!前や後ろからは聞こえない!!」
「わかった!ラーガス!戻ってきて!襲撃だ!!バレたんだ!!」
「なんだってェ!!?」
見張りを隠したラーガスは、素っ頓狂な声をあげながら、こちらに近づく。
「オレはどうすりゃいい!?」
「敵は左右からだ!どこから来ても対処できるよう、僕らの真ん中らへんに居て、みんなを守って!」
「おう!」
「みんな!!時間がない!全速力で、この森を抜ける!僕についてきて!!」
ルートは頭にたたきこんでる!後は敵のいない前方を突っ切る!
絶対に逃げ切る!!




